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まんじゅうこわい??

作者: 河野夜兎


 大学の学祭の帰りに、付き合っている彼女の佳代と、中学から腐れ縁の友人の隆夫と、三人でのいつもの帰り道、

「まんじゅうこわい」と言う落語の話になり、何故かエキサイトしてしまった。


 「まんじゅうこわい」と言う落語の内容を超簡単に説明すると、友達同士でこの世で1番何が怖いかを語り合う中で

「みっつあん」と呼ばれる男が、

「この世で1番こわいのはまんじゅうだ」

 と震えながら言ったら、友達みんなが

「みっつあんの家にまんじゅうをたくさん放り込んでおどかしてやろう!」と悪戯を思いつき、実行にうつしたんだけど、実はみっつあんは、まんじゅうなんかほんとはこわくなくて、実は大好物であった…と言うわけで、友達はまんまとみっつあんに騙されてしまう。悔しがりつつも、

「みっつあんがほんとに怖いものは一体何なんだい?」って尋ねると、みっつあんは笑って

「今度はあっつういお茶がこわい。」

 と言うオチの噺。


 何故こんな話を3人でしていたかと言うと、学祭の出し物で落語研究会の催しで

「まんじゅうこわい」をやっていたからである。

  それが以外と面白くて、最初は面白半分で何が怖い?なーんて事から始まり……

「俺は佳代のすっぴんが怖い。」

って軽い冗談で言ったつもりなのに、佳代はリアルにムカついた顔をして、

「私は幸太と隆夫のホモダチっぷりが怖い。いっつも一緒にいてさぁ、何気に彼女の私より隆夫を大切にしてるし。」

と睨んできたのだ…。

「は?何だそりゃ?お前被害妄想激し過ぎだぞ…。」

「そうだって、佳代ちゃん、俺にも人を選ぶ権利はあるって。

俺は幸太を選ぶなら、メスゴリラに結婚を申し込むし。」

 隆夫は凄まじい勢いで首をブンブン振りながら全力で否定する。

「……おめー、ゴリラのメスて発想が怖ぇよ…。」

 俺はちょっと引き気味で隆夫を見つめる。

「…てか、異種交配を望むネガティブさがこわい…、いや正直きしょい…。」

 佳代も白い目を隆夫に向ける。

「いやいやいや!ギャグに決まってんじゃん!

俺は至って健全だよ、どノーマルですよっ!

−−つうか話題変えようか……。」

 隆夫はイジラれモードな空気を払拭したいらしく、

「あ、もし、自分が

「みっつあん」だったら、どんなものがこわいって嘘つく?」

 佳代が話を振ってきた。

「そりゃ、もちろん新垣◯衣がこわいっ♪て言いたいね。隆夫、想像しつ見ろ!ガッキーが降ってきたら、もうそれだけでしあわ−−−」


 ドゴッッ…!!


 ぐっ!!背中に鈍痛が……!


「いってええっ!!」

 悶絶する俺を見て、怒りの表情でバッグをゆるりと振り回す佳代。

 隆夫はわざと視線を外して反対側の空を見上げてた……。

「何さっ!ガッキーなんてガキ臭い女っ!!」

 佳代は怒り叫ぶ。

「ぶーっ!!何だ?そのつまんねー洒落はっ!馬鹿じゃね?ガッキー、ガキ臭いっ!てデーブスペクター並みにクオリティひっくいぞ!!」

 俺は素でボケる佳代を指さしてげらげら笑った。

 隣で隆夫は反対側の空を仰ぐ姿勢を崩さない。(ぜってー笑いを堪えてるだろ、若干震ってんぞ、コルァァ)

 佳代は、ますます怒りに肩を奮わせ、まさに鬼の形相で…

「マジ殺すよ。」

と低ーい声でつぶやいた…。


「はんっ♪殺れるモンならやってみろっ!バッグじゃ到底撲殺できないけどな♪♪」


 完全おちょくりモードな俺。反対に、ちょっと泣きそうな佳代。。。

 それでも調子に乗り、おちょくる姿勢は崩さない俺。


 すると、

「俺はそんな天然で可愛いい佳代ちゃんが、こわい。」

 隆夫は真面目な顔で佳代を見つめた。


「え?」

 軽くパニクり固まる俺……。


「…え…?」

 はっとして隆夫を見つめる佳代。


「俺は、この世の中で1番、佳代ちゃんがこわい……。」

 照れ臭そうにはにかむ隆夫。

「……え、えへっ…♪」

 リアルに満更でもない照れ笑いの佳代。


「お、おい…?」

 焦る俺…何故かいつの間にやら、端っこに追いやられてるよ…?


「佳代ちゃんの笑顔がこわい♪

佳代ちゃんと手を繋ぐのがこわい♪」


 ォオイっ!!

なんで!手を繋ぐっ!?


「…えへ、えへへへっ……♪♪」


 か、佳代っ!

な、何故……可愛いらしく笑ってんだ……。


 ちきしょーっ!訳わかんねーぞっ!!

 やべっ!な、なんか震えてきたぞ………。



「…そんな泣きそうなリアクションの幸太が超こわいっ♪」

 隆夫は、ギャハハと笑って、佳代から手を離し、俺の背中をバシッと叩く。

 隣に戻ってきた佳代は、ざまーみろとほくそ笑みながら、俺と手を繋ぎ大きく揺らした。


「…ハメられた…?

ねえ なんか俺、…ハメられたのか?」

 脱力しかける俺に、

「彼女である私をおちょくった罰だよーん♪」

 ご機嫌で笑う佳代。


「お前の負けだね、なんだかんだ言ったって、佳代ちゃんに惚れちゃってんだから♪」

 隆夫は先刻の俺の慌てっぷりを思い出しているのだろう…、目頭を拭いながら笑っている。


「…やられたわ…。マジでお前ぇら怖ぇよ…。」


 俺は苦笑いして、ちょっとだけ泣きそうになった。。。



      おしまい。



「5分で落語のよみきかせ」と言う本を図書館で見つけて、何気なーく手に取り読んでみた。(大人が子供に読み聞かせる本)落語はあまり知らないけど、本がめっちゃ読みやすくてちょっと面白かった。その中に知ってる落語、「じゅげむ」と「まんじゅうこわい」があって、クスッと笑ってしまった。そして、何がこわいと面白いんかなぁ?とあれこれ考え……。こんな話になっちゃったわけで・・・。もうちょっと色々詰め込みたかったけど、テンポを作るのが難しいっ!

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― 新着の感想 ―
[一言] 途中心配しましたが上手くまとまってよかったです。 僕は古典落語が大好きで、けっこうお金払って見に行きます。 今のお笑い芸人よりよほど面白いですよ。 ウィットが利いてて、品があるし、やはり「芸…
2010/05/31 22:24 退会済み
管理
[一言] 全然関係ないけど、父ちゃんちゅうとるのにママちゅうとる。 連載も誤字脱字が多い。小学生たけしが中学生になってたり。 基本設定を徹底せねば。崩しようがない。
[一言] 落語は「あたま山」がおもろい。 ある男の頭の上に、ある日桜の木が生える。なんじゃこりゃと思いつつ、めんどくせえとほかっておいたら、江戸っ子たちが木の下でどんちゃん騒ぎをして眠れない。 男は木…
2009/09/28 21:50 ごはんライス
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