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プロローグ
「ここはなんだか調子が悪いみたいだね」
一星は机の上のラジオをコツコツと叩いてみた。だが、ノイズばかりが聞こえて肝心の中身はよく聞こえなかった。
「昨日から調子が悪かったように思うんだけど、きっと雨のせいだと決めつけて、何もしなかったんだよ」
誰もいないように見える部屋で、一星はずっと話を続ける。
「これじゃあ、今日の天気も分からないな。今からここを出よう」
彼がコートと帽子に手をかけたその時、ふいにラジオのノイズ音が消え、アナウンサーの声が聞こえた。
「本日ゾディアニック王国では、星祭りが行われます。みなさん奮ってご参加下さい」
一星はラジオの電源を切り、家を出た。その瞬間、家は消えた。彼の背後にはただ荒野が広がるだけだった。