玉砕するつもりで、憧れの公爵令息さまに告白したところ、承諾どころかそのまま求婚されてしまいました。
「はわわわわ、違うんです。誤解なんです!」
「……これの一体何が誤解なのか、説明してもらおうか」
「はい、はい、もちろんです。でもその前に、それを返していただいてもよろしいでしょうか」
輝くばかりの貴公子の頭の上に乗っかっているのは、上下セットになった私の下着です。一応これだけは主張させていただきたい。購入したばかりの新品未使用なので、清潔なんですと!
「……黒の総レースか」
「うわーん、忘れてください!」
涙目で叫ぶ私を、憧れの公爵令息さまが呆れた顔で見ていました。
***
その日、王立魔術学園の女子寮は阿鼻叫喚の騒ぎが起きていました。
それというのも、年に数回行われる突発的な抜き打ち検査が実施される上に、その検査官は男子寮の寮長を務める公爵令息さまが行うことになっていたからです。
「ひどいです! どうして今回に限ってそんなイレギュラーなことをしたんですか! ああ、憧れの公爵令息さまにこの片付いていない女子力ゼロの部屋を見られたら、恥ずかしさで死んでしまうかもしれません!」
「ノーマ、あなたのように考えるひとがいるからこその処置です! まったく、罰則をつけようが、奉仕活動をさせようが、いつまで経ってもあなたの部屋は片付かないんですから」
当然と言わんばかりに私を責め立てるのは寮母さん。正論が耳に痛いです。
この魔術学園では、自分のことはすべて自分でやらなければなりません。侍女や侍従を連れてくることはできないのです。ですので、うまく適応して部屋を実家通りに美しく保つことができるひともいれば、私のように荒れ果てる人間だって出てきてしまうのでした。
ちなみに、男子寮の抜き打ち検査はやはり女子寮の寮長を務める公爵令嬢さまが行うそうです。部屋に変なものを置いている男子学生たちは、美少女に蔑まれたあげくトラウマを負ってしまうのではないかしら……。いや、むしろ変な性癖を開花させてこの年齢にして拗らせてしまう可能性も……。ああ、考えたくないです。
「だからって」
「ごちゃごちゃ言っている暇があるのなら、少しでも部屋を片付けていらっしゃい。まあたとえあなたの部屋が目も当てられない惨状であろうと彼が言いふらすことはないでしょうが、恥ずかしいと思う心があるのなら、どうにか取り繕ってごらんなさい」
「無理ですよお」
「本当に不思議ね。部屋の中があれだけごちゃごちゃしているのに、成績は優秀なんだから。頭の中は整理できているということかしら」
「うわーん」
「こら、ノーマ。廊下を走るんじゃありません。また減点しますよ!」
泣きながら猛ダッシュで部屋に戻り、片付けを始めました。もちろん、普段から物があふれているこの部屋を今すぐどうにかできるとはとても思えません。そういうわけで、私は強硬手段に出ることにしました。
そう、要は抜き打ちチェックさえクリアしてしまえばいいのです。今回の検査官は公爵令息さま。つまり、女性の衣服がしまわれているクローゼットの中まで漁ることはないでしょう。ですからそこに一旦すべてのものを詰め込んでしまえば、表面上は片付いて見えるはず。
万が一クローゼットの中身を見られそうになったなら、「いやん、えっち。ダメです♡」と言えば誤魔化されていただけるに違いない……なんて甘いことを考えていたわけですが、そうは問屋が卸さなかったのです。
やはり、ものには限度があったようでして。
室内チェックを終えた公爵令息さまが、部屋を出ようとしたその時。中身の重量あるいは質量に耐えきれなかったクローゼットのドアが弾けとんでしまったのです。そして無理矢理詰め込んでいたクローゼットの中身が雪崩を起こしたあげく、公爵令息さまに向かって勢いよく落ちてきてしまったのでした。
***
憧れのひとの前に広がる汚部屋の証。細々した紙の束に、布やリボンの切れ端。中身の入った大小各種の箱の数々。ぬいぐるみにカバン、シールにビーズまで。
しかも詰め込んでいた場所がクローゼットだったせいで、中にあった本来殿方に見せるべきではないものまであふれでてしまっています。そう例えば、かのかたの頭上を彩る私の勝負下着のような。
「はわわわわ、違うんです。誤解なんです!」
「……これの一体何が誤解なのか、説明してもらおうか」
「はい、はい、もちろんです。でもその前に、それを返していただいてもよろしいでしょうか」
慌ててひったくり、私は壊れかけのクローゼットに顔を突っ込みました。うっかりさらなる雪崩を発生させないように、チェストの中に押し込みます。ああ、型崩れ防止なんて馬鹿なことを考えずにチェストに入れてさえおけば、なんとか誤魔化せたかもしれないのに!
大丈夫、大丈夫。あれはただの布です。ただの布! わざと私が投げつけた訳ではないことを説明すれば、きっとわかっていただけるはずです。何より、新品未使用ですし!
「……黒の総レースか」
「うわーん、忘れてください!」
やっぱり気になりますか。気になりますよね。私だって抜き打ちお部屋チェックに訪れた男子学生のお部屋で、頭の上にパンツが落ちてきたらちゃんと洗濯済みなのかどうか心配になります。だから、声を大にして言いたいのです。清潔ですよと。
そもそもあれは、いつか公爵令息さまが卒業する前に「一夜のお情け」をおねだりするときに使おうと思っていた勝負下着だったんです。同じ高位貴族とはいえ、今をときめく公爵家の跡取り息子と、没落寸前の伯爵家の平凡娘の結婚なんてハナから無理に決まっていますが、私だって恋する乙女。少しくらい夢を見てもいいではありませんか。
それなのにこんな部屋に住んでいることがバレた上、頭の上に下着が落ちてきたなんて、馬鹿馬鹿し過ぎて勃つものも勃たなくなってしまいます。それともそれはそれ、これはこれで、いやらしい雰囲気に流されてくださるのでしょうか。
いや、この瞬間を思い出してしまうあの下着ではもはや勝負は仕掛けられませんね。ああ、お小遣いをせっせと貯めてやっと手が届いたのに。もう1セット揃えるなんて無理です……。
「つまりこの下着は、僕を誘惑するときに使うつもりではいたが、それは今日ではなく僕の卒業式の直前だったということか」
「ど、どうしてそれを!」
「さっきから、君は大声でひとりごとを言っている。もう少し慎みを持ちたまえ」
「まさかの自分で全部白状していただと!」
「……事前に聞いていた通りだな。真面目で成績も優秀だが、どこか抜けているところがある」
すみません、それは一体誰から聞いていた情報でしょうか。よく私をわかっているので、情報源が気になります。いや、もう今さらそんなことはどうだっていいですね。
汚部屋は見られるわ、胸に秘めた想いは知られるわ、散々です。恥の上塗りもここまでくれば立派なものでしょう。さあ、殺すなら一思いに殺してください!
「ずっと前から好きでした。付き合ってください!」
「はっ」
鼻で笑われましたよ!
えーん、悲しい! でもそんな表情もイケメン、めっちゃ好き!
「付き合うなどまどろっこしい。今すぐ結婚しようではないか」
「……は?」
すみません、瞬殺されたはずがプロポーズされたのですが、これは一体どういうことですか?
***
「さあ、夫婦の初めての共同作業だ。一緒に片付けを始めようか?」
普段は氷のようなと評される美貌に微笑みをのせて、公爵令息さまが腕まくりをなさいました。ははあ、読めましたよ! これが狙いですね。さては寮母さんに入れ知恵されましたか?
さすがはあの曲者揃いの男子寮を、寮長として取りまとめているだけはありますね。目の前にごほうびを吊るして、私に片付けを促す方針なのでしょう。わかりました、そこまでお膳立てをしてくださったのです。その作戦、乗るしかありません!
「ありがとうございます。一生懸命、頑張らせていただきますね」
「それにしてもノーマ嬢、一体どうして君の部屋は散らかっているのだろう」
「名前呼びだなんて恐れ多いです。どうぞ、『ゴミムシ』とでもお呼びください」
「君は愛する者にそんな風に虐げられて興奮する趣味でもあるのか?」
困惑と言わんばかりの戸惑いが見える表情に、また胸が高鳴ります。今日の公爵令息さまはなんて表情筋が豊かなのでしょうか。私に絵心がありましたら、この素晴らしい表情を描き残し学園中に伝えましたものを。
「それはもちろんありませんが……」
「ならば、名前で呼ばせてもらおう。僕のことも名前で呼ぶように」
「そんな寮長さまのことをお名前だなんて、不敬です!」
「まさか僕の名前を知らないとでも?」
「勝負下着を用意する相手のお名前を知らないはずがありませんよ! ギディオンさま!」
「それは良かった」
ああ、憧れのかたとこうやって会話が弾むなんてなんて素敵なことなのでしょう。背景が私の散らかった部屋だということを除けば、まるで楽園のように美しい景色です。
「先ほどの質問の答えですが、他の皆さんのお部屋がどうして散らかることがないのかが私にはわかりません」
「なるほど。君の場合はそこからか。学習用品はしっかり片付けられているようだが……」
「ええと、そうですね。授業に使うものは決まっておりますし、必要なもの不必要なものが区別しやすいのです」
かさばると言われる資料やテストも、必要な部分をまとめてしまえばすっきりしますしね。私の返事を聞いていた公爵令息さまは小さくうなずくと、爽やかな笑顔でまさかの提案をなさったのです。
「ではここで片付けられていないものは、授業には関係のないものということになる。ならば、いっそすべてを捨ててしまえば良い」
「そんなことはできません!」
あまりにも無駄を排し過ぎた言葉に、私は思わず否定の言葉を叫んでしまっておりました。
***
「も、申し訳ありません!」
慌てて頭を下げました。
いくら学園内は平等とはいえ、それは建前。今後のことを見据えれば、不敬な態度は禁物です。
「だが、どれも授業では必要のないものなのだろう?」
「はい。けれど、どれもゴミというわけではないのです」
「では、この紙の束は?」
「これは、歴代のクラス委員に引き継がれた秘伝の書類ですね」
「なんだ、その秘伝のタレみたいな書類は」
「あら、寮長さんたちにはこういった資料ってないんですか。もうずいぶん前から引き継がれているせいで、まったく私たちの役に立たなそうなものもたくさんあるのですが、読んでいると当時の学校の雰囲気が伝わってきてとても素敵な資料に思えてくるんです。それでちょっとどうしてよいか悩んでいて……」
「なるほど。そういうことなら、生徒会の資料室に置かせてもらうのがよいのではないか。ひとまず箱や袋にバラバラになっているのを年代ごとにファイリングした上で、先生に相談に行こう。同じような謎資料が各クラス委員にもあるかもしれないから、こちらで声をかけてみる必要もあるな」
さすが、顔の広いギディオンさま。頼りになります。とりあえず任期中頑張って失くさないように荷物保管係に徹していた私とは大違いです。
「では、この枯れた草は?」
「ドライフラワーと言ってください。これは、奉仕活動の際に孤児院の子どもたちが私にくれたものでして。フラワーアレンジメントのセンスがないせいで、ただの枯れた草の束に見えますが……」
「なるほど。せっかく飾るのであればもう少し工夫がいるだろう。そこにあるリボンの切れ端をこちらに」
ちなみにリボンや余り布は、文化祭で出し物をしたときの残りです。中途半端なサイズなので寄付もできず、さりとて捨てるには惜しいものばかり。それを使って、ギディオンさまは手早くリースを作り始めてしまいました。さすが完璧貴公子はやることが違いますね! 不器用な私には思いつくことすらできません。
「これは?」
「えーとそれはですね」
床に散らばっているものを拾い上げ、それにまつわる物語を話していると、ギディオンさまが新しいアイディアを出してくださいます。そして気がつけば山のように積み重なっていたものが、すっきりと片付いてしまっていたのです。
「す、すごい! 魔法みたいです!」
「魔法などという高尚なものではない。ただ単にできることから始めていった結果だ。それにノーマ嬢の部屋は、怠惰で片付いていなかったわけではないこともよくわかった」
「でも、普通はこんな風にならないわけで……」
「そもそも、ここまで真摯にそれぞれのものに向き合うのが君くらいだからだろう。おおかた、置き場所がなければ捨てると言われていたものを、見かねた君が全部引き取ってきたのではないか」
どうして全部お分かりになるのでしょう。まさかギディオンさまは、超能力者なのでは?
私の言葉にギディオンさまは首を振り、小さくため息をつきました。
***
すっきりしたお部屋は気持ちの良いものです。寮母さんのご厚意により、私たちは部屋の中でお茶をする許可までいただいてしまいました。
これはすごいことなのですよ。いくらギディオンさまとはいえ、普段であれば堂々と女子寮に滞在なんて許されないはずなのです。しかも当初の目標であった、「部屋の片付け」はクリアしていますし。
……つまり特別なごほうびが出るくらい、私の部屋の片付けが最重要課題として認識されていたということでしょうか。ちょっぴり悲しいですね。
「せっかく部屋が綺麗になったのに、不満そうだな」
「抜き打ち検査の検査官がギディオンさまになったことといい、掃除が完了したことでごほうびが出たことといい、皆さん、よっぽど私の部屋をどうにかしたかったのだなと実感しまして。物置き系の雑然さだったので、よそのかたには迷惑をかけていないつもりだったんですけれど。やはり学生たるもの、ギディオンさまのようにすっきりと整理整頓された部屋にするべきなのでしょうね」
「今回の件については僕が無理を……いや、この話はまた次回に。一応訂正しておくが、僕の部屋はすっきりしているというわけではない」
「そ、そんな、まさか! ギディオンさまの部屋が私の部屋よりも汚いだなんて、嘘ですよね!」
もしそんなことがありうるのなら、これから先、何を信じて生きていけばいいのかわかりません。
「いや、そこまで思い詰めなくても」
「いいえ、私の善悪の基準がぶれぶれになってしまいます!」
「まったく、君は面白いな」
こぼれるような笑みを浮かべたギディオンさまこそ、至高です。あなたさまが笑ってくださるなら、私は一生道化で構いません! ええ、ギディオンさまのお部屋が物置き系ではない生ゴミ系の汚部屋だったとしてもこの愛は変わりませんとも。
「ならば、安心してほしい。この部屋よりも散らかっているということはない」
「ですが、先ほど『すっきりしているというわけではない』と」
「むしろ、部屋の中はがらんどうなのだ」
「は?」
「最低限必要なもの以外、部屋の中には何もない」
それはつまり、新入生が寮に引っ越してきたばかりのあの状態でずっと過ごしているということでしょうか。
「最低限というのは?」
「教科書の内容も頭の中に入っているので本来なら手元になくても平気なのだが、学生の良識として一応残してある」
「そういうレベルですか!」
さすがは天才と名高いギディオンさま。発言が常人と異なりますね。浮世離れしたところも素敵です。でもどうして、そんなお部屋にお住まいなのでしょう?
***
「ギディオンさまは、何かをとっておきたいとは思わないのですか? 資料などは特にいつ使うかわかりませんよね?」
「先ほど教科書の話をしたが、僕は一度見たものは忘れない。脳内にあっていつでも確認できるものを、わざわざ物理的に所有する必要性を感じたことがなかった」
「すごい」
図書館の蔵書を借りて読むだけですべて記憶できるのなら、書籍代が節約できて助かりますね。それでも私は、大好きな本は手元においておきたいですけれど。
「もちろん、自宅は違う。あの空間は、他者に対して『公爵らしさ』を誇示するべき場所だ。何をどう配置すれば効果的か、僕にだって理解できる。だから、自宅内にある僕の自室は『公爵令息らしい』と言えるだろう」
なんだか難しい話になってきました。自室というのは、過ごしやすさが一番な気がするのですが……。
「とはいえ学園内ではその必要性はないから何も置かなかった。いっそ何もない部屋は、僕の特異性のアピールにさえなった」
「そう、ですか」
少しだけ、ギディオンさまが寂しいかたのように思えました。ギディオンさまの考えの中には、どこにも「楽しい」が見当たらなかったからです。
ギディオンさまの頭の中には、確かにたくさんのことが記憶されているのでしょう。けれどそれはギディオンさま以外のかたには見えないのに、どうやって思い出を共有することができるのでしょうか。
「だからこそ、物を捨てられない君に興味が湧いた。寮母さんがよく話してくれていたよ。物を大切にし過ぎて、自分の首を絞めている不器用な優等生がいるとね。物に執着しない僕とは正反対だと興味を持ったんだ」
情報源はまさかの寮母さんでした! 心配してくださっているのはありがたいのですが、いろんなところで私生活をバラさないでください!
「大丈夫ですよ、そんなに気負わなくても。きっと自然に、ギディオンさまの大切なものは増えていきますから」
「瞳を輝かせる君を見ていたら、床に転がっているものも捨てようとは思えなくなったよ。僕が知らなかった世界をこれから教えてほしい。よろしく頼むよ、僕の奥さん」
「え、それは馬の前に吊るしたニンジンだったのでは?」
「君は一体いつから馬になったんだ。大体、僕を誘惑してくれるのだろう? いつになったらあれで誘ってくれるのか、これでも楽しみにしているんだ」
えーと、これはつまり、本当に部屋が汚いお陰で好きなひとのお嫁さんになった……?
「ギディオンさま、ハッピーが過ぎます」
冗談だと思っていたプロポーズが有効だったことを知り、私はあっさり卒倒したのでした。
***
「あら、ギディオンさま。どうなさったのですか」
「見てくれ。我が家の天使たちが描いた絵が素晴らしすぎて、もう壁に貼る場所がなくなってしまった。この芸術品を保管できないなんて、人類の損失だ。僕は一体どうすればいいんだ!」
公爵家の壁一面に貼られているのは、我が家の子どもたちの落書きです。味がある絵だとは思いますが、ギディオンさまのように我を失うほどの名作かと言われるとその辺りはまあ口をつぐんでおきましょうか。
けれど、あの頃のように大切だと思えるものがわからないギディオンさまよりも、今の親バカ気味のギディオンさまのほうが好ましく思えるのです。
「はいはい、ではこの中からあなたのお気に入りと、あの子たちのお気に入りをいくつか残して、貼り替えましょうね。剥がしたものはファイリングして、箱に入れておきます。しばらくしたら、さらに残しておくものを決めましょうか」
「くっ、この中から数枚だけを選ぶなんて、そんな非道なことは僕にはできない!」
「それでは、お仕事休憩の合間にでも選んでくださいませ」
自分よりも片付けが苦手なかたが隣にいると、意外と動けるようになるものですね。そのぶん私が、取捨選択してフォローしています。
片付け下手は、どんなものにも等しく思い出と価値を見出だしてしまう心優しいひと。そうフォローしてくれたかたこそが、片付け下手になるなんて。ギディオンさまは、未来の自分を見て人間らしくなったと喜ぶでしょうか。それとも、こんな自分は信じないと冷静に突っ込まれるのでしょうか。
ギディオンさまが風景をまるで絵画のように保管することのできる魔道具を発明し、大切な子どもたちの絵を捨てずに済むと喜んだのも束の間、今度は家の中に魔道具があふれて頭を抱えることになるのはもう少し先のお話なのでした。
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