檸檬の色
深い緑がお日様と
光合成を呼んで、
果肉を育んでゆく。
檸檬が大きくなった。
狭い庭の塀の上に
枝が突き出ていて、
実の部分にちょうど
光があたっている。
神社に向かう参道から
その様子が見える。
秋が深まり黄色くなれば、
道行く人の目に留まる。
子供がレモンだと、
叫んでいたことがあった。
柿にしても蜜柑にしても、
叫ばれたことはない。
たまたま子供が叫んだ、
それだけのこととしても、
朱色ではなく黄色い
檸檬の色は秋に際立つ。
一度には取らない。
使う分だけ木から取り、
そのままにしている。
檸檬の色を秋に眺めようと。
眺めたい色合いは、
透き通る空の青と黄色、
風に揺れる木々の緑と黄色、
枯れ葉の滑る土の色と黄色。
庭から出て神社まで
散歩するときに、
立ち止まり、振り返り、
自分もレモンだと思う。
酸っぱい思い出と黄色。
山木康世さんの
レモンという歌がある。
その歌を少し口ずさんだ。