森の授業再開
そんなこんなで、私もアシュレイ殿下も無事にテストを合格するとこができ、翌日から森での授業に以降した。
アシュレイ殿下も森で一緒にお昼を希望した為、お昼休憩からの授業となっている。
今では森で調達した食材を使って3人でお昼ご飯を食べるのが定番で…
バシャー
頭上から大量の水が降ってきて全身びしょ濡れになる。
「すみません…」
「ふ、あははははは」
アシュレイ殿下が申し訳なさそうに謝罪し、ユーリス先生が水を滴らせながら笑っている。
私の方はと言うと…
「フィリリアは前のがまだ響いちゃってるのかな?」
「そのようです…」
そう…私の手に持った鍋はちょろちょろと水が沸いている。
先生の言う通り火の魔法でやらかしたのが無意識にブレーキをかけてしまってるのかも。
さっき降ってきた水も上手く入らなかったみたいだし…まだ沸き続ける水を見ながら、この調子だと鍋いっぱいに水が溜まるまで大分時間が掛かりそうだなと思う。
「アシュレイはちょっと力み過ぎかな」
「はい…」
盛大に水を出したアシュレイ殿下の方はというと…。
チラリと隣にいるアシュレイ殿下の手にある桶を覗き見るも、水の勢いが強すぎたのか私の持つ鍋と同様に水が桶から殆ど出てしまっていた。
「ひとまずこの状態を何とかしなきゃね。このままじゃ3人とも風邪をひいてしまいそうだし」
そう言って先生が掌を上向きにして下から上へ上げる。
すると、みるみるうちにびしょ濡れだった服や地面が濡れた色から元の色を取り戻していく。
「乾いた!」
「私もです!」
アシュレイ殿下が感嘆の声を上げ、私も続く。
「失敗は悪い事じゃないよ。加減が分かるようになるからね」
そう言われてハッとする。私の大失敗も先生は怒らなかった。加減を知る為に必要な事だと思っていたから。
「そうだな…フィリリア水球は作れるよね」
「はい!」
「アシュレイもやってみようか。落ち着いてリラックスしてね」
「やってみます」
水球なら作れる!
そう思い元気に返答してみたものの…ち、ちっちゃい。
隣を見ると、アシュレイ殿下の水球も先程の失敗が堪えたのか、私のものより大きいものの桶をいっぱいにするには足りない。
あと、ちょっとうごうごしてる…。
「いいね。そのままこうやって、糸を紡ぐみたいに、周りの魔力を巻き取る意識をしてみて」
そう言って先生が人差し指を立てクルクルと回す動作をした。
私達も先生の真似をして指を回してみる。
すると、指の動きに合わせて水球がクルクルと回りながら大きくなっていく。
「できた!」
「こ、このくらいでしょうか!?」
指の先に鍋より少し小さいくらいの、つるんとした水球が出来上がる。
アシュレイ殿下は大きくなってちょっと不安定な水球?を回しながら何とかバランスを保っていた。
「よし、じゃあそのままそれを、こう」
ビッと指を下に向けた先生に合わせて2人で同じ動作をする。
「わわ!」
片手で抱えていた鍋が急に重くなり、急いで両手で抱え直す。
ボチャン!という音を立て鍋へ落下した水球が、形を失いチャプチャプと音を立てていた。
「ギ、ギリギリでした…」
そう呟いたアシュレイ殿下の方も、多少溢れてはいるものの桶いっぱいの水が波打っていた。
「2人とも大成功だね。火の魔法も小さいものから必要な大きさにするのがいいかも」
「なるほど…」
確かに、その方がハードルが低い。
今なら小さくしか出せない気がするし…。
「じゃあ、フィリリアにはこの調子で種火もつけてもらおうかな?」
「え!?」
急な先生の提案に驚くものの…いつかは出来るようにならないといけないのだ。いつまでも嫌だって言っていられない。
それに、先生が居る時じゃないと怖くて練習できない。
…い、今やらずしていつやるのフィリリア!
「や、やります!」
「うん。大丈夫、何があっても私がなんとかするから」
「お願いします!」
ここは先生の胸を借りるつもりでいこう!
そう覚悟を決め、すっかり乾いている薪と向き合った。




