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紫水晶と星の花  作者: 星見七つ


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婚約者とのお茶会



 初めて授業の終わりまで起きていられた日から、日によってまちまちだが起きていられる日が増えた。


 まだ途中でうとうとしてしまうことは多々あるけれど、最初に比べればなかなか健闘しているのではないだろうか…!?



 窓に付く水滴を眺めながら、ここ数日の成果を思い返して憂鬱な気分を奮い立たせる。


 今は週に1度、昼食後に行われる我が国の第一王子ロジェット殿下とのお茶会の時間だ。


…とは言ってもロジェット殿下はいらっしゃらない。

というより来ていただけることの方が稀なのだ。


 婚約者同士の交流にと設けられているこのお茶会だが、ロジェット殿下は何かとお忙しくされているようで実際にいらっしゃるのは5回に1回くらい。


 それも終了時間の間際に、何故か草臥れた侍従や護衛の騎士に連れられてお顔を出されることが殆ど。


 必死に、お忙しいからだと自分に言い聞かせてはいるものの、本当は私と会うのが嫌なのでは…と思った事は一度や二度ではない。どれもこれも私が婚約者として至らない故なのだと思う。


 …いや、こんなことを考えていてはいけない。今日はお越しいただけるかもしれないし!


 そう思って気持ちに合わせて下がり始めた頭を上げ、再び窓に向ける。


 雨の日はユーリス先生が魔法で雨を防いでくれる。しっとりとした空気と雨音のリズムが心地よくて雨の日の授業が、私は案外嫌いではない。


 早く魔法の授業の時間にならないかな…。



 俄かに部屋の外が少々慌ただしくなったのを感じ、窓から扉へと視線を移す。


「ご機嫌よう、フィリリア」


 まさか本当にロジェット殿下がいらしたのかと思いきや、開いた扉から姿を見せたのは予想外の人物だった。

 

「王妃殿下」


 すぐに立ち上がってカーテシーの姿勢で頭を深く下げる。


「お久しぶりです。お会いできて、とても嬉しく思います」


「楽にしてちょうだい。いつもロジェットがごめんなさいね」


 王妃殿下は少し困った顔でそう良いながらお付きの者が下げた向かいの椅子に腰掛ける。


「いえ、第一王子殿下ともなれば勉学に公務にと、お忙しいでしょうから」


 私も王妃殿下に倣い、少し緊張しながら先程まで座っていた椅子へと戻る。


「今日は貴女に今後の妃教育のことについてお話があって参りました」


 それを聞いてビシッと固まる。


 王妃教育の計画や講師の任命等は王妃様が直々に監督してくださっている。


 な、何か問題があったのかな…。

もしかして想定よりも遅れているとか、まさか私が魔法の授業で寝て…


 思わず悪い考えばかりが浮かび、それを振り切るように首を左右に振る。


 魔法の授業はともかくとして、他の科目の授業は難しいし習うことも多いものの何とか齧りつけていると思っていたのだけど。


「そう身構えなくても良いわ。妃教育を任せている講師の1人から進言がありまして、全ての講師に進捗について報告させたのだけど…当初の計画よりも大幅に進んでいることが判明しました」


 す、すすんでいる…??



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