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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第一章

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初めての魔法



「今日は実際に魔法を使ってみようか」


 不意にユーリス先生からそんな言葉が出た。

 妃教育の時間割が変わってから数日が経ち、授業中も殆ど睡魔に襲われることがなくなってきた頃のことだった。


「ほ、本当ですか!?」


「うん。そろそろ次に進んでも良い頃合いだと思って。最初は…そうだな」


 そう言って一瞬止まった先生は徐にいつもの野原を歩き出し、一点で止まる。こちらに戻って来たかと思うと手にクローバーを持っていた。


「え、四葉のクローバー!?」


「今日はフィリリアにこれをしてもらおうかな」


 そう言われ、少し考える。これをする…?


 先生はさっき来られたばかり。

一面にグラウンドカバーとして植えられた大量のクローバーの中から一瞬で、それも見てもいなかった場所の四葉のクローバーを見つけるのは普通に考えて不可能だ。


「…魔法で見つけたんですか?」


「そう、探査の魔法だよ。無くした物を探したり、使いこなせれば周りの敵や不審人物を索敵するのにも使える」


 なるほど、侵入者や不審人物に気付ければ身を守る術にもなる。きっと使う機会は多いだろう。


「四葉のクローバーはまだちょっと難しいから、まずはこれから探してもらおうかな」


 そう言って、先生が例の如くローブから取り出したのは小ぶりな一輪の花だ。

優しい黄色の花弁が5つ、少し花弁の先が尖っているのが特徴的で星のような形に見える。


「可愛い花ですね」


「うん。これは星光(ほしひかり)の花と言ってね魔法薬の触媒なんかによく使われている。他の植物より魔力の保有量が高くて、魔法薬を作る時に魔力を節約できたりするんだよ」


 魔法薬は庶民が使う事が多い。殆どの貴族は魔力量が豊富で、少しの怪我なら魔力消費をあまり気にせず回復魔法で治してしまうから。

 

 その為、治癒師は貴族出身者に多く、薬師は庶民に多いと習った。

 薬師が魔法薬をより多くを製造しようとした場合、魔力が節約できるこの花はとても重宝するのだろう。


「この花、一輪につきできる種が少なくて数は少ないんだけど、土と日陰があればどこでも育つから王宮の庭園にも紛れてると思うよ。それに魔力が豊富だから魔法で探しやすい。最初の課題にぴったりだと思って」


「なるほど…」


 そう言って先生が星光の花を手渡してくれる。


 顔の近くに持ってきてよく見ていると、甘くてスパイシーな不思議な香りがする。それでいてどこかで嗅いだことがあるような…なんだかとても安心する香りだ。


「じゃあ早速やってみようか」


「はい!えっと、その、どうすれば…?」


 意気込んで返事をしたものの、やり方を聞いていなかったことに気付く。

 先程、四葉のクローバーを見つけてきた先生を思い出してみても何か特別なことをしていたようには…


「今までやってきた訓練と同じだよ。その花を思い浮かべながら周りの音や気配、それらの持つ魔力を感じてみて」


 なるほど、初めての授業で先生が「基礎は大事」と言っていたのを思い出す。


「やってみます!」


 目を瞑り、手に持っている花を思い浮かべる。

それから今までの訓練と同じように大きく息を吸い込んでゆっくりと吐いた。



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