表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/23

極道と初期装備

御意ぎょいにっ!」


その兵士達の声に、呼応したかのように、銃声が幾度となく、とどろき渡る。


パァン パァン パァン パァン パァン


白く輝く、美しい壁には、血飛沫ちしぶきが飛び散り、床には、真っ赤な鮮血が、広がって行く。


つい数秒前まで、血気盛んであった兵士達、十名が、刹那せつなで、血を流して、動かない、むくろと化した。


その場に居る一同、一瞬の出来事に、何が起こったのか、理解が追いついてはいなかった。ただ一人、石動不動いするぎふどうを除いては。


「あーあっ」


「おいっ、どうすんだよっ? 国王さんよおっ」


「あんたの不用意な判断のせいで、

忠実な部下を、こんなに、死なせちまったぜっ?」


自分がやったことでも、他人のせい、そこは極道たる所以ゆえんか。



王もまた、不測の事態に、動揺を隠せない。


「まっ、魔法かっ!?」


だが、石動をよく見れば、先程までは何も持っていなかったはずの手に、何かを持っている。


「いっ、いやっ、武器かっ!」


「こやつっ、見た事もないような武器を、手に隠し持っておるぞっ!」


それは、石動が、異世界に転生する際に、女神アリエーネから与えられた、初期装備の武器、拳銃であった。


-


「こっ、これはっ、由々しき事態でございますぞっ!」


降って湧いた、血の惨劇に、三卿も、体の震えが止まらない。


「セキュリティチェック、身体検査は、ドロリー卿の部下が行った筈ではっ!?」


「そもそもの警備責任者は、トンドル卿ではございませんかっ!」


「いっ、いやっ、この中にいる、勇者の内通者が、渡したのかもしれませぬぞっ!」


しかし、こんな非常時でも、責任逃れが優先順位の第一位、ちゃんと相手を蹴落とすことも忘れない。


実際のところは、アロガ王が、大層なご高説をぶっている間に、石動が、こっそりと、コンパネから、初期装備である拳銃を取り出し、隠し持っていたに過ぎないのだが。


 ――まぁっ、転生とやらの前に、ちゃんと説明を聞いておいて、助かったなっ


-


生き残っている兵士達は、石動に向かい、身構えてはいるが、状況が分かないため、迂闊に動くことすら出来ない。


「あんちゃん達よぉっ、せっかく鎧着てるのに、頭丸出しってのはどういうことだいっ?」


「そんなに死にたいのかっ?」


「まぁっ、俺は、眉間は外さないぜっ?」



「陛下の御前では、頭部装備を外すべきと、強く提言されたのは、ボヤルド卿でございましたなっ!?」


「いっ、いやっ、それは、スパイや陛下のお命を狙う暗殺者が入り込まないよう、顔をしっかり見せるという、セキュリティ対策であって……」


「これはっ、追及責任がございますなっ!」


三卿にとっては、兵士達の命よりも、追及責任優先ということなのか。



「何をしておるっ!早く、その者を捕らえぬかっ!」


苛烈な王は、それでも、力でのごり押しを辞さない、それもまた、覇王としてのプライドなのか。


「まあっ、あれだな、大将が馬鹿だと、あんちゃん達も、大変だなっ」


さすがに、石動も呆れて、兵士達への同情を禁じ得ない。


「まぁっ、しかし、武器持って襲って来る以上、あんちゃん達にもられる覚悟ぐらい、あるよなっ?」


パァン パァン パァン パァン パァン


そう言い終えるや否や、非情にも、再び、銃声が何度も鳴り響く。



弾丸は、兵士達の眉間を貫き、背にする壁の深くまで食い込でいる。


「しかしっ、すげぇ威力だな、この拳銃チャカ

……まぁっ、この威力なら、メット被ってても、無駄だったかもなっ」


 ――やはりっ、こいつは、普通の拳銃チャカじゃあねえんだなっ


 弾数制限がないってのも、便利過ぎるっ


この初期装備の銃は、石動の生命エネルギーを源泉としているために、弾数に制限がない。強いて言うならば、石動の生命エネルギーが尽きた時が、弾切れということになる。


-


いかつい、強面こわもての、極道の集団を相手に、転生の間で開催された、女神による集団レクチャー。そこで、アリエーネは、若干、おびえながら、生命エネルギーについて、説明をしていた。


『みなさんが、転生する世界では、生命エネルギーというのが、非常に重要になります……そして、ここに居るみなさんは、転生先の世界の、どの生命体よりも、遥かに強い生命エネルギーを持っているのです』


『つまり、そもそもの、みなさんの生命力自体が、新たな世界では、チートレベルということになるのです』


『そして、それが、こうした異世界転生が、頻繁に行われる理由でもあります……』


簡単に言ってしまえば、生命エネルギーが強い者達を選抜して、転生と称し、異世界に放り込んでいるということ。それで、今回、生命力が半端ない、極道の集団が大量に、集団転生するハメになったということらしい。


-


「ひえぇぇぇっ」

「ぬっ、ぬぬぬっ」

「あわわわっ」


この場に同席した、護衛の兵士達が、全滅したという事実を前に、部屋の片隅で、小さくなって震えている三卿。


普段は、インテリを気取っているくせに、思考停止してしまっており、冷静さは全く見られない。


「きっ、貴公ら、ワシの後ろに隠れようとするなっ! ワシは、肉の盾ではござらんぞっ」


筋肉マッチのトンドル卿を前面に押し出し、その後ろに隠れようとする、ボヤルド卿とドロリー卿。


「その無駄な肉、いっ、いやっ、鍛えあげられた筋肉の、今こそ出番ではございませんかっ!」


「そうですともっ!我々は脳筋ではないっ!

い、いや、頭を使うのが専門なのですぞっ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ