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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第二章

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銀の魔力と聖女様



「うん。銀の魔力は普通の魔力と違って、魔法を使うだけで浄化の力を持つと言われてる。とても希少な性質の魔力だよ」


 なるほど。銀の魔力とは浄化の力を持つ魔力のことなのか。

…何か、浄化できるようになるきっかけとかあるのかな?


 そう思った時、私と同じようなところに引っかかったのかアシュレイ殿下が尋ねる。


「銀の魔力は生まれつきですか?」


「そうだね。突然変化するって話は聞いてないかな」


 生まれつきなんだ。

ということは、今の時点で浄化の魔力を持っていない私は今後も聖女に変化する可能性はゼロということになる。


 特に憧れていた訳ではないけれど、浄化できれば先生や国のお役に立てるのでは。と思ったりはしたので少し残念には思う。

そう簡単な話ではないようだ。


「まだ見つかってないんですよね…」


「国の総力を上げて探してはいるけど、なかなか見つからないみたいだね」


 私が呟くと、先生が困ったお顔でそう言った。

探しきれていないだけで、どこかに居ると良いんだけど…。


「他国にいる場合は大々的には探せないですしね…」


「そうなんですか?」


 先生に続くように言ったアシュレイ殿下が、難しいお顔をされている。

でも、どうして大々的に探さないんだろう?


 幸い我が国は近隣諸国とは友好関係を築けているし、他国にも協力してもらった方が早く見つかるのではないだろうか?


「うん。大昔、魔物が発生した別の国が友好国に協力を要請したら攻め込まれた残念な事案があったらしくて。それ以来、全ての国で他国には魔物の発生自体を伏せるようになったんだって。不便なものだよね」


 えぇ…。

弱っている国に追い討ちをかけるなんて非道だ。

国同士の争いにそういった良心を求めるのが間違っているのだろうか…?


 私がもやもやしていると、アシュレイ殿下が重い溜息を洩らす。


「各国が魔物の発生を国外に発表するのは浄化した後だそうです…」


 …本当に残念な話だ。

その国で対処できなければ、最終的には世界の危機になり得るのだから協力し合えれば良いのに…。


「じゃあ他国に居た場合、聖女様は…」


「こっそり探してこっそり連れてくる」


「もちろん、報酬や待遇を提示してご了承いただく…ということにはなっています」


 私が恐る恐る聞くと、先生が茶目っ気たっぷりの動作で持っていたフォークを振りながら言う。

それに苦いお顔をしたアシュレイ殿下がすかさずフォローを入れた。


「その国の裁量。良心次第にはなるけどね」


「え…」


 不穏な先生の発言に何か突っ込みはないのか…とアシュレイ殿下を見るが、スッと目を逸らされる。

過去の浄化で後ろ暗い事例でもあったんだろうか…。


 何か私もフォローと思うも良い言葉が浮かばずにいると、先生が先程の茶目っ気を引っ込めスッと真剣な表情になる。


「このまま見つからなければ最悪、別の世界から召喚することになる」


「別の世界から…」


 先生の言葉に驚く。

異世界から人や物を呼び寄せる魔法が存在するらしい…という話は聞いたことがあるけれど、御伽話のような物だと思っていた。


「過去の文献で異世界から召喚した記録がいくつかあるそうです」


 今までのお話を聞くに、アシュレイ殿下は魔物に関することもある程度習われているようだ。


 それにしても、本当にできるものなんだ…異世界召喚。


「その場合、本人に了承の取りようがないから…私としてはあまりやりたくないんだけどね」


 先生が複雑そうな面持ちで言う。

異世界から聖女様を召喚するとなると、王立魔術師団の師団長である先生も少なからず関わる事になるのだろう。


 了承の取りようがないとなると…場合によっては、なかなか恨まれそうだ。

先生と同じ立場なら、私もできればやりたくないと思うだろう。

魔物が増加すればそうも言っていられないのかもしれないけれど。


「早く見つかると良いですね…」


「そうだね」


 先生が困ったような顔で笑う。


本当に早く見つかると良いな。

できれば国内で…。



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