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終わり
日が傾き、山の色が全て黒に塗りつぶされていく。足元が見えるうちに下山出来て良かった。今僕らは、キャンプの全工程を終え、麓の駅まで来ていた。段々と濃くなる山の黒色を見ていて、改めて思った。帰って来られたのだ、と。
「おーい、悠平!乗り遅れるぞ!」
振り返ると、既に電車が来ていた。もうベルもなり始めている。ギリギリで滑り込むと、同時に扉が閉まった。もう一度、あの山を見ようと窓の外を見る。
ふと、駅のホームに見慣れない物があることに気付いた。いや、見慣れてはいたが、あるべきではないものだ。その中へと、一人の男が入っていく所だった。彼は僕を見ていた。そして手を振りながら口を動かした。
『またね』と。
ここまでどれだけの人が読んでいただいたのか解りませんが、こんな駄文にお付き合いいただきありがとうございました。
最後に一つだけ注釈をつけるとするなら、主人公は崖から飛び降りた時点で亡くなってます。
その前後で彼と扉との関係が微妙に変わっているのに気付いていただけたらそれだけで満足でした。




