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襲撃者

「どういうことか説明してくれますよね?」


「……はい。」


夕食でのひと騒動の後、俺は案内された客室で出せる限りの殺気を放ちながら仁王立ちしていて正面には縮こまってるフィオナさんが正座している。


この世界でも正座は存在するのかという考えは一先ず放っておこう。


「勝手にあなたの婚約者にされた事は百歩譲って許しますが、本来の目的はジーキンス殺害の犯人と協力者である貴族の逮捕です。まぁ成り行きでクーデターの阻止も追加されましたが、ここで目立つような真似をすると相手が警戒して逮捕が難しくなります。そのことを理解した上での発言なんですよね?」


「反省してます……。でも!私も考えなしに言ったわけじゃ」


「ではその考えはなんですか?自分が結婚したくないからは無しですよ。」


なんだか悪戯をした子供を叱っている親の気分だ。


これでフィオナさんの前に割れた花瓶や皿があればそうなるんだがな。


「パーティーに出席する時、私は辞退した父の代わりという事で出席しても誰も気にしませんがサクラ君は一介の冒険者です。本部のお偉方でもないのに出席したら目立ちますが、私の婚約者という事にしておけば」


「目立たずに済む、と?」


確かにその通りだが、疑問が一つ残る。


「それならなんでグラハムさんに説明しなかったんですか?」


「敵を騙すにはまず味方からって言うでしょ。」


「説明すると結婚の話を蒸し返されるから。の間違いでは?」


「……………………………。」


俺は引きつった笑みを浮かべるフィオナさんから視線を外し、大きく溜息を吐くと部屋に置いてある大きなソファーに横になった。


「取り敢えずこの話はここで終えて、もう寝ましょう。明日は徹夜になりそうなので。」


「ならソファーじゃなくてベットで寝たら?二人分くらいは余裕よ。」


フィオナさんがベットに座って枕を軽く叩くが、俺は彼女に背を向けたまま


「男が若い女性と同じベットで寝て何もしないとでも?」


「大丈夫よ。サクラ君はそんな人じゃないのはわかってるから。」


フィオナさんがへらへらと笑いながら机の上の蝋燭を消すと、毛布を被ってベットに横になり俺もクッションを枕替わりにして眠ろうと思ったが、急に用を足したくなったのでフィオナさんにトイレの場所を聞くと部屋から出た。















「ひゃあ!?」


トイレで用を足した後、部屋に戻ろうとして廊下を歩いているとちょうど真横にあったドアが開くと中からリリーが出てきた。


出会った途端「ひゃあ」は酷いな。


俺は幽霊や妖怪か?


「なっ、なんであんたが私の部屋の前にいるのよ!?まさか夜這いに」


「お前の貧相な体には興味が無いって言ったはずだが?」


「だから貧相って言うな!大人になったら叔母さまみたいな体になって見返してやるんだから!!」


十年経っても一部がたいして変わらなかった人物を知っているが、口に出したら問答無用で三枚おろしにされるので黙っていよう。


これ以上話す必要もないので部屋に戻ろうとすると、何故か呼び止められた。


「ねぇ、あなたトイレの場所ってわかる?」


「トイレ?そこの角を右に曲がった所にある2番目のドアだ。」


「そうじゃなくて、口で言われてもわからないから案内して。」


口じゃわからないって、今の説明のどこにわからない部分があったのだろうか。


「一人で行くのが怖いのか?」


「ちっ、違うわよ!とにかく!レディーに場所を尋ねられたら手を取って案内するのが男として当然でしょ!?」


お前はレディーじゃなくてガールだろ。と小声でツッコむが断ると騒がれるのが目に見えてるので、仕方なくリリーの手を握ってトイレに引き返そうとして足を進めた。


「ねぇ、あの時の事なんだけど。」


「あの時?さっき戦ったときか?」


「ええ。そのことなんだけど……」


そこまで言うと、何故かリリーの声が小さくなった。


すぐ真後ろにいるのによく聞こえないので、曲がり角を曲がろうとした体を急停止させると聞き取ろうとして振り返った瞬間















その曲がり角から長剣が飛び出してきた。








俺があのまま進んでいたら間違いなく串刺しになっていたはずだろう。


今回ばかりは運に助けられた。


俺はリリーを抱き寄せるとそのまま前に向かって飛び、空中で体を回転させると背中から床に落ちた。


「耳塞いでろ!!」


リリーに向かって叫ぶと背中の痛みを気にせずに俺は両手に出した二丁のサブマシンガン、イングラムM10をフルオートで長剣の持ち主である黒ずくめの人型に向かって倒れた態勢のまま発砲した。





イングラムM10

アメリカのイングラム社が開発した小型軽量サブマシンガン。単純な構造で尚且つ生産性に優れているので信頼性が高く、ベトナム戦争では米軍特殊部隊が採用した。今では旧式化しているが、安価なのでテロリストや犯罪組織などが使用することも多い。


俺は引き金を引き、銃口から飛び出す毎秒1090発の9mmパラベラム弾によって瞬間的に凄まじい弾幕を発生させる。


しかしこの銃は連射性能は他のサブマシンガンの追従を許さないが、その分反動も強いので身体強化で押さえつけていて銃声を辺りに響かせ僅か約1.5秒で32発入りのマガジンが空になり、銃声が収まると足音や怒声が屋敷内のいたるところから聞こえてくる中俺は煙が晴れた正面の空間を見て唇を噛みしめた。





「逃げられたか……!」


あの弾幕を回避したなんて信じたくないが、現に撃ちこんだ場所には穴だらけになった壁にボロボロの黒い布、床には血痕と真っ二つに折れた長剣があった。


それに近くの窓ガラスが明らかに銃以外の原因で割られている。


俺は銃を消して八つ当たりの様に床を殴り、抱き抱えたままのリリーの様子を見た。


リリーは涙目になって今にも泣きそうだったが、なぜだか顔が茹で蛸の様に真っ赤だ。


なぜ顔が赤いんだろうと首を傾げると、急に下半身に湿っぽさとほんのりとした温かさを感じたので視線を下半身に向けた。


そこで俺はリリーの状態を確認した。


その湿っぽさを感じた下半身、正確には腰のあたりには丁度彼女の足の付け根、つまり股が乗っかっている。


そういえば彼女はトイレに用を足しに行く途中だった事を思い出した。


という事はつまり













「取り敢えず、着替えようか。」


「………………。」


俺は駆け付けてきたメイド達に二人分の着替えとリリーを頼むと、近くの部屋をかりて持ってきてくれた服に素早く着替えた。











このことは秘密にしよう。

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