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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ
第一章

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王妃様の思い



 あれこれ考えて身構えていた内容と王妃様の言葉が噛み合わず混乱してしまう。


「皆、貴女の飲み込みが早いことに気を良くして、ついつい先へ先へと進めてしまっていたようで。本来なら、(わたくし)がもっと気を配って調整をしなければいけないところ。手が回らず、気付くのが遅くなってしまって申し訳なかったわ」


「い、いえ!王妃殿下のお手を煩わせてしまい、申し訳ございません」


 王妃様に丁寧に謝罪を述べられ、反応に困ってしまう。


 ど、どういうこと!?


 王妃様が述べられた内容を必死に反芻していると、王妃様に付き従っていた侍女の1人が、私にスッと1枚の羊皮紙を差し出す。


「それが今後の王妃教育の1週間のスケジュールです」


 侍女から羊皮紙を受け取ったは良いものの…そう言った王妃様と手元の紙の間で視線を行ったり来たりさせてしまう。


「…え」


「既に予定より進んでいる項目の枠を減らしました。遅れて始まった魔法の授業のみ、今後のことも考えて枠を増やして欲しいと魔術師団長から要請があった為、2枠とさせていただきました」


 困惑しっぱなしの私に王妃様の侍女が補足してくれる…。


が、魔法の授業以外が全て隔日になってる…!??


 渡されたスケジュールは衝撃の内容だった。

 魔法の授業は王妃様の侍女が言った通り昼休憩後の2枠に、その後は帰宅。帰宅…?


「あの、これ…」


「大丈夫よ、そのスケジュールで。魔法以外の科目は当初の計画通り、学院入学までに全て学び終わる予定です。魔法は元々、学院入学後も学院と並行して卒業まで行うことが決まりです。王子の婚約者は魔力量が多い者が選ばれることが殆ど。王子達と同様に慎重な指導と可能な限り練度を上げることを推奨されているから、そこは変更ありません」


 不安になって王妃様を見つめると、察してくださったのか王妃様が丁寧に説明してくださった。


「何か貴女から要望はあるかしら?」


「いえ、王妃殿下のご計画に異論はございません」


 王妃様に問われ、咄嗟に首を横に振る。


 何かと言われても…何を言えば良いのか分からない。だって、今まで組まれた予定を淡々とこなすことしかして来ていない。

 ただ、それによりどんどん詰め込まれていく知識を、取り落とさないように必死だっただけ。

考える余裕なんて無かった。


「今後は何かあれば遠慮せず言ってちょうだい。(わたくし)が捕まらなければ、王宮で貴方に付けている侍女や護衛を通してでも構いません」


  異例の対応ではないだろうか。そっと王妃様の周りに控えている侍女や護衛の様子を伺うも、特にリアクションは無い。


 こういうものなの…?


「貴女は努力家で優秀だけれど、色々と我慢し過ぎて思い詰めてしまわないかが心配だわ」


「王妃殿下…」


 そんな風に思っていただけていたなんて…。


 王妃様の気遣いに心が温かくなる。今後も将来この国のお役に立てるよう精一杯頑張らせていただこう。


 その後は私が今後意見を述べやすくする為か、王妃様が最近の社交界での出来事や公務のことなどのお話を振ってくださり、王妃様の次のご予定の時間が来るまで楽しくお話しさせていただいた。


ちなみに…ロジェット殿下は、やはり最後までいらっしゃらなかった。




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