第九十八魔 チャンネル登録
「やっほっほー。ブイチューバーの『ヤミノサマ』です!みんな元気ー?」
「また唐突に何か始まった!?今日は何!?ブイチューバーって言った、今?」
「今日はお友達の、『フツザダリ』が遊びに来てくれたよー。やっほっほー」
「その『やっほっほー』ってのやめて!?何でお前はそんなに人をイラッとさせるのが上手いの!?某有名ブイチューバーの『はいどうもー』みたいな挨拶なのかもしんないけど、お前のは寝苦しい夜の蚊の羽音並みにイラッとするんだよね!」
「もー、いいのかなそんなこと言ってー。視聴者のみんなに、フツザダリの暴言が公開されちゃってるよー。炎上しても知らないよッ」
「だとしたら完全にお前のせいだよ!えっ、待って。マジでこれ、ライブ配信されてるの?」
「そうだよ(便乗)。でも安心してよフツザダリ。私達はブイチューバーだから、みんなにはアバターの姿でしか見えてないから」
「だとしても俺は嫌だよ!帰らせてくれ!」
「ダメダメ~。今日の企画は、視聴者からの質問に、1000個答えるまで終われないって企画なんだから」
「1000個は多過ぎだろ!?一生終わんねーよそれ!?……ちなみに俺のアバターは、どんな姿なんだ?」
「ムキムキマッチョでセーラー服を着た98歳のおじいちゃんだよ」
「俺に恨みでもあるのか!?頼むからまともなのに変えてくれ!」
「でも視聴者のチャット爛は、『萌え~』ってコメントで溢れてるよ」
「日本に何が起きてるの!?みんな集団催眠でもかけられてるの!?……ちなみにお前は、どんなアバターなんだよ」
「ムキムキマッチョでセーラー服を着た98歳のおじいちゃんだよ」
「俺達双子なの!?誰が見たいんだよそんな地獄絵図!?」
「でも視聴者のチャット爛は、『萌え~』ってコメントで溢れてるよ」
「お前コメント操作してないか!?ムキムキマッチョでセーラー服を着た98歳のおじいちゃん二人が並んでる動画見て、感想が『萌え~』だったら、しかるべき施設で検査受けた方がいいよ!」
「やっほっほー」
「次『やっほっほー』言ったら本気で怒るぞ!てか、ムキムキマッチョでセーラー服を着た98歳のおじいちゃんが『やっほっほー』言ってる絵面は、エッジ効き過ぎだろ!?」
「おっ、早速視聴者から『二人は休みの日は何してるの?』って質問が来たよ」
「ホントに興味あるそれ!?……まあ、98歳のおじいちゃんなんだから、俺は普通に盆栽いじりとかなんじゃない?」
「ちなみにヤミノサマは休みの日は、ネイルサロンに行ったり、エステに行ったりして、自分磨きをしてるよ」
「98歳のおじいちゃんが!?さっきから見た目と内面のギャップがエグ過ぎるよ!完全にキャラ設定ミスってるって!」
「でもチャット爛は、『ギャップ萌え~』ってコメントで溢れてるよ」
「みんなギャップ萌えの意味知ってる!?ギャップがあればいいってもんじゃないんだよ!?」
「あと、『無人島に一つだけ持っていくとしたら何?』って質問も来てるね」
「ええ~、無人島にかー。まあ、普通はサバイバルナイフとかだと思うけど」
「私はエステティシャンを連れてくね」
「自分磨きガチ勢かよ!?てか、遭難者を増やすんじゃないよ!」
「ちなみにエステティシャンも、98歳のおじいちゃんなんだけどね」
「この世には98歳のおじいちゃんしかいないの!?」
「よし、次のコメントいってみよー。『二人があっち向いてホイをしてるところが見たい』やっほっほーだってさ」
「今『やっほっほー』言っただろ!?何気なく言っても、俺の耳は誤魔化されないぞ!ていうか、最早質問じゃなくて要望になってんじゃねーか!」
「まあまあ、せっかくだからやってみようよ。じゃあいくよ。最初はグー」
「「ジャンケンポイ」」
「あっち向いてホイ!」
「「ジャンケンポイ」」
「あっち向いてホイ!」
「「ジャンケンポイ」」
「やっほ向いてホイ!」
「ちょ、ちょっと一回待って!今、『やっほ向いてホイ!』って言っただろ!?」
「んーん、言ってないよ」
「何で平然と嘘吐くんだよ!?チャット爛にも、『やっほ向いてホイ萌え~』ってコメントが溢れてるぞ!」
「それは私が自分で打ったコメントだから」
「やっぱ自作自演なんじゃねーか!?ホントは誰も見てないんだろこんな動画!?」
「でも、視聴者数は200億人超えてるよ?」
「地球の人口より多いじゃねーか!?絶対バグってるよそれ!」
「まあまあ落ち着いて。じゃあ、次の質問は――」
「沙魔美ー、ご飯出来たわよー」
「あ、ハーイ。――ごめんねフツザダリ。私ちょっと用事出来たから、後は一人でやっといて」
「実家だったのここ!?お前は実家に帰ってきてまで、こんなくだらないことしてたの!?てか、質問に1000個答えるまで終われないんじゃなかったのかよ!?絶対ヤだぞ俺は、一人でやるなんて!」
「よかったらみんなも、チャンネル登録よろしくね~。やっほっほー」
「誰がするかよ!!」




