第5話 主人公は残念な子
「おう、圭一」
「こんにちは、圭一くん」
そう言って俺たちは立ち止まった。
「ミコちんちゃんとあおっすおっすー」
東雲圭一。こいつは突き詰めたら、とことん追求するオタク体質で、最近ではマグロナちゃんとかいうユーチューバーにはまっている。
主に俺のサブカル無駄知識は、こいつとの付き合いの過程から得たものだ。
野球では、この性格がいい方向に働いている。
しかしこの前、公園で子どもに混じってポケモンカードゲームをやってるのを見た時は引いたなあ・・・
「おうおう、相変わらずシスコンブラコン拗らせてるな」
「そんなんじゃねえよ・・・ほら、危ないやん?」
今朝からの頭痛のタネを思い出す。
「あー・・・なんだろなあの外人」
「シュウちゃんやばくね?本物の宇宙人とかいってたよな?ほんまタフィーも呆れとったわ!」
「クソ漏らすしな・・・」
「下だけジャージだったよな」
「エグいよな」
シュウちゃんのあれを思い出し、兎彩が後ろを向いて吹き出している。
いつまで続くんだろなあ、というようなことを話しながら、一緒にスーパーに行くことにする。
18歳「あ、兎彩あれも・・・」
16歳「お菓子は一つだけだよお兄ちゃん」
け「・・・うーんやっぱりやばいですね」
尊「・・・神羅万象チョコ箱買いしてる大人に言われたくねえよ」
け「俺のは、バイトで稼いだ金だからいんだよ。駄々こねていいぞ。そこの床で。『お菓子を買ってと駄々をこねる光寅大会準優勝投手』インスタ映えするだろ。」
尊「やめて。ドラフト指名なくなるわ。」
け「プロ入りしたら、どうすんのお前。兎彩ちゃんいないと生活ままならなくね?」
残念な子「うーむ・・・楽だからって家から通える高校を選んだ弊害がここで出るとは・・・」
け「やはり寮あるところでしごかれるべきでしたかねえ。」
残念な子「まあ大体兎彩のせい」
兎「えぇ・・・」
け「・・・ちゃんとあのせいにすんな」
け「ガッフェに拾われるといいな・・・AHRAだと死刑宣告に等しいぞ」
残念な子「ガッフェされたくねえよ」
け「てょ化しそうだよなミコチン」
うだうだ喋りながら、一通り買い揃え、家路に着く。