第5話 田中という男
フェガリア聖国には、古くから伝わる物語があった。
その物語はこんなものだ。
あるとき、この国は魔物の大群と魔王に襲われる。
国中の者たちが総力を持ってこれを迎え撃つが、かなわず。
誰もが絶望に打ちひしがれているときに、彼らは現れた。
黒髪黒目の青年と、多くの女たちだ。
女たちは全員白銀の髪をしており、全員不死族、と名乗っていた。
黒髪黒目の青年も、戦闘しているときは白銀の髪をしていたそうだ。
そして、誰もが異常なほどの強い。その強さが、彼らをより一層輝かせていた。
国王の前に突然姿を現したその者達は、自分たちが魔王と、その手下どもを殺す。と言った。
国王は喜び、彼らの助力を心から感謝した。
状況は一変。苦戦していた魔物達も楽々屠り、ついには魔王まで彼らは倒してしまった。
人々はそれを見て、恐れを抱いたが、魔物達が死んだことへの安堵の方が強かった。
だが、彼らはあるとき、突然姿を消してしまった。
人々は泣いた。国を救った英雄が、いなくなってしまったことを嘆いて。
そして、もう一度彼らを呼び戻すため、国は召喚の儀と呼ばれるものを開始する。
再び現れた魔王に対抗するため、英雄に力を貸してもらうため、だ。
黒髪黒目の少年少女を国は召喚した。
誰もが神と話したという。
だが、一向にその青年はあらわれなかった。
彼らの仲間であった女たちもあらわれない。
今なお、召喚の儀が行われているのは、その頃のもので、再びあの青年が現れるのを待っているだ。
現在に復活した魔王を、襲われる前に倒すために。
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そんな話を、現代日本から呼び出された俺は、国王と名乗る人物からされていた。
だが、そんな話、神からは聞いてない。
神から言われたのは、アレンっていう奴を聖国の教会まで運べ、というものだ。
突然呼び出しといて、いったいなんの冗談かと思った。
不死族か?とか意味わかんねぇ。
部屋でネットゲームをしてる途中でいきなり浮遊感に襲われたら、ラズニエルとかいうエロい胸した女がいたんだ。
そのとき直感で、これが異世界転生だと俺は喜んだ。
チート能力もつけられるだけつけた。
あまりの強さに、神殺しをした瞬間に俺は死ぬ体にされたらしいが、そんなもの、障害にはならん。
神は基本的に俺の味方だとラズニエルは言っていたので、その障害は障害ではなくなったのだ。
その後、アレンと言う男のことを聞かされた。
街の闘技場を吹っ飛ばしたにも関わらず、記憶を操作して街に溶け込んでいる魔王とか、横にいる二人の女も力づくで手に入れ、催眠術にかけたのだ、とか。
奴を憎むには十分すぎる理由だ。
ラノベとかによくある悪役ってやつだ。
だから俺は決めた。
奴を殺すと。
そして、国中からたたえられ、姫様と結婚して、国中の女とヤりまくる。
それが俺の野望だ。
前の世界…日本には興味はない。
退屈しか待ってないあの世界では、俺の欲望を満たしきれないと思ったからだ。
軍隊を率いて、俺はお告げがあった商業都市へと向かう。
なんでも最近、大きな山のような魔物が現れたらしい。
もう退治されたらしいが。
そして、クソったれな都市の代表みたいなやつが現れた。
俺はお約束なセリフを吐きつつ、戦場で女をむさぼるのはどうかという結論に至った。
どうやらこの世界、女も戦場に立つらしい。
美人からそうでないのまで、様々だ。
そんなことを考えていたら、空中に浮かぶやつを見つけた。
神がくれた能力で作り出した必中・防御無視・呪い攻撃が付呪されたチートな拳銃を突出し、3発、発砲する。
奴は目にもとまらぬ速さで逃げたが、そんなもん関係ない。
放たれたが最後、絶対にあたるのだ。
案の定、あっさりと奴は落ちてきた。
兵隊たちの強さも上げてやる。
チート能力ってすげぇ便利だ。
なんでも意のままに操る…ってな芸当は流石にできないが、軍勢の強化もできたりするのだ。
強化された視力で、最前線の可愛い女を見つけた。
胸もでかく、外見も俺好みの顔をしている…あ、あの兵士、あとでぶっころそ。
と、思ったら、アレンが女を助けてた。
俺は疑問に思うが、きっと手籠めにする気だなと思ったら、逆に怒りがわいてきた。
呪いを受け、銃弾も受けていて、9割能力が弱体化しているはずの奴は、異常な攻撃力を持った砲撃をしてきた。
ちょっときついが、俺には魔力吸収能力がある。
全部吸収してやったら、内側からはじけそうだったので、すぐさま奴にぶつけた。
そこからはもう流れ作業だ。
気を失ったアレンを封印が施されている鉄縄でぐるぐる巻きにして、簡素な馬車に乗せる。
もう一人の女性…セルリアって言うらしい。
彼女は俺と面と向かっても物怖じ一つしなかった。メイド服まで着ていて、とても俺の劣情を煽った。
だが、ここは野外だ。青〇する気は流石にナイ。見せると減ると思うからだ。
仕方ないので、聖国についた後、夜に食事を二人っきりでとることにした。
もちろん、まだ彼女には手を付けてない。楽しみは後に取っておくタイプだからな。
さて、もうすぐ聖国だ…今日は国王に報告して、そのあとすぐ姫様とヤっちまうか。多少強引でも救国の英雄様が迫ればどんな女でも落ちるだろう。
そして、そのあとはアレンを牢にぶち込んで、セルリアと食事して、目の前で手籠めにしようとした奴を犯してやろう…。
アイツがどんな表情をするか楽しみだ。
そしたら、すぐに教会につれてって最高神に奴を殺してもらおう。
処刑現場に俺も居合わせられるかな?そしたら思いっきり奴をぶん殴りたい…。
そういえば、来るときに見たあの美人の猫少女と、清楚で巨乳のお姉さんもいなかったな…探し出して、絶対に犯してやる…。




