強襲制圧作戦
パーティーは後日また日を改めて。という事になり参加者たちが次々に帰路に就く中、俺とフィオナさんは王宮の一室で跪き目の前にティアラを載せた美女、シャルロット大公殿下がドレス姿のまま椅子に座っている。
その中で俺一人だけが冷や汗を流して萎縮しているのはなぜかと言うと、スペツナズナイフを飛ばしたときもし刃が数センチでも逸れていたら突き刺さったのは犯人の肩ではなく、彼女の顔面になっていたはずだ。
それにあの場面、見方によれば俺が攻撃したと思われかねないので気が気でなく彼女の言葉なんて一言も耳に入ってこない。
「しかし大公殿下。畏れ多くも私たちは当然の事をしたまで、貴族として殿下に忠を尽くすのは当たり前のことです。」
「あなた方はいわば命の恩人。経緯はどうであれ忠を尽くした相手に謝礼を渡すのは君主の責務です。」
なのでさっきからフィオナさんとシャルロット大公の二人だけが会話していて、俺はただ跪いた状態で黙っている。
「それと、サクラさん……ですよね?」
「へっ?はっ、はい!」
「コードウェル嬢から話は聞きました。依頼である人物を殺害した犯人と協力した貴族を追っているんですよね。」
急に話しかけられたので慌てて返事をし、俺は彼女の質問に頷いた。
「あなた方が追っている貴族、知っての通り私の腹違いの兄や姉たちは以前から不穏な動きをしている事が解っていました。しかし、中々尻尾を出さなかったので動くことができませんでしたが先の襲撃でやや強引ですが大義名分が整いました。」
彼女が立ち上がり歩き出すと、俺の前で止まり顔を上げるように言うと真っ直ぐに俺の目を見た。
「大公、シャルロット・ヴィラーシャの名をもって命じます。フィオナ・コードウェル及びサクラ・マサヨシの両二名は公国近衛騎士団の指揮下に入り、暗殺者と逆臣を討ちなさい。なお、彼らの生死は問いません。」
「「大公殿下の御心のままに!!」」
彼女が澄み切った声で命令し、俺たちははっきりと答えて立ち上がりシャルロット大公の目を見ると部屋を後にした。
彼女の目には迷いがなく、どこまでも晴れ渡った覚悟を決めた表情をしていた。。
俺は現在、近衛騎士団所有の大型馬車に乗り10人の近衛兵達と一緒に移動している。
今回は一か所に纏まった対象を攻撃するのではなく各個撃破して可能な限り捕縛、無理なら排除する方針だ。
フィオナさんはあてがわれた近衛兵たちと別の屋敷に向かい、俺も臨時に部下になった彼らに段取りを説明する。
「俺たちの担当は住宅地中央に位置する屋敷の一つ、パルク・サウザート伯爵家に突入する。今から話すことをよく聞いてくれ。」
近衛兵達が俺に視線を集中させ、俺はゆっくりと息を吸うと
「敵だと思う者はすべて打ち倒せ、情けをかけるな。見敵必殺、サーチ・アンド・デストロイだ!!」
近衛兵達が力強く返事をし、馬車が目的地に到着して停止すると俺を先頭にした突入部隊が屋敷の門の前に立つ。
俺は途中で着替えた動きやすい服、後方には鎧と剣で武装した屈強な男たち。
そんな集団を不審に思わない人物などいるはずもなく、門番らしき人物が近づいてくるが俺は腰のベレッタを引き抜くと躊躇いもなく発砲して門番を排除する。
門は施錠されてあるが血まみれの鍵なんて使いたくないので新たに出した銃、ウィンチェスターM1897を発砲してこじ開けた。
ウィンチェスターM1897
アメリカのウィンチェスター社が1897年に販売したポンプアクション式ショットガン。二度の世界大戦を戦い抜き、1957年に製造が終了するまでに100万丁以上が生産された。砂漠を駆ける凄腕の便利屋が好んで使っているらしい。
「ジョン・ブローニングの加護があらんことを。」
「誰ですか?その、ジョンなんとかって。」
「おまじないみたいなもんだ、気にするな。」
俺はキリスト教徒ではないが十字を切り、M1897のフォアエンドを前後させて薬室内の空薬莢を排出して次弾を装填し敷地内に侵入した。
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