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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第二章

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パレード



「あ、あそこの子どもが沢山並んでるところ、ジュースなんじゃないかな?」


「葡萄ジュースでしょうか?前にフィリリアさんから聞いて、飲んでみたいと思っていたんです!」


 ユーリス先生の指差した屋台には誘いあってお祭りに来ているらしき子どもや、親に手を引かれた小さな子が列を成していた。


「あ、そうだ。アシュレイ、一応毒味は要るから一口もらうね」


「はい。お願いします!」


 自己嫌悪で苦悩する私を知ってか知らずかユーリス先生とアシュレイ殿下が話しながら屋台目指して歩を進める。


 い、いいの。先生が気にしていないなら、それに越したことは無いもの!


 ちなみに、ユーリス先生は治癒魔法で解毒も可能なのだそう。

我が家の領地で提供されるものに毒が含まれているとは考えたくないけれど、万が一の時を考えるとこちらも安心して見ていられる。

流石、王子様を陛下から任されるわけである。


 そんな事を考えながら後を追っていると、歩みが遅くなっていたのか2人と少し距離が空いてしまっていた。

いけない。せっかく3人でお祭りに来れたのだから。


 私も気を取り直して、お祭りを楽しまなきゃ!


「わっ!」


 ちょっと走って追いつこうと足を踏み出した途端、人混みに押されて先生とアシュレイ殿下の姿が見えなくなる。


 その時、誰かに手を掴まれて引き寄せられた。

直後に安心する星光の花の匂いに包まれる。


「ユーリス先生!」


「あぶなかったね。団体さんが通り過ぎるまでこうしていようか」


 咄嗟に私の手を握ってくれたのは先生だった。


 幼い子みたいで少し恥ずかしいけれど、確かに人が多いし今は先生の言うように繋いでおいた方が良いかもしれない。


「はい!」


 先生の手、大きいな。


 そうして私達は色んな屋台に引っかかりつつお祭りを見て周り、少し日が傾き始めた頃…


本日のメインイベントであるパレードが始まる。



「…これ、浮遊魔法使ったらだめですか?」


 アシュレイ殿下が通り沿いに並んだ人垣の外側で、精一杯の爪先立ちをしながら言う。


「あはは、それはちょっとズルじゃない?あと護衛しずらいから勘弁してほしいかな」


「はーい」


 パレードを見に来たものの、人がすごい。

私もアシュレイ殿下も頑張って背伸びしてみるものの、まるで見えそうにない。


「よし、移動しようか。昨日、邸の使用人に穴場を聞いておいたんだよね」


 先生、いつの間にうちの領地の使用人達と仲良くなったんですか…?



 ユーリス先生に連れられ、たどり着いた場所は大通りに面したパン屋の2階だった。


「わぁ!すごくよく見えます」


「本当ですね!」


 私に続いてアシュレイ殿下も歓声を上げる。


 2階は下で買ったパンと飲み物を楽しめるスペースとしてお客さんに解放しているのだそうだ。

パン屋の常連さんしか知らない為、パレード中でもそんなに混むことが無いらしい。


 朝からずっとお祭りを回っていたし、歩くのに疲れていた頃だったので座って見られるのはとてもありがたい。

 あと、下のパン屋で購入した塩味の効いたパンがすごく美味しい。


「あの方達が着ているの、この地域の民族衣装ですか?」


 アシュレイ殿下が、原色の多い華やかな衣装を身に纏う人たちを眺めながら言う。


「あ、はい!昔この辺りで着られていたものだそうです」


 楽器を演奏しながら行進する楽団に、色とりどりの衣装を着た人々が続いていてとても華やかだ。


周囲の人も手を振ったり一緒に踊ったり、リズムに合わせて手を叩いたりしてパレードを盛り上げている。


 私達が習っている社交界で踊るダンスとは違って牧歌的なものだけれど、お揃いの民族衣装を着てクルクルと舞い踊る女性達はとても楽しそうだった。



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