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――なにごともなく6日後……。


はい!ちょっと、まったぁぁぁぁぁぁあぁあぁああぁああああ!


なんでいきなり、なにごともなく6日も経過してるんだ!?


そこはあれだろ!転校生が来たり(一応来たが男だった)、幼なじみが実は俺のこと好きだったり(一応いるが男だった)、クラスメイトで俺のことが好きな奴(一応いたが男だった)が出てきたりと何かしらのイベントがあるんじゃないの!?それで、ラブコメみたいなことやるんじゃないの!?


いや、自分でも電波なことを言ってるのはわかるけどさ!


なんだ?男とラブコメやれってかぁ!?ふざけんな!ぼけぇ!


なんで、こんな、なにごともないんですか!?それにしたって何かおこってもよくね!?


え?てことは俺マジで女になっちゃうんですか!?


いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや!まてまてまてまてまてまてまてまてまて!


考えろ!


残り1日で結婚する方法を!


そんなのあるかあああああああああぁぁぁぁああぁあぁ!


もともと、それらしい相手もいないのに一週間以内に結婚なんて無理な話しなんだよ!わかってたけど!


だのに、なにもせず、この6日間だらだらといつもどおりの日常を送ってたのは誰ですか!?


俺だよ!バカヤロー!


めんどくさかったんだよ!バカヤロー!


まあ、待ってればそのうち何かしらのイベントが起きてくれるだろうとか、完全な受け身思考だったんだよ!バカヤロー!


その結果このざまですよ!バカヤロー!


「そうだ!家出しよう!」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「おい静花。起きろ」


「……んん?……兄貴?なんだよ……こんな時間に……」


真夜中。俺はこっそりと妹の静花の部屋に忍び込んだ。


9時を過ぎると瞼が重くなるお子ちゃまな三つ年下の妹静花は案の定熟睡中だったが、俺が愛を込めて呼びかけるとすぐに目を冷ましてくれた。


「……ねむい」


もぞもぞと布団の中から半分だけ這い出し、静花は俺と向かいあう。


「……で、兄貴。こんな時間になにしにきたんだよ」


「夜ばいしにきた」


「なんだ、またかよ」


「おう……って!ちょ!おまえ、なんで、俺が何回も夜ばいにきてるみたいな感じで答えてんの!?今の軽いジョークだったんだけど!?俺達兄弟は血の繋がった禁断の関係と違うよね!?」


「……おう?……あ、悪い。寝起きで妄想とごちゃごちゃになってるみたい」


妄想って……。普段、一体どんな妄想してるんだよ。いや、なんとなく予想出来ないことはないけど。あえてしない。


「んで?どうしたんだよ?」


今のやり取りで目が覚めてきたのかいつもの調子がで始めた静花。


なに?さっきとの違いがあんまりわからないって?


まあ、それは肉親レベルじゃないとわからない些細な違いだし。


とりあえず話しを戻そう。


「静花よくきけ」


「うん」


「俺、今から家出する」


「……はあ?」


「だから、静花にさよならいいに来たんだ」


「え?えぇー!」


「馬鹿!あんま大きい声出すな!」


俺は咄嗟に静花の口を手で塞ぐ。


「おぉ……。悪い。じゃなくて!家出するって本気か、兄貴!?」


大袈裟に驚いてみせる静花。少々、声がでかかったが、今回は口を塞がなかった。


ぶっちゃけ、多少、煩くしてもあの親父だし、起きてくることもないだろうと考え至ったからだ。


ちなみに母さんは先週グァムにバカンスに行ったっきり帰ってきてない。


「静花もあの話しは知ってるよな」


「えーっと、一週間以内に私と結婚しないと兄貴がお姉ちゃんになるってやつだろ」


「……ん?そう、それ……だ?」


微妙にネジ曲がってる気がするが……。まあ、だいたい内容はあってるからいいとしよう。


「ぶっちゃけ無理だった!」


「あと一日残ってるけど……無理だよな。私、まだ15だし」


「だけど俺は静花のお姉ちゃんにはなりたくない!」


「兄貴、百合って知ってる?」


「何を急に?百合?花の名前だろ?」


百合と聞かれて真っ先に思い浮かぶのは勿論花のほうではなかったけれど、お子ちゃまの静花が知るはずないし、むしろ、静花にそんな爛れた世界を知ってほしくない。


「なんだ、兄貴は知らないのか。友達から聞いた話しなんだけど実は百合っていうのは女の子同士で――」


「はい!ストラップ!それ以上なにも言うな!そして、その話しをした友達ってのが誰なのかをお兄ちゃんに教えなさい!」


まさか、である。お寿司は決まってワサビ抜きのお子ちゃまな静花がそんな不埒なことを知っていたとは!


誰だ!俺の可愛い妹を汚しやがった友達ってのは!速攻で地獄にたたき落としてやる!


「え!?あ、あーっと、それは同じクラスの静菜ちゃんっていう娘なんだけど……」


「静菜ああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあ!」


俺は叫んだ。そして、部屋のドアをぶっこわさん勢いで外に出る。


「ちょ!?兄貴!?どこ行くんだよ!?」


「その静菜ちゃんってのに一生癒えない心の傷を追わせてくる!」


「それどういうこと!?それに家出するんじゃなかったのかよ!?」


「家出なんてまた今度だ!ちょっくら行ってくる!」


「あ、いってらっしゃーい。夕飯――じゃなくて、朝ご飯までには帰ってこいよー。って!それも違う!行くってどこに!?まさか静菜ちゃんのとこ!?兄貴、静菜ちゃんがどこに住んでるのか知ってんの!?」


「腐女子の居場所は臭いでわかる!あと、いつまでも起きてないで早く寝ろよ!」


「誰が起こしたと思ってんの!?って、もう、行っちゃったし!」


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