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月光が照らすもの

門をこじ開け屋敷へと進み、途中で部隊の半数を裏口に行かせて対象の脱出路を抑えた後俺と残り半数は屋敷内へと侵入した。


細かな作戦なんて存在しないので


「カチコミの時間じゃゴルゥアァァァァ!!」


悪徳貴族を成敗しにきた正義の味方ではなく、どちらかというと討ち入りに来たヤクザのように正面扉を蹴り壊して突撃した。


「隊長殿が先陣を切ったぞ!我らも続けぇぇぇ!!」


「「「「おおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」」」」


即席の部下たちもそれぞれ剣を抜いて迎え撃つ私兵たちに突っ込み、俺は突撃しながらM1897を乱射し散弾によってミンチになった屍を踏み越えていく。


「逃げる奴は私兵だ、逃げない奴はよく訓練された私兵だ!ほんっと、屋敷は地獄だぜ!!」


「そうなんですか?」


「すまん、ふざけすぎた。」


流石は近衛騎士団、冷静に突っ込みながらも確実に敵を仕留めながら俺に追従している。


そんなことを繰り返しながら俺らは向かってくる敵を倒しながらそこらじゅうの部屋のドアを開けて目的の貴族を探したが、それらしい人物は見つからず、いたとしても事情を知らないメイドなどの使用人たちが部屋の隅で縮こまってるくらいだ。


裏口に部隊を展開させているが、万が一ということもあり得るので彼らから居場所を聞くか。


俺は兵士たちに捜索を続けさせ一か所に纏めた使用人の中から適当な人間、丁度奥にいる男性と目が合ったので彼に聞くとしよう。


「おい、そこのあんた。」


「はっ、はいぃ!私はただの料理人ですのでどうか命だけは!」


「抵抗しなけりゃ殺さんよ。で、あんたの御主人はどこだ?」


俺は前に進み、額を床に擦り付けるようにして跪いて命乞いをする料理人らしき男の前で立ち止まった。


「ぱ、パルク様ならこの時間帯はいつも三階の寝所にお入りになっておられるのでおそらく……。」


「そうか、情報提供感謝する。あと、最後に一つだけ。」


俺は腰を下ろして口調を強めて













「右肩を見せてもらってもいいか?」





「へっ?」


「いや、さっきから右腕だけ微妙に震えてるし薄らと包帯っぽいものが透けてるんだよ。しかも包帯の巻き方が素人目でも雑だから結びなおしてやろうと思ってね。心配すんな、俺はこう見えても応急処置だけは一級品だからさ。」


「いっいえ、お気になさらず。これは私が数日前に包丁で」


俺はその瞬間、男の頭にM1897を突き付けた。


「手の甲や指ならまだしも、料理人が一体どんな包丁の使い方したら肩に傷ができるんだ?誰かに刺された。とかじゃないと説明がつかないんだよ。」


男がその瞬間、アッパーのように手を突き出しいつの間にか握っていたナイフで攻撃してきたが身体強化で後ろに飛び、足に向かって発砲した。


「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ!!!!」


片足を吹き飛ばされて悲鳴を上げてもがくが、俺は胴体にもう一発撃ちこんで絶命させた。


「隊長殿!どうかしま…っ!?こいつは!?」


「ああ、あの時のウェイターに間違いない。」


まさかここの家に雇われていたとはな。


手間が省けたが、肝心の貴族の居場所が分からなくなったな。


あいつが本当の事を言ったとは思えないので、どうするか考えていると銃声を聞いて戻ってきた兵士たちが近づいてくると


「先ほど裏口に行った部隊から伝令が来ました。なんでも、パルク伯爵とその家族らしき人間を捕縛したとのことです。」


「私兵たちの排除はあらかた終了しました!」


「執務室からクーデターに関する証拠に加えて、横領などの不正が疑われる書類が山ほど出てきました!」


流石は近衛騎士団、優秀な人材がそろってるので指揮が楽だ。


「よし、速やかに撤収する……ん?」


撤収命令を出そうとした時、俺は首を傾げた。


戻ってきた兵士たちは3人、俺と一緒に突入したのは5人。これでは計算が合わない。


「あれ、パトリックとジョニーは戻ってないのか?」


「あいつらは確か二階に行ったはずですが……呼んできますので少々お待ちを。」


「いや、俺が行ってくる。お前たちは裏口の部隊と合流してくれ。」


俺は探しに行こうとした兵士を呼び止め、M1897をリロードしながら一人で二階に向かった。

















「おい、大丈夫か!?しっかりしろ!!」


二階に上がりしばらく歩いた後、廊下で倒れている二人の兵士を発見したので慌てて駆け寄った。


見たところ外傷はないし、血も流れてないので生きているはずだと確信して脈を計ったところ微弱だが二人とも反応がある。


「待ってろ、すぐに応援を呼んでくる!」


俺一人では運べないので、一先ず近くの部屋まで運んでから下にいる部隊を呼ぼうとして廊下に出て階段に向かって走っていると


「うぉっ!?」


足に何かが引っかかって前に勢いよく転んでしまった。


受け身は取ったので痛みはあまりないが、ここは一直線の廊下だ。引っかかるものなんてないので転ぶことは不可能なはずだ。


俺が不思議に思って足元を見ると、そこには太いロープのような植物の蔓が俺の両足にしっかりと絡みついていた。


「なんでこんなもんがあるんだよ、さっきまでは無かったのに!」


悪態を吐きながらM1897を拾い蔓を吹き飛ばそうと引き金に手を掛けた瞬間、前方から足音が、しかも段々近づいてくる。


俺はその方向に銃口を向けて、薄暗い廊下の奥をじっと見つめた。


やがてその人物が立ち止まると、丁度真横の窓から淡いスポットライトのような月光が差し込んで包み込むように照らし全貌がはっきりとする。


絹のようにきめ細かく、月光に反射して一本一本がキラキラと輝いている長い銀髪


かつてヨーロッパ中の人々を魅了した白磁に匹敵する艶やかな白い肌


ワンピースをベースにして所々にフリルをあしらい、見ただけでも滑らかさが伝わる桜色のロングドレス


アニメや漫画の世界からそっくりそのまま抜け出してきたかのようで、尚且つ僅かながら大人の片鱗が見られる見目麗しい美少女


俺は落としそうになったM1897を慌てて構え直し、開いたままの口からポツリと言葉が転げ落ちた。

















「リリー…………………………。なぜ、お前が……………?」

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