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衝撃の告白

「これ?なんだか弱そう。」


ターニャさんは俺が出した銃に少し不満なようだ。


出したのは拳銃だし、ロケットランチャーと比べられたらそりゃあ見劣りする。


俺は銃身を掴んでグリップの部分をターニャさんに差し出すが、彼女が掴もうとした瞬間手を引っ込めた。


「これを渡すには一つ、条件があります。」


「条件?」


「あなたがこれを使って何を作るのかは知りませんが、これから得られた技術、情報、ノウハウなどの一切合財を公開しないことが条件です。守っていただけますね?」


俺は語尾を強めて彼女の目を真っ直ぐ見つめながら再び手を差し出し、ターニャさんがゆっくりと手を伸ばして銃のグリップをしっかりと掴んだ。


「コードウェル家の名に懸けて、絶対約束は守るよ。」


彼女は力強く答えて、その銃を手に取るとじっくりと見始めた。


「手に取ってみると結構重いんだね。でも、それでいて綺麗だ。この、銃……だったっけ?なんて名前なの?」


ターニャさんが美術品の様に手に取る銃を見ながら俺に尋ねてきた。


「コルトSAA、愛称はピースメーカー。」


「ピース、メーカー……。」


「直訳すれば{平和を創る者}という意味ですが、これにはもう一つ違う意味があります。」


「違う意味?」


「ええ、{争いに決着を着ける者}とも言われます。」





コルトSAA

コルト社が開発し、1872年にアメリカ陸軍に採用されたシングルアクション式リボルバー拳銃。西部開拓時代を戦い抜き、現在でも多くのバリエーションがあり西部劇には必ずと言ってもいいほど登場する。そのため現在でも生産が続いており、熱狂的な愛好家が数多くいる。



俺がこれを選んだ理由は何かというと、構造が単純だからだ。


それだけなら旧ソビエト連邦の傑作アサルトライフル、AKー47も当てはまるがあれはいくら構造が単純とは言っても連射機能のある突撃銃。リボルバー拳銃とは比較にならない。


「ピースメーカー。うん、いい名前だね。これならお釣りが出るくらいだよ。」


彼女がまるで少女のような満面の笑みでピースメーカーを見つめている。


喜んでくれたようで何よりだ。


その後俺は彼女に使い方を教えて、一応弾を一ダースほど渡しておいた。


「それじゃあ話も終わったころだし、そろそろお父さんも戻ってくるだろうから食堂に行きましょう。もういい時間だしね。」


フィオナさんが声をかけて立ち上がり、俺も彼女に続いて部屋を出ようとするとターニャさんに呼び止められた。


「そうそう、さっきお釣りが必要。って言ったのは憶えてる?」


「はい。ですが約束さえ守ってくれれば」


そこまで言うと、彼女は開けられた胸元から一本の短い杖を取り出して軽く振るとどこからか2枚の手紙がふよふよと俺たちの目の前まで飛んできた。


「明日の夜、王宮でシャルロット大公の即位二周年を記念したパーティーが開かれる予定なんだ。それはその招待状で国内すべての貴族と一部有力者にしか送られてないの。私はピースメーカーを弄りたいしお父さんには話しておくから参加してみない?これでお釣りは足りるかな?」


ターニャさんは俺に向かってにっこりと笑って見せた。


「ええ、十分すぎるほどです。それではまた。」


俺は彼女に微笑み返すとフィオナさんと一緒に部屋を後にした。

















「なるほど、パーティーか。」


ターニャさんと話したあと、俺は食堂に案内され夕食をごちそうになっていて長方形のテーブルの上座に当たる席にグラハムさんが座っている。


「古今東西パーティーで暗殺された権力者は数多くいます。仕掛けてくるならそこかと。」


「でも普通クーデターって入念な準備をしてからやるものでしょ。殺されたジーキンスって人の発明品がないんなら下手な事はしないはずよ。」


「普通ならな。仮にクーデターが成功したとして、シャルロット大公の兄や姉たちが次の大公の座を仲良く譲り合うか?それはないだろう。誰もが一つしかない大公の椅子を狙ってるんだ。頭の切れるやつは陰でこっそりとクーデターが失敗しない程度に足を引っ張り合ってるだろうよ。」


「敵も一枚岩ではないということね。」


俺がうろ覚えのテーブルマナーでステーキのような料理を食べながら、真向いに座るふくれっ面のリリーの意見に反論する。


「それとサクラ君、ターニャから話は聞いたよ。私は辞退するから代わりにフィオナと参加してくれ。それにしても、あの子がなぁ……。」


グラハムさんがグラスに注がれたお酒を飲み干すとどこか感慨めいた口ぶりで呟いた。


あの子。ということはターニャさんのことだろうか?


「あの子は昔っから人見知りが激しい上に自分の研究の事以外のことには興味を示さなくてね、家族や使用人以外の人間とは誰とも会おうとはしなかったんだよ。それでいて、無理に結婚相手を決めようとするとその相手を手加減なく打ち負かした挙句に罵倒するものだから未だに独り身なんだよ。だが、サクラ君には自分から会おうとした。意図した事ではないが、礼を言わせてもらうよ。」


「はぁ……、それはどうも。」


「ところでサクラ君、話は変わるのだが。」


俺が苦笑いしながら水を飲もうとしてグラスを手に取ると、グラハムさんが俺に視線を向けてきた。













「どうだろうか?ターニャを嫁にしては。」










俺は口に含んだ水を吹きだして盛大に咽てしまった。





「お爺さま!いくらなんでも言っていい冗談と悪い冗談があります!!それに私はこんなのを叔父様と呼びたくありません!!」


「そうですよ!第一サクラ君は平民よ!!」


この場にいる女性2人が机を叩きながら勢いよく立ち上がって反論した。


おいリリー、てめぇもっぺんぶちのめされたいのか?


あとフィオナさん。俺そもそも戸籍がないんですが……。


「冗談で娘の結婚を決める親などいないよ。それにフィオナ、お前あの約束を忘れたとは言わさんぞ。」


「約束?はてそんなことわたしやくそくしたかしら~?」


フィオナさん、目を逸らしながら棒読みで喋らないでください。


「Aプラスになって一年間、結婚相手を見つけなければこちらで勝手に決めるという約束だったはずだ。私の記憶に間違いがなければそろそろ期限の一年が経つはずなんだが?」


グラハムさんが先ほどとは打って変わって般若のような表情でフィオナさんを睨み付け、睨まれた本人は冷や汗を流しながら縮こまっている。


この話はコードウェル家の問題であって、俺とは無関係だな。


今のうちに退室しようと思っていると、左から強烈な視線を感じた。


無視しようと思ったが、俺が立ち上がるよりも早くその視線を向けていた人、フィオナさんが俺に腕を絡めてくるとそのまま俺の腕に抱き付くような態勢をとった。


女性特有の甘い香りとか、柔らかくも弾力のあるとても豊かな女性の象徴を堪能する場合では無いことははっきりとわかる。


事情を知らない第三者が見れば恋する乙女のように顔を赤らめて上目づかいで俺の目をじっと見つめるフィオナさんだが、俺には腹黒い事考えた悪魔にしか見えない。


力ずくで振りほどこうとするが、彼女は身体強化術でも使っているのだろうか?金縛りに掛かったように体が全く動かない。


そのフィオナさんがさらに強く抱きしめてグラハムさんに視線を戻すと、ここにいる全員に聞こえるようなはっきりとした声で

















「私、サクラ君を生涯の相手と決めたの!!」












ど う し て こ う な っ た 








もっぺん

関西弁で「もう一回」という意味。


感想、評価をよろしくお願いします。

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