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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第一章

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探し物の行方



「うーん…」


 あれから星光の花の気配を追っては見失い、追っては見失いを繰り返している。


 風に乗っていくつかの方向から星光の花の香りは感じるのだが、それに集中しようとすると霧散してしまう。


「すぐにできなくても良いよ。落ち着いて、ゆっくりいこう」


「はい…」


 日が傾き出し、そろそろ授業の終了時間が迫っている。しょんぼりしている暇は無い。


 落ち着いて…集中!


「…!?」


 もう一度!とめげずに探査を開始したところで頭に星光の花が咲いている様子が過ぎる。


 ここ、もしかして!!


「先生!見つけたかもしれません!」


 バッと顔を上げ興奮気味に先生に報告すると、嬉しそうに微笑む先生の顔が目に入る。


「よし、行ってみようか」


「はい!」


 返事をするとともに走り出す。

 貴族令嬢として全力疾走は如何なものかと思うが、結果が気になり過ぎてそれどころではない。


 だって、初めて魔法が成功したかもしれない…!


 庭園の一角の草原を出て、薔薇の生垣を通り過ぎ、噴水のある広い空間へ出る。

 確かあそこは以前、国の機関に関する授業で見学させてもらった騎士団の演習場の近く…。


 噴水を中心に東西南北に伸びている石畳みの道を西へキュッと曲がり、ガゼボを突っ切りその先の奥にある演習場を通過する。


 そろそろ息が切れてきた…でもあともう少し!


 騎士団の武器庫と、騎馬隊が所有する厩の隙間…!


「…っあ…あった!!」


 ハアハアと息を切らしながら辿り着いた建物の間に、薄黄色の星の形をした花が一輪だけ慎ましく咲いている。


 日陰で見るとほんのり光っているような…?


 先程手渡されたまま手に握っていた星光の花を見ると、こちらも同じように淡く発光していた。


「先せ…」


 ユーリス先生に質問を…と考えてから大事なことを思い出す。


 まずい!つい走ってきてしまったが、もしかしてユーリス先生を置いてきてしまったかもしれない…!!


 焦って振り返ると、少し後ろに居る先生の姿が目に入る。


 先生、全く息上がってないっ…。


「おめでとう。フィリリアは飲み込みが早いね」


 そう言った先生は、私に近づき目線を合わせて優しく頭を撫でてくれる。


「ありがとうございます。あの!これ、光って見えるのって」


「ん?そうそう、魔力が多いからか暗がりで光って見えるんだ。その花の名前の由来だね」


 何とか息を整えつつ、聞いてみるとそう教えてくれる。


言われてみれば…!

確かにこうして暗がりで見ると夜空に輝く星のようだ。


「綺麗ですね」


 一見小さくて素朴な花だが、光っている様子はとても神秘的だ。


「気に入った?」


「はい!綺麗で可愛くて、すごく落ち着く香りで!私、このお花好きです」


「ふふ、そんなに嬉しそうにしてくれるなら最初の課題に選んで正解だったな」


 そう言って先生も嬉しそうに微笑む。


「あの…このお花、いただいても良いでしょうか?あと、このクローバーも、その…初めて魔法を使えた記念に」


 そっと先生を見上げ、遠慮がちに聞いてみる。


 流石に王宮の敷地内に生えているものを勝手に持って帰るのは気が引ける。

 なので、ちょっと図々しいかなと思ったのだけど、ずっと握っていたこちらをいただけないかと思ったのだ。


「もちろん。…そうだこれも」


 先生が先程見つけた星光の花を優しく手折る。


「いいんですか?」


「うん。薬草の一種だと知らない者にとっては雑草と同じだから。これもそのうち刈られてしまうだろうし」


 そう言いながら摘んだ花を私に手渡してくれた。


 雑草と同じ…そうなんだ。

私も、教えてもらわなければ片隅て咲いていても見向きもしていなかっただろう。


 このお花のこと知れて良かったな。


「ありがとうございます」


「さて、今日はもう終わりにしようか」


 気付けばもう大分日が傾き、空が紅に染まっている。

 先生の鈍色の髪が橙の光を受けてキラキラと輝いていた。


「あ、ちょっと待って」


 王宮に戻ろうと一緒に庭園を歩いていると途中で先生が歩みを止め、スッと私の手元に手を翳す。


「わ!元気になった」


 クローバーも最初に手渡された星光の花も握っていたせいで、少ししんなりしてしまっていたのだがけど、先生が手を翳した途端に一瞬で元の元気を取り戻す。


「生き物を元気にする魔法だよ。怪我の治癒なんかにも使える。興味ある?」


「あります!」


「じゃあ、明日はこれを教えようかな」


 この日は邸に帰ってから花瓶にさしてもらった星光の花の優しい光と香りに癒されて眠りについた。


 明日の訓練も楽しみだ。



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