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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ


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9/15

起床時間が早まりました



 そんな風に楽観的に考えてしまっていた時もありました…。


 まだ夜が明けきらない早朝に目が覚め、ガックリと肩を落とす。


 結論から言うと、1週間経っても授業の終了時間まで起きていられたことは今の一度もない。

 昨日ももれなくユーリス先生に邸まで送っていただいたはずだ。


 変わったことと言えば…ロアナやバーバラを含む我が家の使用人達が、熟睡した私をユーリス先生が転移魔法で邸まで送り届けてくれることに慣れきったことと、こうして普段の起床時間より早めに起きる事が多くなったくらいである。


チリリン


 そっと使用人を呼ぶ為のベルを控えめに鳴らす。


 この間、早めに起きてしまった時に厨房へ水を飲みに行ったところ、バーバラに「この時間はもう起きて仕事をしておりますので、ばぁやを呼んでくださいませ!」と怒られてしまったので、それ以降はこうして人を呼ぶようにしている。


 この後は昨日の夜にできていない湯浴みして、朝食の時間まで勉強をするのが最近の日課になりつつあるのだが、今日は少し違った。


「おはようございます、お嬢様。本日は湯浴みを終えたら、早めの朝食にいたしませんか?」


「え?」


 ベルに気付いて部屋まできてくれたバーバラから意外な提案があったのだ。


「実は昨日の夜にエーリク様がお帰りになりまして。今朝は朝食が終わりましたらご当主様のお手伝いの為、ご一緒に王宮へ向かわれると伺っております。お会いするなら今のうちかと。」


 いつもより早めの足取りでバスルームへと先導してくれるバーバラの言葉を聞き、私はギュンッと歩調を早めバーバラの前へ回り込む。


「本当!?お兄様が?絶対いくわ!間に合うかしら!」


「お嬢様、廊下を走るのは危ないですよ」


 うっ。ついはしゃいでしまった…。


 最近、ユーリス先生とご一緒している時のような反応をロアナやバーバラにもしてしまうことがある。気をつけないと。


 逸る気持ちに合わせて早くなる歩調をなんとか抑え、大人しくバーバラの後ろへ戻る。


 お兄様は、いつもお忙しくされている父様やお母様に、私がお会いできる機会が少ないのを気にしてか歳が少し離れているからなのか、私をとても可愛がってくれる。


 お兄様が学院に入学されるまでは、お勉強を教えていただいたり、ご飯の時間を合わせてくださったり、何かと接点を持ち構ってくれていた。


 お兄様は私にとって唯一の気心知れた身近な家族なのだ。


「エーリク様も先程起床されたところですので、少し遅れてにはなると思いますが、ちゃんと間に合いますよ」


「良かった。ありがとうバーバラ」


 お兄様はお父様の代行で2週間程、領地の視察へと出向かれていると聞いていた。


 聞いていたと言うのも、お兄様は昨年学院を卒業されて以来、我が公爵家を継ぐ為にお父様の補佐として領地経営や当主としてのお仕事を学ばれている。

 その為、朝食や夕食の時間も合わないことが多く、お会いできる時間が一気に減ってしまったのだ。

 私も王宮での妃教育が詰まっているので領地へご出発されるお兄様のお見送りさえできなかった。


 早起きしていて本当に良かった。

夜遅くまで勉強していたらまだ寝ている時間だったので、バーバラは早めの朝食を提案してくれなかっただろう。


 今日の授業ではユーリス先生にも昨日送っていただいたことと合わせてお礼をお伝えしなくては!



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