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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第二章

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入学しました



 貴族学院へ入学から一ヶ月あまりが過ぎた頃には…私は疲れ切っていた。


いや、側から見れば特に問題なく過ごしているのだと思う。

それに、入学前からこうなる事はある程度予測してはいたのだ。


 ヴィンデミア公爵家傘下の貴族家のご令嬢達に加え、ロジェット殿下の側近候補の方々の婚約者…。

学院入学を機にヴィンデミア公爵家の娘であり第一王子の婚約者である私との距離を一気に縮めたい者たちが周囲に集まり、日々談笑を繰り広げている。


 貴族学院は勉学と共に社交を学ぶ場でもある。

学院で教わることの殆どを既に妃教育で学んでいる私は特に、人脈を作る為に入学しているようなものである。


それは理解している。

だけど…


「どうして皆様こんなところまでついてくるの…?」


 現在、私はトイレの個室の中で1人途方に暮れていた。


 登校後に休み時間、昼休みはもちろんのこと、お手洗いまで常に囲まれている状態だ。

教室の移動や授業の兼ね合いで増減や顔ぶれの変化は多少あるものの、常に7.8人の方が一緒に行動している。


ついでに言うと、クラスが同じ方は授業中もべったり付き従われているのだ。


 妃教育に時間を取られ気味だった私は、周りに集まっていらっしゃる方を含め学院に特段親しい方は居ない。

お母様に連れられて参加したお茶会などで多少面識はあるものの、貴族学院に入学するまでは1.2度ご挨拶を交わした覚えがあるかな?という顔見知り程度の関係だ。


 最早、学院で気を張らずにいられるのはこのトイレの個室のみと言っていい。

ここもそんなに長居はできないのだけど…。


「つ、つかれる…」


 私と同じく今年学院に入学したロジェット殿下はと言うと…


学院のクラス分けは成績順とは言え、殆どの高位貴族は入学前から家庭教師を雇い事前に勉強しているので最初の1年間は殆ど爵位順になる。

よってロジェット殿下は現在同じクラスに在籍されているが、基本的に別行動。


 王族は強制的に2年生から生徒会長に任命され、その周辺の人間が指名され生徒会役員として生徒を纏めることになるのだが…1年生の内にある放課後の引き継ぎ作業にもロジェット殿下は今のところ一度もいらしていない。


 その為、すれ違い様に挨拶をしたり何か用事がある時だけロジェット殿下が突撃してこられる…といった具合で交流といえるほどのものは未だない。


「はぁ…」


 今のところ、学院の終わった後にあるユーリス先生の魔法の授業だけを楽しみに日々を乗り切っている。


 そろそろ出ないとまずいかな…。

重い腰を上げ個室から出る覚悟を決める。


「フィリリア様おかえりなさいませ」


「今、王都で話題の仕立て屋の話をしておりましたの」


 個室から出ると、次々と話しかけられる。

彼女たちの話題は大体流行りのドレスやブランド、王都で人気の菓子店やカフェなどなど。

基本的に貴族の淑女としては当たり障りのないものが選ばれている。


「フィリリア様、次の授業は魔法実習でしたよね?」


「そうね、そろそろ着替えにいきましょうか」


 そう言うと、何故か私を先頭にゾロゾロと更衣室に移動する。


 魔法実習の際は制服より動きやすい学院指定の訓練着に着替える事になっている。

貴族の学舎とあって更衣室には常に学院に勤めるメイドが数名待機しており、更衣を手伝ってくれる。


「今日は攻撃魔法の実習ですって!」


「わ、私あまり得意じゃなくて…少し怖いです」


「あら、大丈夫よ。試合ではないし的に当てる程度でしょう」


 更衣が済むと屋外にある演習場へ移動するのだが、彼女達の会話は基本的に止むことはない。

私は爵位としては1番高いことになるので、出来るだけ笑顔で威圧感を出さないよう心がけ、基本的に相槌を打ちつつ聞き役に徹している。


 流石に話を振られればお答えをするけれど。

できればそっとして置いてほしいな…というのが本音だ。


 爵位によって魔法の習得状況も様々で、私と同じクラスの方々はある程度の魔法は扱える。

それ故に一年目の序盤からそういった実践的な授業もあったりする。


 演習場に着くと、ズラリと木製の的が並んでいた。

先程彼女達がしていた会話は間違っていなかったようだ。


 魔法を使うのは楽しいし、少しは気晴らしになるかもしれない。

それに、的当てはユーリス先生やアシュレイ殿下と散々ダーツをして遊んでいたので割と得意だ。



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