表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された悪役令嬢ですが、国が回らなくなったので第二王子に引き取られました  作者: リリア・ノワール


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

46/52

第46話 王城からの訪問

 第二王子の館に、王城の紋章を掲げた馬車が現れたのは、穏やかな午後だった。


 知らせを受けたロイドは、ほんのわずかに眉を上げる。


「宰相閣下、ですか」


 予想はしていた。

 ただ、思っていたより早い。


 レティシアは、書類から視線を上げた。


「……いよいよ、ですね」


 逃げる理由はない。


 もう、過去から目を逸らす必要もないのだから。


 *


 応接室。


 宰相は、静かに一礼した。


 年齢を重ねた落ち着いた佇まい。

 だが、その表情には、わずかな緊張が混じっている。


「第二王子殿下」


「宰相」


 アレクシスは短く応じる。


 形式的な挨拶が終わると、宰相はレティシアへ視線を向けた。


「レティシア・フォン・アルヴァレス嬢」


「はい」


 呼ばれた名前に、昔の重さはもうない。


 ただ、自分の名として受け止められる。


 宰相は、数秒沈黙した。


 そして。


「まず」


 深く頭を下げた。


 室内の空気が、わずかに揺れる。


「王城を代表して、謝罪します」


 静かな声だった。


「我々は、あなたを正しく評価できなかった」


 誰も、言葉を挟まない。


「断罪の場において、

 あなたの功績も、あなたの人格も、

 十分に検証されることはありませんでした」


 その一言一言は、重い。


「結果として、

 あなたに不当な立場を背負わせた」


 もう一度、頭が下がる。


 レティシアは、静かにそれを見つめていた。


 怒りはない。


 恨みもない。


 ただ、長い時間をかけて、ようやく辿り着いた一言だと理解している。


 *


「……顔を上げてください」


 レティシアは、穏やかに言った。


 宰相が顔を上げる。


「過去のことです」


 その言葉に、宰相の目がわずかに揺れた。


「もちろん、忘れることはできません」


 正直に言う。


「でも」


 視線を、まっすぐ向ける。


「今の私は、あの頃の私ではありません」


 隣に立つアレクシスを、ちらりと見る。


「そして、あの出来事があったからこそ、

 私は今ここにいます」


 宰相は、ゆっくり頷いた。


「……殿下は、良い方を選ばれました」


 その言葉に、アレクシスがわずかに眉を動かす。


「選んだのは、彼女だ」


 短く言う。


 レティシアは、少しだけ笑った。


 *


「もう一つ」


 宰相が続ける。


「王城として、

 あなたの名誉を正式に回復させる予定です」


 断罪記録の訂正。


 功績の再評価。


 公的な発表。


「時間はかかりますが、

 必ず行います」


 レティシアは、ゆっくり頷いた。


「ありがとうございます」


 それだけで十分だった。


 ざまぁではない。


 復讐でもない。


 ただ、ようやく歴史が修正される。


 それでいい。


 *


 宰相が去った後。


 応接室に静けさが戻る。


「……終わりましたね」


 レティシアが小さく言う。


 アレクシスは、ゆっくりと息を吐いた。


「一つは、な」


 まだ物語は続く。


 だが。


 かつて断罪された悪役令嬢は、

 もう、過去に縛られていない。


 その事実だけで、

 胸の奥が、驚くほど軽かった。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ