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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第一章

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アシュレイ殿下の思い



 それに、アシュレイ殿下がご自身の魔力量を気にしているとは思わなかった。


 アシュレイ殿下の話に、頭の中で王家に関する授業で習った内容を引っ張り出す。


 これまでの研究で魔力量は12歳頃を目処に増えなくなることが分かっている。

12歳で魔力測定を受けるのはその為だ。


 後は、その魔力をどれだけ使いこなせるか…。


 王家や貴族の魔力の高さは我が国の有事の際、いざという時の力となる。

魔力量は遺伝による部分が大きい為、我が国の貴族家は魔力の高い者との婚姻を繰り返すことにより高い魔力を保持している。

王族はその最たる者だと習った。


 よって、王族の魔力測定値は王家の権威を象徴するものの一つとして公表されている。

王族の方々はアシュレイ殿下を除き軒並み190台で、その中でもロジェット殿下は歴代の王族の中でも最高値の203を叩き出していて…


「はい。僕、魔力測定値182だったんですが、先生は184みたいで「それでも充分強くなれますよ」って言ってくださって」


 そうアシュレイ殿下が続けてお話しされる。


 アシュレイ殿下とユーリス先生の180台という数値は古くからある貴族家、中でも公爵家や侯爵家の出身者に多いと言われている。

庶民の魔力は大体50前後と言われているので、先生やアシュレイ殿下の魔力値でも充分過ぎるくらい高いと思うのだけど…アシュレイ殿下にとっては前提が違うのかもしれない。


 私が190ちょうど。先生やアシュレイ殿下より少し高いことになるけど…正直ここまで高いと殆ど一緒だと思う。


 高い魔力を持っていても殆どの王侯貴族が持て余している。

近年は他国との争いも無かったので、貴族はそれこそ王立魔術師団にでも入らない限り使う機会も極める理由も無い。


 私達も高い魔力を制御する目的で魔法を習っているけれど、最低限の魔法以外使い方を知らない人も多いと聞いたことがあるし…。


「「兄上よりも?」って聞いたら「ええ」って。そう、言ってくださったんです」


「…アシュレイ殿下はロジェット殿下より強くなりたいんですか?」


 アシュレイ殿下は常にロジェット殿下より一歩下がっている印象だったので少し不思議に思った。

まさか王位を狙っている…ということは流石に無いと思いたいのだけど。


「僕、兄上みたいに思っていることを堂々と上手く言えなくて…勉強も効率良くできないし、魔力も兄上より低くて、剣術も負けてばかりだし、全然ダメで」


「そんなことは…!」


 私が否定すると、アシュレイ殿下が首を横に振る。


「強く…というより、何か一つでも兄上より出来ることがあれば、自信を持って兄上をお支えできるんじゃないかって、そう思ったんです」


 そうか…ロジェット殿下は態度こそ、何というかアレだけど剣術も得意みたいだし魔力量も王族随一だ。

王位争いは無くても、やはり歳の近いご兄弟同士比べられることは多いのだろう。


「それで…そのお話の後、僕から陛下に「ユーリス先生に教えてもらいたいです」ってお願いしたんです」


 少し下を向いていたアシュレイ殿下がグッと前を向く。


「だから、僕、先生の下で強くなるって決めてるんです」


「そうだったんですね」


 そう言ったアシュレイ殿下は、とても力強い目をされていた。


 もしかして、私の心配に気が付いてお話してくれたのかも。

お姉さんのつもりでいたけど、アシュレイ殿下の方が私より余程しっかりしてる。


そう思い少し手元に目を伏せると…


「あ、それ!そのくらいです、キープです!」


「え、あ、はい!」


 話している間もアシュレイ殿下の手元に維持されていた魚影の幻が良い感じに小さくなっていた。


 まだちょっとふわふわとサイズ感が揺らいでいるものの、水の中の魚影だし、このぐらい出来ていれば釣れそうだ。


「一緒に大物釣り上げましょうね!」


「はい!」


 アシュレイ殿下と成功を喜んでいると、近くの草がブワッと一斉に揺れる。


 ユーリス先生だ!


「2人ともごめんね。待たせちゃって」


 そう声をかけられ、同じタイミングで視線を合わせたアシュレイ殿下と先生の元へ駆け寄る。


「いえ!先生、アシュレイ殿下が上手く魚の幻を作れるようになったんです!」


「さっきまでフィリリアさんと練習してて!」


「本当?頑張ったね。見せて見せて」


 2人で成果を報告すると先生がフワッと笑顔になる。


「はい!もう一回出しますね。次も成功させます!」


 そう言ってアシュレイ殿下が意気込む。


きっと、この時間の一つ一つがアシュレイ殿下の自信になるのだろう。そう思った。



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