表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

晴れのち雨、のち“さくらんぼ”

作者: 出雲 寛人

今日の朝の天気予報では、


「雨のち曇り、のち”雨”」


と表記があった。


なんで普通の雨じゃなくて、””がついているんだろう?


と思った。


朝の時間は貴重だ。


そんな疑問と向き合っていたら、会社に遅刻してしまう。


いつも通りバタバタと支度をし、いつも通りギリギリ出発した。


天気予報の通り、午前中は雨が降っていたので、社内で仕事をしていた。


雨が上がり、曇ったタイミングで外回りの仕事をしようと考えていた。


空模様が曇りに変わり、外に出た。


割と長い時間、曇っていた。


それから夕暮れ時まで、全然雨は降らなかった。


夕日も地平線に消え、少し肌寒い時間。


車から家に歩く時、何かがパラパラっと僕の体に触れた。


なんだろう。


暗くてよく見えなかったが、玄関の方に近づくと自動で照明が点灯し、その正体が照らされた。


それは、”雨”だった。


液体ではない、漢字の”雨”。


今日の天気予報はそういうことだったのか!


それからというもの、毎朝の天気予報をちゃんと見ようと思った。


「雨のち曇り、のち”晴れ”」


「雨のち晴れ、のち”虹”」


「晴れのち雨、のち”さくらんぼ”」


「”桜”のち”メガネ”、のち”ミルクティ”」


いつの頃からか文字だけでなく、そのものが降ってくることが多くなった。


「晴れのち”時間”のち、雨。”時間”が大量の雨に流されるでしょう。」


そして僕は時間が空から降ってくるという不思議な体験をした。


時間が降ってきて、年老いたけれど、すぐに雨が降って、老いを流してくれた。


空から色々なものが降ってくるようになってから、毎日が面白くなった。


そしてこの日の天気予報を境に、もう予報は無くなった。


「”死”のち”光”、のち”新世界”」


それを聞いてからは、一度視界が真っ暗になり、暖かい光に包まれた。


そして僕たち人間一人一人は、神様となり、1人が1宇宙を担当し、各々が世界を作ることとなった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ