表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紫水晶と星の花  作者: 星見七つ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/15

Prologue



 深い森の中をただひたすら進んでいた。


 木々の枝葉が空を覆い隠し、昼か夜かも分からない程の薄暗い視界。まるで生物の気配がしないにも関わらず、数多の視線を感じる。


 かなりの数を倒してきたはずなのに…。


「ここ!ここです!」


 じわりと疲労が滲んできたところで、仲間の1人がある洞窟を指さして叫んだ。

ようやく、探し求めていた目的地に辿り着いたらしい。


「気を引き締めていこう」

「「はい」」


 先程声を上げた者とは違う仲間の1人の張り詰めた声に応える。


 洞窟の中は非常に暗い。森の中の進行で暗さに幾分慣れた目でもあまり役に立ちそうになかった。

誰かが灯りを付けたのか洞窟の内部が私達の周りだけ、ほんのりと照らし出される。

洞窟の幅は意外と広く3人並んで歩ける程だ。


「中にも魔物が居る可能性があります。あまり刺激しない方が良いでしょうから、明かりはひとまずこれで行きましょう」


 そう言った彼の手元には控えめな光の球が浮かんでいる。


「そうですね、ちょっと怖いですが…そうしましょう」

「分かりました」


 口々に同意を述べ、警戒しながら寄り集まって慎重に洞窟の中を進んでいく。

どれくらい進んだ頃だろうか、時間はそう経っていなかったと思う。


「あれ…!」


 視界の先が薄らと明るくなり、微かに水の流れる音がする。


 出口では無い。だが恐らく…私達の目的のものだ。


 私達の周辺を照らしていた灯りが状況を確認する為に強さを増し、近づくほどに詳細が露わになる。


 通ってきたものより広がった空間、その中央には小さな泉が湧いている。


 その上には不気味な黒い靄を纏った濃い紫の大きな石が浮かび…

直ぐ傍には、どこか見慣れたシルエットの人物が静かに佇んでいた。


「…え?」

「いや、まさかっ」


 仲間達の動揺が伝わる。

私の背にも冷たい嫌な汗が伝い落ちる。


 まさか、そんな事は…あり得ない。絶対に。


 確かめなければ。


 そう思うものの石の放つ不穏な光が逆光となり、顔がよく見えない。


 そうこうしている内に、佇む影がこちらを向き言葉を発する。


「よく来たね。待っていたよ」


 そう言ったその人の声と、片手に素早く集まっていく鋭利な光が私の浅はかな希望を打ち砕いていく。


「…嘘」


 口をついて出た呟きと共に視界は鮮烈な光に支配された。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ