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おKちゃん

 Qちゃんは、ここがどこかわからなかった。

 この更地の崖の上にQちゃんは住んでいた。かつてそこは森だった。あまりにも変わっている。わからなくても当然だろう。

 でも、もし、わかったら、Qちゃんは、きっといっぱい泣いたと思う。


 ここにはおKちゃんが住んでいた。私を含め5人の子どもを抱えて離婚したQちゃんを物心両面で支えてくれた人だ。


 おKちゃんのおっぱいで私は育った。Qちゃんのおっぱいの出が悪かったからだ。


 おKちゃんは幾つかの場所に田畑を持つ自作農家だった。Qちゃんはお金を稼ぐため、おKちゃんの畑のお手伝いをした。させてもらったといったほうがいいかもしれない。


 それから10年ほどして、Qちゃんは転居した。

 でも、100mほど移動しただけだ。


 その後の二人の関係はわからない。そのうちに疎遠になったと思う。転居した我が家におKちゃんが来ることはなかった。


 しかし、今も、Qちゃんの話の中におKちゃんは出てくる。

「世話になったからねえ。あんないい人はいるもんじゃないねえ」

 この更地がおKちゃんの住んでいたところだと言ったら、Qちゃんはどうなるだろう。泣くだけで済むだろうか。

 わからないほうがいいこともいっぱいある。


ブログ「Qちゃん 103歳 おでかけですよー」より 改稿


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