先生とお喋り2
「それでも…お怪我をされたりしないか心配です。その、無事に帰ってきてくださいね」
なんとなく神妙な気持ちになって、か、家族に言うみたいな言葉を返してしまった…。
さすがに重かっただろうかと心配になってチラッと先生の方を覗き見る。
「うん。ありがとう」
先生もこちらを向いたタイミングだったのかパチリと目が合う。
嬉しそうな笑顔でそう言われ、思わずバッと顔を逸らしてしまった。
ち、近い。思ったより近かった!
おかげで先生が家族ではない成人近い男性だと思い出しました…!!
…顔赤くなってないかな。
目を固く瞑って気恥ずかしさに悶えている私をよそに、予想外の至近距離に特段動じる様子もない先生が話を続ける。
「それでね、遠征の度にうちの師団員達が家族や恋人にお土産を買いたいって言うんだよね」
サラッとお土産の話が舞い戻ってきた…。
ちょっと複雑な心境を恥ずかしさと一緒にひとまず横に置き、ユーリス先生の話に耳を傾ける。
「あ、もちろん調査が無事に終わった後で時間に余裕がある時だけだよ?」
私の「…ん?」という心が伝わってしまったのか、先生がすかさずフォローを入れる。
なんて言うか、魔物の調査という危険のある任務の割にみなさん気楽…というか余裕ですね!?
「彼らを置いて私だけ先に帰る訳にもいかないし、一緒に見て回ってるんだけど…楽しそうにお土産を選んでるところを見てたら、なんか良いなって思って」
それは確かにちょっと寂しい気持ちになってしまいそうな状況だ。
緊張した状況の後は楽しみが欲しいというか、リラックスしたくなるのかな…?
それとも、先生の直属の部下の方々だろうし、皆さまユーリス先生みたいに朗らかでマイペースな感じの方々なのだろうか。
ユーリス先生がいっぱい!というのはちょっと、いや大分想像がつかないけれど。
いつか、お会いしてみたいな。
「他に貰ってくれそうな人も居ないし、フィリリアが貰ってくれるなら嬉しいんだけど」
その言葉にハッと今朝聞いてしまった先生の出自を思い出し、即座に承諾の返答を返す。
「そのっ!先生のご負担にならないのでしたら、ぜひ受け取らせていただきます」
アクベンス侯爵家のご子息様はもう成人されているはずだし、お兄様のようにお仕事も始まりお忙しくされているだろう。それに…
宰相閣下が突然連れて来た、まるで血の繋がらない養子…。もしかしたら他のご家族の方々も気軽にお土産を渡せる関係性ではないのかもしれない。
そう考えると、更に寂しい気持ちになってしまう。
「ふふ、良かった。楽しみにしていて」
「はい!」
教え子でしかない私が図々しく頂いて良いものか…とも思うけど。
先生がとても嬉しそうに笑うので、これで良かったのだろう。そう思った。




