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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第二章

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お休みの理由



「フィリリアがお休み…全然良いんだけど、珍しいね。何か家の用事かな?」


 アシュレイ殿下に続き、ユーリス先生が不思議そうに尋ねられる。


「はい。今度の週末、我が家の領地で1番大きなお祭りがあって…お母様が学院入学前に一度行っておいた方が良いのではないか、と」


 そう。今回のお休みの理由はこれだ。


「そっか。確かに、学院で互いの家の領地が話題になることもあるだろうし、今のうちに行っておいた方がいいかもね」


「はい。お母様もそのように言っておりました」


 物心つく前は領地で過ごしていたこともあったようだけど…私はさっぱり記憶に無い。

それでは今後まずいだろうとお母様が「この機会に行ってらっしゃい」とおっしゃったのだ。


「お祭りですか?」


「はい。収穫祭ですので我が家の特産品の勉強にもなるだろうと」


 アシュレイ殿下がお祭り(・・・)という単語に興味を示す。


 王都ではそう珍しくもないと思うのだけど、地方のお祭りが気になるのだろうか…?


「アシュレイはお祭りに興味があるのかな?」


「あ、はい。僕が参加したことのあるお祭りは建国祭だけなので。建国祭はその…」


「あー…」


「それは…」


 お祭りであってお祭りではない。

アシュレイ殿下が言い淀んだ先を予想して激しく同意しそうになる。


 城下は様々な催しで賑わっているらしいのだが…我々貴族にとって建国祭は式典のイメージが強い。


 各家の代表者が王都に集結し、正装をし、爵位の序列に従い陛下と王族の皆様へご挨拶をする。

王都に邸を持っている家は、余程の理由が無い限り家族全員強制参加。

王族は丸一日、椅子に座りっぱなし。

そういうガチガチに形式ばった式典なのだ。


 ちなみに、各地から集まった貴族を労う為、夜には盛大な夜会が行われるようだが…まだ社交会デビューしていない私達お子様は、もれなく屋敷か宿でお留守番。


よって、式典のみ参加という楽しくも何ともない…ただの苦行だったりする。


「うーん。ねぇ、フィリリア」


「はい、何でしょう?」


 意気消沈してしまったアシュレイ殿下をどう慰めて差し上げるべきか…。

考えを巡らせていると、同じように考え込んでいた先生が、何か「良いことを思い付いた!」というお顔で私の方を見る。


「そのお祭り、私とアシュレイも参加して良いかな?」


「「え?」」


「王宮外授業の延長線ってことで許可を取れるかなって。2人にとって王都以外の場所を見るのも良い勉強になるだろうし」


 なんと!ユーリス先生とアシュレイ殿下とお祭りを楽しめるなんて…!


め、名目はお勉強だけど!

でも、それが叶うならとても嬉しい。


「わ、我が家としては問題ないかと!国内各地から人が集まるようですし。毎年、交流のある他領の領主様も来賓としてお迎えしているはずなので!家の者に伝えておきます!」


「決まりだね、アシュレイの護衛は私が引き受けよう」


「良いんですか!?」


 唯一の懸念はアシュレイ殿下の身の安全だけど、先生が一緒なら問題無しだ。


「もちろん。私もヴィンデミア領のお祭り興味あるしね。陛下の許可をもぎ取ってみせよう」


「「やったー!!」」


 先生の素敵な提案に私とアシュレイ殿下が湧き立つ。


 こういう時、先生が許可を取れなかったことは今まで無い。

割とサクッと陛下からのご許可をいただいてこられるのだ。


「それにしても、フィリリアももう学院入学か。時の流れは早いね」


「先生、おじいさんみたいなこと言ってますよ」


「あはははは」


 時の流れ…先生の発言ツッコミを入れるアシュレイ殿下を見ていると私も先生と似た感想を述べそうになる。


 出会った頃は私の方が高かった身長は、いつの間にか同じくらいになっていた。

来年には完全に抜かされていそうで複雑な気持ちになる。


「そう言えば、先生の髪も大分伸びましたね」


 成長期なアシュレイ殿下のお隣に座るユーリス先生の髪を見て、ふと思ったことを口にする。


 初めて会った時は肩につくかつかないかくらいだったと思うのだけど。

今では結んだ状態で肩を少し越したあたりだ。


「伸ばしてるのって何か理由があるんですか?」


 アシュレイ殿下が質問するのを聞いて、そう言えば聞いた事が無かったなと思う。



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