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光の先へ

目の前の美女が示している場所は、きっと彼女が見えている私にしかいけない場所。


そして、私が行かなければならない場所。


何故か、そう確信できた。


ルビィは導が見えているって言ってたから、私がいなくなってもこの魔空間から出られなくなるなんてことはない。


ーーーだったら、行くしかない…!


「ねぇ、ルー様」


私へ向かって手を差し伸べる美女を見つめたまま、私は私をここまで追って来てくれた優しい人に声を掛ける。


「アナ?」


「私は大丈夫だから」


私の言葉の意味がわからないと顔を顰めるルー様を見上げて、ルー様が安心できるように精一杯の笑顔を向ける。


「またあとでね」


そう伝えると同時に、私は美女の手を取った。


その瞬間、眩いばかりの閃光が走ったかと思うと、私を一瞬で覆い尽くす。


「アナ!!!!」


焦ったように私を呼ぶルー様の声は、もう私には届くことはなかった。




ーーー




突然の閃光に驚き、後ろを振り返った時には既にユリアーナの姿はどこにも見当たらず、一瞬前まで彼奴がそこに居たであろう場所を空虚に見つめる我が主が佇むばかりであった。


はて。

彼奴はどこに行ったのか?

まさか主が付いていながら、道を外れたなどということはあるまい。


ふむ、と状況を整理するべくルビィはのんびりと尻尾をゆらりと振るった。が、次の瞬間、その尻尾は毛を逆立ててピンと張り詰める。


そして、次に儚げな黒猫(見た目だけ)を襲ったのは、地鳴りのようなゴーゴーという重い響きと平伏さずには居られないほどの凄まじい圧。


紛れもなく目の前の人物から放たれたそれ。


全身の毛を逆立てながら、恐る恐る自分の主を見上げて、そして後悔した。


ーーーこっわ。主こっわ!

あれは見るものではない。

そもそもあれは人に分類していいものなのか?

元魔王である我をこんなに震え上がらせるなど、もう既に人の域を超えておらぬか?


はて、何故主はあそこまで怒っておるのか。

無論、彼奴が突然消えたからである。

彼奴というのは、主の半身であり比翼であり、番であるあの小娘のことだ。


彼奴はどこへ行った!

おかしな事に、匂いも気配も、纏う魔力も綺麗さっぱりすっぱり消えておる。

一刻も早く戻って来ねば、この魔空間だけでなく外の空間までも壊してしまいなかねないのでは?


そういえば、この光をも呑み込んでしまうほどの深い闇の中で、ああも強烈な閃光を放てる者など存在するのか?


何て、今考えても答えなど出ないと分かりきっていることを取り止めもなく考える。


ああ、そうだとも。

もうこの際、現実逃避だと認めよう。

存在感を消すように、息を殺して状況整理に徹しようと決めた。


決めたがしかし、そうはいかないのが世の常である。


「ルビダリス」


地を這うような声で真名を呼ばれ、びくりと身を震わせる。


「貴様、この魔空間は導が分かれば危険はないと言ったな?」


うむ。

主を庇ってこの闇に囚われた小娘を見て、世界を滅ぼしかねない魔力を爆発させそうになっていた主に、確かに我は言った。


まぁでも、今にして思えばあのまま世界が滅びても面白かったかもしれん。

我も大分あの小娘の影響で角が取れていたものよ。


うむ、察しの通り、これも現実逃避よ。

ああ、やだやだ。

誰か変わって。


なんてことを考えているうちに、首根っこを捕まえられてぶらりと宙に攫われる。


「では、道から突然消えた場合は?ユリアーナはどこに行った?

ーーーそもそも、あれは何かに手を伸ばしていた。つまり、私たち以外にこの空間に存在したものがあったということだ」


目の前には恐ろしい主の顔。

我、生きてここから出られるかにゃ?

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