名前
【注】2話からより、読みやすい書き方にしますので、書き方が変わりますが驚かないでください。
「故・父は故・田舎者勇者に世界の5割をやるから仲間になれと言ったが、父の領地は魔界の1割しか無かったな…」
魔王は先代魔王から魔界の領地を受け継いだのだった。しかし受け継いだ領地にはほとんど何もなく、小さな村が3つほどあるだけであった。しかもその村に住む連中は魔界最弱と呼び声低き、スライム族達だ。
「今、僕の領地は…いや、もう魔王になったのだし、一人称を我としよう。我が領地は魔界の1割にも満たないかも知れない。しかも領地の住民は魔界最弱のスライム族のみ。とても部下にはできないな。おい!爺や!」
「はい坊っちゃま〜!い、いえ、若様。」
実は魔王が受け継いだの土地だけでは無かった。むしろ土地より良いものを受け継いでいた。そう、執事のグロームだ。彼はゴブリン族でとても頭がキレる。父が彼が奴隷として売り飛ばされそうになっていた所を買い取って助けたそうだ。
それ以来父を慕って家臣となった。
「若様、私が留守の間に先代魔王様が殺害されるとは悔しくてたまりませぬ…」
グロームは悲しみの涙を流している。それほどまでに父と深い仲だったのだ。あの父と…
「爺よ。我は魔王となった。しかし領地が小さすぎるし、魔界の他の奴らにはおままごとだなどと言われておる。なぜ父はこんな規模の国を作ったのだ?住民にはスライム族しかいないし…」
「お父上様は弱いとバカにされていたスライム族を哀れんで、この国をお開きになられたのです。」
「よくスライム達も父を王と認めたものだな」
「お父上様には武力はありませんでしたがずる賢い知性がありました。スライム族達もそのずる賢い知性に賭けたのでしょう。」
「だが結果、父は死んだ。ずる賢い知性も勇者の前には役には立たなかった。」
「しかし、あなたがその知性を受け継いだ!それにあなたの母上の鬼神の如き力も!勇者を倒したあなたに、国中のスライム(100匹程度)も沸いております!」
「そういえば、どうして父と魔神の母が結婚したのだ?」
「それはあまり知りませんな…お父上様はある日生まれたばかりの若様を抱いて城に戻られました。若様の母親に当たる女性は⁇と聞くと魔神の娘だが、もう死んだ。と申されました。それ以上は話して貰えませんでした…」
「魔神の娘である母。気にかかるな…」
「魔神の娘であるなら魔神が祀られている地下遺跡群に行けば何かわかるかも知れませんね。」
「そうだな…」
「そうだ!若様、魔王になられたんでしたら名乗る名前はお決めになられたのですか⁇」
「名前?」
名前など考えた事も無かった。父からは息子よとしか呼ばれなかったし、グロームからは坊っちゃまと呼ばれていたから考える余地も無かったのだ。
「魔王は魔王○○○というように名を名乗るのです!名無しの魔王なんて情けないですからね。」
「父にも名前があったのか?」
「もちろん、『魔王ザコロス』と名乗っていらっしゃりました。」
全く知らなかった。
「 名乗るならクールな感じが良いな…よし!
『魔王ウルム』なんてどうだ?」
「素晴らしい!ウルム様…良いですね!」
「この名で魔界を!世界を!うち震わせてやるわ…」
魔王ウルムとして、新しいスタートを切ったのであった!
先代魔王の年齢が400歳です。人間にして40歳
魔王ウルムの年齢が150歳です。人間にして15歳
グロームの年齢が500歳です。人間にして50歳
魔界と人間界では時間の流れ方が10倍違うという設定です。後々使うかもしれません。