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07

……朝です


……おはようございます


……あの


……えー…と



いつものように、毛布から抜け出すことはできませんでした

ラッコの赤ちゃんのような体勢で寝ていました



ど、どどど、ど、どうし、え、えぁえうう?!



慌てて起き上がろうとユンの胸に手を着くけど、

腰の辺りをがっちり拘束されててとてもじゃないけど



「ふんぬっ! うぅーっ、っく、はぁっはふっ」



…た、ただでさえ体力が削られてだるいというかあちこち軋むのに

いや、体力削られてなくてもこれはちょっと

いやいや諦めちゃダメだ都子っ! ふぬぅーなんのこれしきぃぃいいい!!



「…はぁぁ(と思ったけどやっぱムリ)」



一気に力が抜けて疲労度倍増…

ぺったりとうつ伏せになって息を吐き出すと見える左手に ふ、と違和感



んん?



なんかちらっと黒いものが…

よく見えるように手の角度を変えてみると、え、なにこれ



左手の薬指に…わっか状の刺青が入っていました



え…っと、なにこれ、呪い的な何か?

ダメ元でこすってみたけど、落ちない…

真っ黒なわっかには白くライン状に模様みたいな文字みたいな何かが…


すりすりとその部分をこすっていると、するり、と大きな浅黒い手が滑り込んできて

すぅっとあたしの手を引っ張っていき、薬指のあたりに、ちゅうっと…



「お、お、おは、お、おはようございますっ」


「はい、おはようございます都子さん」



わ、わぁ、朝から有害指定入りそうな麗しいご尊顔っ

どどど、どしたの今日はっお早いお目覚めですねっ

起こさなくてもひとりで起きれるんだ、わーえらーい!



「あ、あの、あのねっ」


「はい」


「えっと、え、えーっと、あー…」



どど、どうしよう、話し掛けてはみたものの、何を話していいのか分からないっ

え、どうしようどうしよう、王道の泥酔でー、とか 寝惚けてー、とかじゃなかったよね、少なくとも

どう切り出すべき?!

というかもう、記憶が殆どない!

台風に巻き込まれたんじゃ、というような、敢えて的確に表現するならば

気がついたら何もかも通り過ぎていた、っみたいな!!


…あれ? そういえば"鈍い男ですみません"みたいなことを…ぇええ?!

そそそういえば初めて会った時も女性であるあなたにそこまで言わせてしまってすみませんとか

も、もももしかして あたしがユンを好きだと勘違いされて、今まで気がつかなくてゴメンねこれで許してね、みたいな?!


うわぁぁぁあああっ


ち、ちがっ、ちがうんだよユンんんんんっっ!


た、たた、確かに移動中とか落ちたら困るからぎゅっと密着したり迷惑かけちゃってるのに大したことできないからせめてものお礼に頑張ってご飯を作ってマメマメしくご飯のおかわりをよそったりしたけどそういうアピールじゃなかったんだよ誤解させたならごめんでも流石にこれはどうかと思うわけでいやほんとどうしよこれどうすべき?気遣いの人なユンにここまで申し訳ない思いをさせてあたしは一体どうしたら?!いや流石に無かったことにはちょっとできないけどこれあのうんいつか素敵な彼氏となんて思ってたのに台風みたいに気がついたら大人の階段昇っちゃってたとか笑い話にしては酷すぎるというかいや相手は神々しいほど麗しいご尊顔と聖人のように面倒見が良くて慈悲深い上に手先が器用で魔法も使えちゃう超ハイスペック美青年だけれどもあれ?これあたし的には得したの?これどうなの儲けたねー的ないやないないない流石にそれはない大体文字通り台風みたいに通り過ぎてもう記憶とか殆ど無いんだけどこれ良かったの悪かったのどうなのあたしいや良し悪しは状況にもよるけどそれならなおさらこの状況は良かったのか悪かったのか判断に難しいというかどうなのこれ折角相手が超ハイスペック美青年なのに覚えてないなんてマヌケねーとかいやいや覚えてないんだからノーカンでしょノーカンとかいや事実はノーカンじゃないんだけれどもどうなのこれどうすべきどう切り出すべきうわぁぁぁあああああッッ!!!



「こ、この指の黒いわっかなんだけどっ」


「これですか」



あたしのばかぁぁぁぁああああアアアアアッッ!!!

違うでしょ!そこは昨夜の話をすべきでしょっ!!



「婚姻の環ですよ、対のものをわたしも着けています」


「え?」



わぁ、ユンの浅黒い肌によく映えるあたしと同じのを色反転したような刺青のわっかが薬指に…

…こんいん?

こんいんって…なんだっけ?え??



「ご存知ありませんか?

 一般的因習として夫婦で婚姻の証として左手薬指に着けるものですが

 都子さんの故郷では違うのでしょうか?」


「あ、うん、えっと、結婚指輪的な…?」


「ええ、そうです、表す言葉が違うのですね、そうです、結婚指輪です」


「なるほど、うん、そっか……え?」



けっこんゆびわ?


え、そ、そこまで責任感じなくても!!

ユンっしっかりしてユン!!そこまで自己犠牲しなくてもいいんだよ?!

まるでボランティアにお金も時間もかけすぎて家庭や人間関係を崩壊に導く典型みたいだよ!!



「一般的には装身具の指輪を使うのですが

 愛しい都子さんに婚姻の申し出を受けていただき、嬉しさのあまり舞い上がってしまいまして

 ついはりきって念入りに魔具で作ってしまいました」



え、こんいんのもうしで?

あの、もしかしてあれ? ぞくにいうぷろぽおずてきな?

いつそんなことを?? あたしOKしたの? いつ??

…まってまってまっていとしい? いとしいっていった??

うわぁ…たとえるならぼさつさまのよーなじあいあふれるえがお…

なんてゆうかこー…さとりをひらいたようなたっかんしたような

ふだんのようすをかんがえるによちよちあるきのきょうだいをかわいがるてきな???


あれ?



「婚姻の儀は都子さんのご両親を見つけてから両家の近親の親族で行いましょうね

 家はどこに建ててどんな造りにしましょうか

 誠心誠意造りますから要望があればどんなに些細なことでも言って下さいね

 あぁでも都子さんは一人娘でしたね

 安心して下さい、わたしは兄弟が多いので婿入りするのに何の問題もありません

 とりあえず家は仮の家ということにしましょうか、しかし仮とはいえ住み易くしたいですね

 でもその前に近日中にわたしの家族に都子さんを紹介させて下さい」


「え、あ、はい」



婿入りだって、それはあんしいやいやいやいや


そうじゃなくてそうじゃなくて


え、つまり、なに?


ユンとあたしは、今日から夫婦なの?






マジで?

マジです。


取り敢えずこの話でひと段落です、次回も四日後の同じ時間に、今度はExを上げます

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