レツゴーきちがいくん・2nd Punish
私だ。高坂幸男だ。
知らないならそれで別にかまわない。でもやっぱ許さん!
そんなことはどうでもいい。今日も悪い気違いを爆殺してやろうと思いつつ、街をニヤニヤしながら時速2.85kmで歩行中だ!
「キャー助けて!」
悲鳴だ! 若い女性の悲鳴だ! なんという、なんのヒネリもない悲鳴なんだ! でも美声だ! いいぞ! 絶対美人だ! 100パー美人だ! 助けよう!
でも今は無理だ。所持金が1051円しかないから無理だ。女性を助けても、ラブホテルに連れ込む金がないから無理だ! 残念だ! でもやっぱ助けよう!
ダッシュで美声女性のところまで行くと、そこではなんと! 特殊警棒を持った男が女性に絡んでいるぞ!
「へっへっへ、どうだい? この黒光りする重さ429グラムの特殊警棒は? グリップの直径なんて、26mmもあるんだぜ!」
「ひい……なんて重さなの! 429グラムだなんて!」
男が、通販で買った感じの特殊警棒を女性に自慢している!
なんてひどいヤツだ! かよわい女性に武器の自慢をするなんて! 目も当てられない惨状だ! この世には神も仏もないのか! もうちょっと見てみよう!
「へっへっへ、普段は20.5cmで、伸ばせば53.5cmにもなるんだぜ! 女性を暴漢から守るのにすごくいい武器なんだぜ! へへへ!」
「ああ……しかもカーボンスチール製で、値段は8000円なんですって?! こんなのでどつかれたら私……即死しちゃう! 怖い!」
いけない! このままでは女性が(精神的に)危ない! どうすればいいんだ! ちょっと助けてみよう。
「やめろ!」
「誰だお前は!?」
「高坂幸男だ!」
「なんだとあの高坂幸男だと?!」
「知ってるのか! オレはそんなに有名か!」
「知るか! 帰れ!」
「いやだ!」
「なんでだ!」
「高坂幸男だからだ!」
「くそう、なんてヤツだ! 怖い!」
「うるさい! さっさと帰れ! それと5000円よこせ!」
「なんでだ! ホテル代か!」
「なぜわかった! 早くよこせ!」
「黙れクソ! こうなったら!」
男は自分がいままで女性に自慢していた特殊警棒に、ナイフを突き付けた!
「これで手も足もでまい!」
なんという悪虐非道な男だ! 自らの特殊警棒を人質にとるなんて! このままでは特殊警棒が傷ものにされてしまう! なんの罪もないスチールカーボン製の特殊警棒が……!
「卑怯だぞ! 帰れ!」
「うるさい! お前が帰れ! 特殊警棒がどうなってもいいのか!」
「キャーやめて!」
女性も特殊警棒が心配でならないようだ!
くそ、どうすればいい……? さっさと帰ってドラゴンボールの再放送を観るべきなのか……? どうすれば……!
「そうだ!」
こんな時こそ、かねてより隠し持っていたショットガンで!
「手を上げろ! 撃つぞ!」
「ギャアやめて! 撃たないで!」
「命乞いをしろ! 特殊警棒を放せ!」
「すごい! 大逆転ね!」
女性の顔に笑みが戻ったようだぞ! やったーホテル行きだ!
しかし、さすがはショットガンだ! 武器が導いた平和だ! 殺そう!
「助けて!」
「いやだ!」
「それでもマジで助けて!」
「なぜだ!」
「お腹が痛い! あと2分39秒でウンコが漏れる!」
「それじゃあ仕方がないな……」
「そんな重大な用事があるのなら、しょうがないわよね!」
「勝手に喋んな! さっさと帰れ!」
「ありがとう! さようなら! バーカ!」
武器自慢魔はダッシュで施設に帰っていった。すごく速い! オリンピックに出ればいいのに!
「ありがとう、助かりました」
美声女性がお礼を。
あれ? この娘、よく見ると涼宮ハルヒに似てるぞ! カワイイ! 好みだ! よかった! 付き合いたい! でも結婚はまだ早いかな……。ハルヒの両親がどう言うか解らんしな!
うん、あとはどう、ホテルに誘うかだが……どうしよう? 正直にすべてを打ち明けるべきだろうか? 俺が良い気違いであること、所持金が千円程度しかないこと、どちらかと言えば鶴屋さんのほうが好きだということを……。
「別に構いませんよ、私、読心術者だし、変な人同士、気が合いますよ! マジで!」
「なんだって!? 唐突だな! デウス・エクス・マキナだな!」
そして俺は、『とりあえず結婚しよう』と心の中で思った。
「……はい」
と、彼女は頬を染めつつ頷いた。……ハルヒっぽくねぇ! でもいいぞ! 99パー美少女と言える外見なんだし、超オッケーっすよ! 気違いでよかった!
いわゆるハッピーエンドってヤツだな! ていうかもう、グダグダだな!
思いついたまま推敲もせず書くとこうなりますので気を付けて!
終了。