表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽傷  作者: ひとひら
1/6

偽傷

夜、公園の池を眺めていると、俺の隣には佇んでいるヤツがいる。


「調子は、どうだい?」


こっちをチラっと見上げたような気もするが、よう分からん。

小さいそいつは、月の明るさと外灯を頼りに水面を見ているようだった。


「最近、太ったんじゃないか?」


抗議するように、虫の声を掻き消してグェ!っと一鳴きすると、そいつは今夜の御馳走を見つけたようで勢いよく水の中に飛び込んでいった――


「芯さん、さいきん相棒はどうしてんの?」


隣の段ボールハウスから顔を出したのは、アルさんだった。


「見かけませんねー。縄張り変えたのかもしれません」


「あれま。挨拶もなしかあ。鳥だけに自由に羽ばたいたのかなあ」


「俺らだって、挨拶して出ていく人の方が少ないでしょう」


「ちがいないねー」


ニイと欠けた歯で笑うアルさんは、ホームレス歴40年のベテランだ。


(挨拶もなし、か)


刺さるものがあるのは、紛れもなく罪悪感だろう。だが、あの時の俺には、最良の選択としか思えなかった――

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ