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第4話 結婚

クローディアとリリアは地上へ降り立つ。


その後、リリアとクローディアにぼこぼこに殴られたアレンはどこか幸せそうな表情をしていた。


そして、


「アレン!」


「アレン君!」


二人に同時に呼ばれたアレンは、はいっ、といい声で返事をした。

アレンはどこか安心したような、不安そうな顔をしていた。

クローディアがそれをにらみつけながら言う。


「アレン…アンタに言いたいことはたっくさんあるけど…まず、私たちから言うわよ…」


なぜかもじもじとしだすクローディア。


「どうした?トイ「殺すわよ?「ごめん」


再び睨み付けられたアレンは動けなくなる。

クローディアは一息で言い切った。








「アレン!私たちと結婚しなさい!!」









周りに静寂が訪れる。

最初に反応したのはリリアだった。


「え!?クローディア!?え!?私【たち】って言いました!?」


聞き間違いじゃないかと疑うリリアだったが、クローディアはフンと鼻をならし言い切る


「間違いなく【たち】って言ったわ!リリア、いいじゃない…私も、リリアもこのどうしようもない臆病者で心配性で…それでも強いこの男に惚れたんでしょう…?だったら問題ないわ!!」


「え…///まぁ、そう、ですけど…いいんですか?アレン君は…?」


その声にようやく我に返ったのか、アレンはきょろきょろとあたりを見渡す。


「え?どっきりじゃ、ないよね…?」


「どっきり?なによそれ。」


再び静寂がアレン達の周りに訪れる。

切り出したのはアレンだった。


「え?…本気なのか?リリアも?というか、二人とも超魅力的だから…うん…こっちとしても関係がこじれることが無くて、ありがたいというかなんというか…」


意外と冷静に言うアレンだった。


「あ、はい…というか、手紙じゃ結構迷ってましたよね?アレン君…」


リリアがもじもじというのを見て、クローディアはまどろっこしくなってきた。


「あぁああ!もう!!アレン!」


「へい!?」


「いい!?私たち二人が今日からあんたのものよ!!光栄に思いなさい///!!」


「はい!!ありがたき幸せ!!」


「それじゃあ、私とリリアになんでこんな回りくどいやり方したのか言いなさい!!」


そのクローディアの言葉にうっ、と詰まるアレン。


「アレン君…」


リリアはまだ何か考えているようだったが、アレンがぽつぽつと話し始める。


「いや…これからは大変な戦いにな「それは書いてあったからわかるわ。なんで、私に告白して、リリアに告白までされて、なんでいきなり消えたりしたの?」


クローディアは先ほどまでの勢いを弱め、アレンに尋ねる。


「…心配だったんだ。あんなこといった手前、クローディアから嫌われるかもしれないっていう思いと、リリアからの告白で心が動きそうになった自分が嫌でもあったんだ…」


「…そう…アレン…やっぱりバカね…」


「なっ!?俺は真剣に…」


クローディアはアレンをしっかりと見据える。


「男だったら、二人の女くらい抱え込めるようになりなさい!私のこと…毎朝毎朝めちゃくちゃにしてくるくせに、肝心なところで逃げるのはもうやめなさい!いいわね!!」


「でも……俺は一人に決められなかったんだ…クローディアも、リリアも好きだった…どうすればいいのかわからなかったんだ…」


その言葉にわきで聞いていたリリアは疑問に思う。


「…?アレン君?もしかして、一人の女性としか結婚しちゃいけないっていう教会にでも所属してるんですか?」


その言葉にえ?と疑問符を浮かべるアレン。


「いや、そういう訳じゃないけど…なに?もしかして、この世界って…」


クローディアが前にアレンが話していた【日本】の話を思い出した。


「あー…アレン?えっと…この世界じゃ、二人の奥さんも持っていいのよ?」


「へ…!?」


アレンの中の何かが解き放たれたような気がした。


「じゃあ、リリアとも、クローディアともいちゃいちゃしていいのか!?俺は!?」


なぜか鼻息が荒くなるアレンを見て、腹パンするクローディア。


ぐふっ、とうめき声をあげるがすぐに立ち直ったアレンは、二人を抱きしめ、ささやく。


「……ごめん…二人とも……これから、よろしくお願いします…!」


そのささやきを聞いた二人は目に涙を浮かべる。


「…もう…バカアレン…こちらこそ、お願いするわ…」


「アレン君…わたしこそ、よろしくお願いします…」


目を閉じていたアレンには見えなかったが、ログが更新されていた。


ー夫婦関係構築を確認ー


ー不死族因子が反応ー


ークローディア、リリア両名に不死族因子を埋め込みますー


ー完了ー


ーログ履歴、手動により削除されました。-




―――――――――



3人はどちらからともなく離れ、互いの顔を見てすこし顔を赤くする。

だが、リリアが思いつめたような顔をしていることにアレンが気付く。


「リリア…?どうした?」


アレンが尋ねると、リリアは話し出す。


「えと……アレン君…「リリア、アレンでいいよ。」


その言葉にリリアは顔を赤くする。


「じゃ、じゃあアレン…えと、こんな関係になってから言うのもアレなんですけど…私…言わなきゃならないことがあるんです…」


「うん?」


思い切った様子でリリアは暴露する。









「わ、わたし…ハーフ、エルフ…なんです…」











三人の間に静寂が再び訪れた。







「……ん?それだけか?」





アレンはそのあとに言葉が続かないことに疑問を感じ、リリアに聞き返す。


「え!?…だって私、あの、ハーフエルフですよ!?エルフからは忌み嫌われ、人間からも長寿なことから差別を受けているあの、ハーフエルフですよ!!??私は、人間でもエルフでもないはみ出し者です!!どうしてそんなに平然としているんですか!?」


関が切れたようにとめどなく言葉が出てくるリリア。

アレンとクローディアは二人とも不思議そうな顔をしているのが、リリアには理解できなかった。

そんな時、アレンは言う。


「あのな、リリア。今更だぞ?よく考えてもみろ…俺はこんなだし、クローディアは獣人だ…そして、リリアはハーフエルフ…だからなんだってんだ…?」


「そうよ、私も、アレンもそんなこと気にしないわよ?」



リリアは予想外なその言葉に泣き出してしまった。

アレンは優しく語りかける。


「……リリアが今までつらい思いをしてきたのはわかった…でも、俺と、クローディアだけはお前の味方だ…俺たちはそんなこと気にしないぞ?いいか、俺たちは夫婦なんだ。これから先もつらいことがあるかもしれんが、そんなもの俺が吹き飛ばしてやる………ほら、顔を上げるんだ、リリア。」



その言葉を聞いて、泣き顔でアレンを見つめるリリア。




その瞬間、リリアの唇と、アレンの唇が重なった。




その様子を見ていたクローディアは


「あー…、こうして見るとなんだか変な気持ちになるわね…」


などと呟いていた。





「んむっ………」


しかもディープな奴だ。そして長い。もう数十秒はキスしているだろうか。


アレンの手はリリアの背中からお尻の方に移動して、絶妙な手つきでなでまわしている。


「んふっ…んあっ…んんんっ!!」


リリアはもうすでに泣きやみ、顔がリンゴのように赤くなってしまっている。




たっぷり堪能したアレンはようやくリリアを開放する。




「ぷはっ…ごちそうさま、リリア。とってもよか「もう!いきなりなにするんですか!?」


真っ赤なリリアに腹パンされ、ごふぅ、とうめくアレン。

クローディアの方に倒れこむと、なんとクローディアのほうからアレンの唇にキスをし始める。


「んむっ!?ぷはっ…クローディア!?どうし「いいから、黙りなさい…「むっ…」


こちらもたっぷり堪能し始めた。


アレンはいつの間にかクローディアを抱きすくめ、いいようにしてしまっている。

ふにゃ、とかにゃああとか嬌声が響く。




それからは三人でいちゃつき始める。


アレンの右にはクローディア。

頭を撫でられ、とても気持ちよさそうにアレンにすり寄る。

そして、アレンの左にはリリア。

リリアの方からアレンの左腕に胸を押し付け、体を預けるように寄りかかる。


三人を止めるものは、誰もいなかった。

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