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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第二章

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成長しました



「理由って程でもないけど、便利だからかな」


「便利…ですか?」


「うん。こうして」


 私が聞くと、徐にユーリス先生が鈍色の束の中から髪を一本抜き取る。

それを小さく振ったかと思うと、ボッと先端に火が灯る。


 …あれ?


「これ、燃えて無いんですか?」


 そう言ったアシュレイ殿下が興味深そうに毛先に灯った火を見つめている。


 確かに…。

煙は出ていないし、何の匂いも音も無い。


「普通に燃えるのとはちょっと違うからね。これは髪に宿ってる魔力を燃料にしてるんだ。他に何か違わない?」


「燃え進んでない…とか?」


 何か、と言われ気になっていたことを答える。


 私も先程から見つめているけれど、長さが全然変わっていないような気がしていたのだ。


「当たり。私の魔力量と長さだと、このまま一晩はもつかな。ランプに入れておくと野営の時なんかに便利だよ」


「野営することがあるんですか!?」


 火の持ち時間より、私は先生の口から出た野営という言葉に衝撃を受ける。


 だって、毎日のようにお会いしているのに一体どうやって…。


「あれ、驚くのそっち?あるよ。魔物の目撃情報で調査に行ったけど気配が無い時とか。たまにだけど、一応様子見で張り込む事になる」


「でも、先生ほぼ毎日僕たちの授業されてますよね…?」


 そう聞いたアシュレイ殿下も私のと同じことを思っていたようで、困惑した様子だ。


「他に調査が来る可能性もあるし、大体そういう時はうちの師団員にこれ置いて帰れって言われちゃうから」


「師団員の方々はできないんですか?」


「魔力量が違うと燃焼時間も変わるからね。あと、万が一魔物が現れた時の為に魔力は温存しておいてもらった方が良い」


 そ、そういうことか…良かった。


 アシュレイ殿下と先生の会話を聞いてホッとする。

野営明けにまで来られているか、忙しすぎて分身する魔法を編み出してしまったかのどちらかかと思った。


「僕のでもできますか?」


「できるよ。こうなるのは魔法で火をつけた場合だけだけど。やってみる?」


「はい!」


 先生に習ってアシュレイ殿下が髪を一本引き抜く。

私も試してみたくなって同じように一本引っこ抜いて、毛先に魔法で小さな火を灯す。


 私もアシュレイ殿下も最初は恐々だった火の魔法だけど…今では慣れたもので、こういう時にふと自分達の成長を感じる。


「アシュレイの長さなら、日暮から夜更けくらいの間は持つかな」


「私の長さだと、どれくらい持ちますか?」


 私は今、腰くらいの長さがあるのでかなりの時間保つのではないだろうか。


「身体から離れた髪に魔力が残留するのが大体一日くらいだから、フィリリアの髪の長さでもそれが最長かな」


 それを聞いてちょっとガッカリする。

そうか、長ければ長いほど無限に保つわけじゃないのか。


 先生の授業での座学っぽい内容は、こうした豆知識のような話も含めて大体は私達の質問に答える形で教えてくれる。


 なので、ついつい「あれは?」「これは?」と私もアシュレイ殿下も気になる事があると先生を質問責めにしてしまうのだった。



「お祭りの件だけど、陛下にご許可をいただけ次第アシュレイとフィリリアに連絡するね」


 そろそろ帰ろうか。と先に立ち上がった先生が、そう言って自信ありげに微笑む。


 思い返すと、ユーリス先生って本当に陛下からの信用が厚いんだな…としみじみ思う。


もしかしたら、かなり厳しい立場の役割を強いている分、陛下としてはユーリス先生からのお願いに「否」とは言いづらいのかもしれない。


 何はともあれ、家に帰ったらユーリス先生とアシュレイ殿下が領地にいらっしゃることをお母様にお話ししよう。

先生からご連絡をいただけたら、お兄様とお父様にもお伝えしないと!



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