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03

突っ込みどころはこれからまだ出てきます、地球と同じ姿の動物とか序の口です

人里から離れて二日



慣れるつもりはなくても、二日も経てば現状には慣れてくるものらしく

人間って凄いな、って思う……


テレビで見たけど、適応能力っていうのが発揮されてるのかな


兎に角、二日も経つと現状を分析する余裕が出てくる

まず、あたしが包まれていたシャボン玉みたいなアレ


アレを話の目印に家族を知りませんか、と尋ねるつもりだったのに

ここでは、あんなふうにシャボン玉で人が降りてくるのは、珍しくないみたいだった…


相手は動物のような姿をしているから

もしかしてあたしの匂いで見つかっちゃうかも、って

自分の位置が風下になるように気をつけつつ人里から離れてたんだけど


あたしのように何かがシャボン玉に入って降りてくるのを見つけ、

もしかしてと思って双眼鏡で確認した


中には、こっちの住人風の小さな…子供?、多分子供だと思うんだけど


遠目にそれを見つけて、丁度風下だったのもあって、

あたしはその子が地上に降りるまでをずっと見てた


シャボン玉から出たその子は、

上手く歩けない様子で、まるで初めて立った赤ちゃんみたいで

その子は、暫くして現れた住人に大事そうに抱き上げられて、人里の方へと消えていった





もしかして……




ここは、



この世界は、




あんな風に、人が増えていくの?





この世界のことは追々覚えていくにしても

気になることは、この世界に来る前にもあった


宇宙空間に家ごと放り出された、あの時


犬のような耳を頭から生やした、綺麗な女の人……




あたしを泣いて追い縋るように、母さま、って




思い至って、あたしはさっと顔色が青くなるのを、自分でも感じた





「あー…うん、大丈夫……大丈夫だよあたし!」




思わず不安になったあたしは、声に出して自分を慰めた


大丈夫、うん、大丈夫!!

友達から小説を借りたりしたから、こういう時危険なヒロインの条件は分かってる!

自慢じゃないけど、あたしは特別美人でもスタイルいいわけでも頭がいいわけでもないし!

天然とか元気娘とか、鈍感とかドジっ娘とか、

本人無自覚だけど顔が良いとか眼鏡を取ったら美少女とかそういうスキルもない!


そもそも眼鏡じゃないし、微妙に乱視入ってるけど裸眼だし

まして、実家が神社で巫女さんやってます、とかそういう特殊ステータスもないもん

××の生まれ変わり、とかそういうのも恐らくなし!

そしてなにより、あたしは女子高生じゃない!


普通だから、もう超普通!!


切ないくらい普通だから超絶美形の王子様や勇者さまと遭遇してラブアフェアの可能性もゼロ!

仮に出遭ったとしても何のロマンスも物語のフラグも立つわけなし!


いやでも犬耳美女が母さまって……

いや気のせい!、気のせいだから、うん!!


よーし、どうどう、大丈夫大丈夫、さぁ深呼吸っ

すってー…はいてー…すってー…はいてー…はいてー…はい……いや、吸おう!

落ち着こうかあたし!


さぁ、手のひらに人、人、人……

人って字は、支えあってるように見えるけど、上の人って楽してるよね?

ん?、でもそうでもない??

バランスを取り合ってる……のかな?

いやでもやっぱり下になってる人の方がバランスプラス重量を……



「……は!

 しっかりあたし!!、現実逃避が一番危険だから!!」



でも、無理やり自分を落ち着かせようとするあたしに、不安要素は容赦なく食べ物を差し出した



「ききっ」


「…あ、うん……ありがとう」



お猿さんから、果物をいただきました……



「きゅーん」


「あ、どうも…ありがと……」



犬…いや、狼?…さんから、びちびち跳ねる魚をいただきました……

うわぁ、上手い具合に生かさず殺さず……


あたしは、お礼に二匹の毛皮をブラッシングしてあげた…


あたしに親切にしてはくれるものの、動物同士は仲が良いというわけでもないらしく

彼らは、一方がブラッシングしてもらっている時は離れてそれを眺め

寄り添う様子は一切ない…



……動物に親切にされるなんて……

我が家は愛犬ぷりんがいる関係から動物系番組は欠かさず見てる

だからこの世界が地球とどの位違うのかは定かじゃないけど、おかしいっていうのは分かる

普通、野生動物は懐いてこないし、食べ物をくれるなんてありえない


あたし、もしかしてヤバイのでは……?



「いやいやいやいやいや、だいじょうぶ!、大丈夫都子ファイトォ!!」



えーと、そうそう魚っ

もってきてくれたのはいいけど……生だもんね

そのまま食べたらお腹を壊すのは確実……焼くしかないよね


うちは、お父さんがたまに釣りをするから、魚のさばき方は知ってるもん

えーと、確かバッグの底の方に……あった、果物ナイフ

まったく、こんなもの入れとくなんて、危ないんだからっ


……見つけたら、うんと怒ってやるんだから!

だからちゃんとあたしが見つけるまで無事でいてね、皆……


顔をぱんぱんと引き締めるように叩いてから魚をさばくと、狼さんに案内してもらった小川で軽く血を落とし、今度は小川からちょっと離れた地面の湿っていないところの枯葉やら草やらをどけて土を剥き出しにして直径1.5mくらいの円をつくる、

これで大きな火を焚かずちゃんと火の番をしていれば火事はおこらないはず


見つけておいた小枝を洗って さばいた魚に刺し、石を置いて魚を刺した枝を立てかけると

今度は燃えやすそうな枯葉を石からちょっと距離を置いて配置する

直火だと魚が焦げちゃうもんね


準備を終えて今度はお財布の中を覗き込む

中には喫茶店で配ってた紙マッチが入ってる

デザインが渋くてかっこよかったからって使いもしないのに貰っちゃったけど、

貰ってきておいて良かった!



……でも、上手く火を着けられなくて、二本も無駄にしてしまった



三本目でようやく箱入りマッチのように押して擦るんじゃなくて引いて擦るんだと気付き、

やっとのことでなんとか火をつけ、残りは二本

あたし、何でライターを持ち歩かなかったんだろう


……うん、煙草吸わないからだよね、うん、わかってる





バッグの中にお菓子はあるけど、これは保存のきくものばかりだから

なるべく食べずにとっておきたい


毎日、色々な動物達が入れ替わり立ち代りあたしの前に姿を現し

あたしを水場や餌場に案内してくれたり、なるべく生で食べれるものを教えてくれる


雨の日は、雨が避けられる場所を教えてくれたし

夜は、動物たちが寄り添って寝てくれるから寒くなかった


朝のうちにその日食べるものを集めて、

いくら動物達が友好的でも夜は何が起こるか分からなくて危険だからなるべく昼間のうちに水浴びをする、可能な限り清潔にしておけば体臭が抑えられて住人達に見つかる可能性も下がると思うから


余った時間は、トートバッグの中にあった布と裁縫道具を使って代えの下着を手縫いした

手芸教室とは名ばかりでヘンなものばっかり入ってるから最初は不安だったけど

ちゃんと手芸教室らしいものが入ってて良かった


実際にはお裁縫を習ったのは小学生の時で、中高生の時のそういう授業はミシンだったから

縫い目はガタガタのヨレヨレだし、生地はごわごわしてて下着向きじゃないしで、

辛うじて使えるかなって出来具合だったんだけど……




そんな風にして、ここに来て九日、




まずは生活基盤を、と

日々に慣れることで精一杯だったあたしは気付かなかった






この世界の動物が、地球の馴染んだ動物の姿そのものだということに

犬…じゃなくて、狼と猿なのはシャレです、犬猿の仲、みたいな<笑

でも犬だと丸分かりなので狼で


野生動物でも友好的な生き物は私が知る限りでは一つだけいます

それはイルカ、彼らは何で友好的なんでしょうね?


下着については、上下作ったには作ったのですが上はタンクトップのような感じです

流石にブラは縫えないだろう、というね!

あと月一の儀式用のものとか<ないと困るでしょうアレ


異世界トリップ系で、誰かに拾ってもらえない、もしくは拾われるまでに間があるお嬢さんたちは、一体どうしてるんでしょうね

男は衣食住で済むのに女はそれ以外の衛生面にも気をつけなければいけないという……

管理不十分だと病気になりますからね、大変だ

ってゆうか都子は動物が友好的な世界だったからセーフですけど、普通血の匂いさせてたら獣が寄って来て襲われますよね<恐!


因みに、この世界では子供が生まれるとか生まれないとか以前に、彼らは動物の生態を含んでいるので月一のアレは種族によってあったり無かったりします

ペット飼ってる方はご存知でしょうが、犬は発情期だけ生理があり、猫や鳥にはありません


あっても頻繁なものではなく、年に二回くれば多いほうというものなので

この世界ではそういった系統の商品は充実していない上に、季節柄店頭に並ぶという感じです


えーと、次回には裏篇の彼と出逢います、出逢うと思います、出逢えるといいな……

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