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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第一章

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似た者同士



「外で行うんですか?」


 こちらがついてこれているか、たまに後ろを確認しつつ先生が回廊を進んでいく。

少し遅れて私と同じように先生の後を追うアシュレイ殿下が私にコソッと問いかけられる。


「はい、いつも晴れの日も雨の日も外で行っています。雨の日は先程のお部屋に集合ですが」


「雨の日もですか?」


「ユーリス先生が雨を弾く魔法をかけてくださるんです」


「!」


 そう言うとアシュレイ殿下がちょっとキラキラした目でユーリス先生の後ろ姿を見る。

ふふ、分かります。雨の日に外に居ることは少ないからワクワクしますよね。


 王宮の回廊を抜け庭園にでると、いつもの端の草原になっている一角へ向かう。


「よし、じゃあアシュレイは初回だし、今日はフィリリアも復習を兼ねて基礎訓練をしようか」


 先生はそう言って例の大きな布を取り出した。

最近の訓練では使える魔法を増やす方に重点を置いていたから、基礎訓練は久しぶりだ。


 せっかくできた初めての後輩の前で寝ちゃわないように気をつけないと…!


「ええと、これは…?」


 慣れた動きで広げた布の上に寝転がった私と先生をアシュレイ殿下が戸惑いを隠せない…という表情で見つめていた。

初めはそうなりますよね…分かります。


「基礎訓練だよ?」


「基礎は大切なんですよ。アシュレイ殿下も、こちらへどうぞ!」


 すみませんアシュレイ殿下、でもこればっかりはやってみていただかなければ分からない上に先に進めないので…。

私も先生に追随する形で自分の隣を軽くポンポン叩きながらアシュレイ殿下を促す。


「わ、分かりませんが、わかりました…」


 困惑したままではあるものの、アシュレイ殿下も恐る恐る私の隣に腰を下ろし、私達と同じように寝転がる。


「準備できた?」


「…たぶん…??」


 大丈夫ですアシュレイ殿下!この訓練は色んな意味で考えたら負けなんです…!

以前何かの本で読んだ「考えるな感じろ」ってやつです!


「では、アシュレイ殿下もご一緒に。目を瞑って、大きく息を吸ってー吐いてー」


「リラックスして周りの音や匂い空気を感じてごらん」


 アシュレイ殿下は初めてなので私も先生も今日は静かにして訓練に集中する。


 そうしてどれくらい経った頃だろうか…。


 少し日が影って冷んやりしていた空気が、雲が晴れたのか日差しを受けて暖かくなってきたところで左隣から規則正しいスヤスヤとした呼吸音が聞こえ始めた。


これは…まさか…?


 右隣から身じろぐ気配を感じ、私もそっと目を開けて左側を確認する。


「寝ちゃったね」


 後ろから先生の小さな声が聞こえて、振り向くと先生は既に起き上がっていて…ちょっと笑いを堪えていた。


「アシュレイ殿下でも寝ちゃうものなんですね…」


 私も起き上がり、アシュレイ殿下を起こさないようにそっと小声で返す。


「アシュレイ殿下も根を詰めすぎるタイプみたいだね」


 そう言ってそっと立ち上がった先生が訓練の邪魔にならないよう遠くから見守っていたアシュレイ殿下に付いている護衛の騎士を手招きする。


「何かあり…っ、申し訳ありません」


 素早く近づいてきた護衛の方に、アシュレイ殿下を抱き上げた先生に代わって「お静かに」と身振り手振りで伝える。


するとスッと立ち止まり直ぐに状況を読み取って小声で謝罪してくれた。

流石、王宮の近衛騎士は状況を把握するのに長けていらっしゃる。


「このまま寝かせておいてあげてほしいんだ。きっと慣れないことで緊張や疲れもあっただろうから」


「分かりました。私が殿下のお部屋までお運び致します」


「頼むね」


 そう小声で話しながら、抱き上げたアシュレイ殿下を先生がそっと護衛の騎士に受け渡す。

そのまま起こさないようにできるだけ静かにゆっくりと運んで行くのを見守っていると…ふと、ある事が頭をよぎる。


 もしかして、1年前の私もあんな感じで先生に邸まで運んでいただいていたのだろうか…!??


は、恥ずかしい!

私、今のところアシュレイ殿下より背が高いし重かったりしたのでは…!

魔法で浮かせてとかかな?と思っていたかった!


「…リア…フィリリア?」


「…っ!すすみません。」


「大丈夫?フィリリアも疲れちゃった?」


 私を呼ぶ先生の声に急いで顔を上げると、すぐ近くで私の顔を心配そうに覗き込む先生と目が合う。

気付いてしまった事柄の、あまりの衝撃にぐるぐると考え込んでしまっていた。


「だだ大丈夫です!ちょっと、その…考え事を」


「そう?」


「はい!」


 しどろもどろになりながら何とか誤魔化す。

ダメだ、今は考えないようにしよう。



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