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1 追放されて...


勇者のパーティを追放されて数日。

ボクはひとり、以前訪れた辺境のさびれた街を目指して歩いていた。


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ボクは不思議なほど勇者に気に入られ、いつも隣においてもらっていた。


魔たばこを吸う時ですら勇者はニコニコしてボクの隣に座り、ボクから魔タバコをもらうと、ライターを差し出してきた。さすがに勇者に点けさせるわけにはいかないから断って自分のライターを使う。すると勇者はその火をオレにもくれとばかりにズイっと顔を近寄ってきた。

「もう…、バード…」

「いいじゃねぇか、スノウ。オレはお前が大好きなんだからさ」

「こんなことをしているとがザードが怒るよ。」

「あいつはわかってるからダイジョブさ」


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勇者バード。本当に偶然の出会いだった。ボクはモンスターの召喚と契約だけが取り柄の魔法使いとしては亜種な召喚士だった。そんなボクがさびれた酒場でぼおっとしていると突然隣に座ったのがパードだった。


バードはいきなりボクに一緒に旅をしようと言い出した。

「誰かと間違えていますよ」

「いいや、お前さ。」

「ボクはあなたを知りません。」

「じゃあ、オレは勇者バード。知っているだろう?」

そりぁ、そっちは有名人だ。知らないわけがない。

「存じております」

「いいって。そんなかしこまらなくて。」

バードは何日もこの酒場に通って仲間を探していたらしい。

「あのさ、ついてきてほしいの。」

「ボクなんて役に立ちません。」

「うん。それでいいよ。」

「ギルドに連絡します。もっと腕の立つ人がいますから。」

「キミが気に入ったからキミがいいの。だからついてきてほしいの。」

ふつうは何ができるとか聞いてから加入させるもの。でも、バードはお構いなし。

「じゃあ、決まりでいいよね。すぐに荷物をまとめてくれる?」

まとめる荷物もない。空間収納に全部必要な物は放り込んでいるし、使役しているモンスターたちもそこにいる。

「じゃあ、こっちきて。あ、すみません。お勘定。」

バードは強引にボクを腕をつかむと、自分の泊っている宿屋へと連れ出した。


部屋にいたのは強そうな魔導士。

「でへへ。うまくいったぜ。」

「あん?お前、結局強引な方法使ったな。」

不機嫌そうにベッドに腰かけていた魔導士がボクに手を差し出した。

「オレはザード。バードの幼馴染。ジョブスキルは魔導士。」

「…スノウって言います。」

「なにができるの?」

「…特に…」

「ほんとに?」

「…はい。」

「ジョブスキルのタイプは?」

「召喚士です。」

「バードめ、またニッチなのに手を出した。まぁいいや。で、ともだちはいる?」

「いないです。」

「そっか」

するとザードはニッと笑った。

「実はオレもいないんだ。同じってわけだ。」

ザードがズイッとぼくに顔を近づけた。

「ほんとにいないな」

「いません。」

「後からいたらぶっ飛ばすぞ」

「ほんとうにいません。」

「ぼっち」

「はい」

すると、ザードが嬉しそうにいった。

「オレもぼっちだったんだ。バードが強引に引っ張られてなかったら。

スノウもそうなんだな」

「え…」

「記念すべき、オレの二人目のダチ」

こうして三人で旅をすることになったボクたちは不思議な関係になった。


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バードはとにかくボクにベタベタだった。ザードには一切そんなことはしないのに。ボクも不思議とバードのそばにいると心が安らぐ気がしていた。


ボクは次第にバードとザードの共同体に居心地の良さを感じてだんだん友だち感覚になっていた。


それでも知られるわけにはいかなかった。みんな召喚士というと、幻獣とかそういうものを使役するものだとおもっている。なのにボクだけは、なぜか、いつもドラゴンだった。もちろん、中型から小型クラスだが、なぜかボクはドラゴンに好かれることが多かった。大型のはいない。それがあればとてつもない戦力だし、この共同体のシンボルとなるだろう。


でもボクは自信がなかった。

こういうモンスターは契約時に契約者の魔力を対価としてうけとる。この子たち、中型くらいなら量も知れている。魔タバコで補給すればボクの魔力が枯渇することもない。

だが大型になるといくら要求されるかわかったもんじゃない。たぶん独り占めする。ほかの子たちへの供給が絶たれれば当然信頼関係など水の泡だ。


だからボクは居心地がよくなってもこれだけ、ボクだけの共同体だけはバードにもザードにも見せないと決めていた。普段はポンコツ魔導士をして、二人が寝静まってからみんなを呼び出していた。


ところがとうとうバレた。バードがボクが夜な夜な夜更けになにかしていることに気が付いた。


その日の夜もいつもどおり、宿の裏庭で使役しているモンスターたちを呼び出して甘えさせていた。ボクの本当にかわいい、そして大切な存在たち。魔力をどんなもっていかれてもこの子たちのためなら平気だった。この子たちも


突然背後に誰かが立ったので護身用のナイフを片手に振り返る。バードだった。

「やっぱり、隠していたな」

ボクはナイフを突き出した。

「そう、怒るなって。」

「この子たちは、ボクの宝です。手放す気はありません。」

「知ってるよ、召喚士ってのそういうもんだ。」

ここでボクは初めて知った。どうしてバードがボクを誘ったのか。


バードは最初から召喚士を探していた。今のパーティーでは戦力不足なので誰かいないかと召喚士ギルドを訪問。しかし、気に入るものがなかった。

「みんなすごい幻獣と契約しているんだけど、幻獣って仲間意識がないんだよ。だから、仲間意識がある、実物のモンスターと契約する子はいないかって探してた。」

「なかなかいないですよ。」

「ここにいるけどね。いやぁ、アカデミーまでいったんだよ、」

バードはそこでようやくお目当ての子を見つけ声をかけた。するとその子たちは、ボクをことをバードに教えたらしい。

「スノウ、お前、ウソ下手だな。」

「…」

「聞いた。なぜか寄ってくるんだってな。けっこうな大所帯と聞いてたけど、本当にすごい量だね。」

「ええ。捨てられませんから」

バードが僕の肩に腕をかけた。

「やっぱりな。こりゃあ、最強の仲間を得たぜ。みんなもよろしくな。」

モンスターたちが目を輝かしていた。


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それから数か月。バードのパーティーは8人体制になっていた。結構な大所帯だ。

不思議とバードはいろんな人に好かれるようで、旅をした先々で仲間が増えていった。


それでもバードはボクとのベタベタ関係を続けていた。やめさせるべきだったが、ボクもこの時間が好きだったため、許してしまっていた。これを仲間の一人が見てしまった。

ある夜。夕食の席でボクとバードとの関係を持ち出され、バードの右腕として調子に乗っているボクが気に入らないという話になった。バードば制止するも、いつの間にかそいつはほかの仲間も巻き込んで、ボクを追放するように仕向けてきた。

(潮時か)

そう思ったとき、一番の知恵者だったリッジが対決を提案した。


ボクたちは露店でドラゴンの卵を入れていた。ボクがほしくなってじろじろみていると、バードが買ってあげると気前よくプレゼントしてくれた。これもほかの仲間からの妬みになったのはたしか。だが、リッジはこれがホンモノかどうか賭けようと言い出した。時期的に考えて、この卵は3日以内に孵化する。孵化したらボクの勝ち。みんなそれで納得してボクはドキドキしていた。

(お願い、はやく)

ボクの思いが通じたのか、結果は1日で判明。本当に孵化した。ニセモノが多く流通する中、ボクが選んだドラゴンの卵は本物だった。

大きめの竜の赤ちゃん。バカっぽいけど明るくて強いキッドはすぐに友だちになった。

「賭けはスノウの勝ちでよろしいですね。」


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かわいい時期はあッという間だ。竜はぐんぐん成長して想像以上に大きくなり、キッドでは手に余るようになるほどの大型のドラゴンだった。ところが、この大型のドラゴンはボクの魔力の独り占めをせず、ほかのモンスターが満足するまで待ってからボクの魔力を吸いに甘えに来てくれた。もちろん、魔力が足りないので、魔タバコは欠かせなくなったが、大型のドラゴンは甘えるのはいつも昼間、夜はいつも遠慮し、魔タバコの葉を自ら食べてもいた。

「そうだ、ファースト。君の名前はファーストだ。」


ところが、ある日、再び衝突が起きた。こうなることはわかっていた。ボクのステータスがみんなに遅れをとるようになった。バードはそれでも看過してくれていたが、今回はバード・ザード以外のメンバー全員から出ていけといわれてしまった。

これくらいなら仕方がないと思ったが、もっと衝撃的な条件を突きつけられた。ファーストを置いていけという。

「ファーストは俺たちのほうがいいってさ」

そういってファーストをよぶと、なんとファーストはなんと彼らの元へ


今考えればバカだった。夜にはファーストが自力で魔力を回復させているのを見られた。それを利用された。

彼らはたんまりとファーストに魔力をあげて、自分たちならひもじいこともないし、甘えられるのをがまんしなくてもいいし、こっちがいいよと印象付けた。


そういえば、いつの間にか、ファーストはボク以外の仲間たちに甘えるようになっていた。この時点で気が付くべきだった。

「こいつはもう俺たちと一緒にいることを望んでいる。もうお前はいなくていい」

奴らはファーストが自分たちに甘えている姿をボクに見せつけた。


そうか。ボクはまんまとリッジの策略にハメられた。リッジは成竜だけが目的で、ボクを守ろうとしたわけではなかった。だからファーストが立派に成竜になればボクのお役目はその時点でごめんだった。ファーストとリッジが急に仲良くなったのはそのせいか。


ボクは笑うしかなかった。ガッツが仰々しくいった。

「出ていけ。期限は明日の朝だ。」

世の中、ろくなもんじゃない。ボクは深夜、みんなが寝静まったところで、出発することにした。


最後にお別れをファーストにしに行った。もうボクに興味がないであろうファーストの頬にそっとキスをした。「さよなら、ファースト。みんなといっしょに英雄になってね。」

すると突然影ができた。驚いて影の正体を見ると、ホーリーが立っていた。

「あなたはこのパーティーにいるべきではありません、すぐさま出ていきなさい!」

ファーストが起きないように静かに立ち上がる。

「ああ、わかっている。わかっているよ。」

冷たいホーリーを見て、別れ際にいってやった

「神々のご加護があらんことを」


ボクは宿に夢のほとんどをおいて、ひとり出発した。


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身の丈に合わないことはするなとよくいう。ほんとだ。


よく考えればバードに特別扱いされていたボクは、気分はもうバードの右腕だった。戦力たいしたことないのにいつもバードの隣。ボクがもっと強ければ許されるポジションだった。だから早々に引くべきだったが、ボクはそこに甘えてしまった。


大型のドラゴンもそうだ。手元においていてはいけないものだった。確かに大型竜がボクの指示で動いているときはすごい力を得た気分だった。でも、ボクの魔力ではとてもとてもやしなえない。それに、あれはどうやって手に入れたのか。バードだ。他人の力を借りて手に入れたものだった。


「ボクは与えられてばかりだったんだな。」


自分のバカさ加減を笑って、それを隠すように即席のかまどの火を消した。明日には街につく。いい場所が見つけばいいのだが。

さすがにここ最近はさみしさのほうが強くて、使役しているドラゴンはそのままに出したまま寝ていた。もともといたこの子たちだけは残ってくれてボクを見捨てなかった。それだけが救い。いまのボクにとっての宝物だった。

ボクの手元に残ったこのことたちは長い付き合い。気性が温厚であいつらも見向きもしなかったほど優しい。興味を示したのはバードとザードぐらいだ。そのバードとザードももういないし、ボクを見捨てた。

でもいい。この子たちさえいてくれれば。



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