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情報の対価は火薬の香り

「あ~疲れた。」


「毛頭も思ってないくせに。」


リリーとの戦闘の後、俺はフィオナさんに肩を貸されて先に屋敷に戻り見物していた貴族たちの対応はグラハムさんとゴランに任せている。


戦いも終わったのでさあ休もう。と思って先ほどの部屋に入ると、一人の女性が椅子に座っていたが俺の姿を見た途端一目散に駆け寄ってくると


「君だね!?さっき外で戦ってたのは!?ねぇあの変な箱はなんていうの!?何でできてるの!?どうやって作ったの!?あと」


まるで新しい玩具を与えられた子供のように目を輝かせると、早口で質問を浴びせながら俺の肩を力強く振り回した。


「ちょっと姉さん!サクラ君は一応お客さんなんだからそのへんに……。」


姉さん?


ということはこの女性が


「わかったよも~。さて、気づいたとは思うけれど私がフィオナの姉であり、コードウェル家の長女のターニャだよ。呼び方は好きにしていいから。」


そういって俺の肩から手を放して握手を求めてきたので、俺も手を出して彼女の手を軽く握る。




彼女の容姿は、身長はフィオナさんと大差ないが癖のあるグレーの髪を腰まで伸ばしていて、機械の整備士のような服を着ている。胸元を大胆に開けていて、そこから見えるものがフィオナさんの姉であることをしっかりと証明しているが、じろじろと見るわけにもいかないので早々と手を引っ込めて視線をずらす。年齢はおそらく20代後半で着飾れば男性から引く手数多だろう。つまり妹に負けず劣らずの美人だ。


服装からも想像できるが、技術者のような事をしているのだろうか?


それなら純地球科学の産物である兵器を見て目を輝かせるのも頷ける。


ならば、次に彼女の口から発せられる言葉も大まかに想像できる。


「で、さっきの続きなんだけどあれを是非とも譲って」


「お断りします。」


俺ははっきりと断言した。


人を簡単に殺せる兵器を譲り渡すなど言語道断、それに剣や弓矢とはわけが違う。


剣や弓矢は作るのは簡単だが、使いこなすにはそれなりの技術がいる。


特に冒険者や傭兵、狩人などのそれらで飯を食っている人間は差はあれど全員それなりの腕は持っているはずだ。


しかし兵器、特に銃火器は作るには手間と金がかかるがその反面使い手を選ばないのが何よりの長所だ。


地球各地で行われている紛争や内戦で、訓練の「く」の字もされていないような子供が少年兵として戦っているのを見れば深く語る必要はないだろう。


そんな子供たちがたった一丁の銃で何人、何十人の大人を殺しているんだ。


もしこれが剣や弓矢ならこうはいかない。


だがそれは地球での常識でここは科学<魔法の世界。渡したとしても複製される心配はないかもしれない。


しかし技術者という人間は恐ろしい。


彼らは飽くなき知的好奇心と人並み以上の熱意によって不可能を可能にし、それを世界中に拡散することができる人物だ。


それは地球の歴史でも証明している。


どうせ構造なんて解りっこない。なんて思っているといつの間にか世界中に拡散されていた。という事になりかねない。


剣や魔法と違って使い手を選ばない全く新しい武器。そんなものが一度戦争で使われてしまったらと思うと身の毛もよだつ。


だからこそ渡せない。


それを使い、屍の山を天高く積み上げている世界からきた人間としてはなおさらだ。


「う~ん、そこを何とか!」


「駄目です。何度言われようと渡せません。」


「そっか~。まぁタダで渡せなんて言われたら断られるのも当然か。そうなると何か対価が必要だね。」


「タダでって……。どんなに大金を積まれても渡せないものは渡せませんよ。」


諦めの悪い人だな。


これ以上いると最悪力ずくでも。っていう発想に至りかねないからさっさと退散しよう。


そう思って俺は後ろをむいて扉に手をかけ、フィオナさんも俺の意図に気づいたのか同じく部屋を後にしようと後ろを向き俺に続こうとするとターニャさんが独り言のように背後から













「それが裏で繋がってるであろう貴族の証拠に関する情報だとしても?」










俺とフィオナさんはその言葉が発せられると立ち止まった。


そして俺はゆっくりと振り返って彼女の目をしっかりと見ると





「どうして俺たちの目的がそれだと?」


俺は彼女と初対面のはずだし、フィオナさんはさっきからずっと一緒にいたが目的については一言も言ってない。


俺たち以外で知っているのはあの時部屋にいたグラハムさん、それにリリーの二人だけのはずだ。


「あっれ~違うの?ならこの話はしても意味ないか。そうなると私は君に何の対価も渡せないから仕方ないけど諦めるよ。それじゃ私はこの辺で失礼するね。」


「……解りました。さっきの戦いで使用したものを譲ることはできませんが、似たようなものでよければお譲りしましょう。」


俺は大きく息を吐き出すと部屋に置かれていた椅子に座り、わざとらしく部屋から出ようとした彼女は待ってましたと言わんばかりに満面の笑みで俺の向かい側の椅子に座った。


「では、一つ取引としましょうか。」


「そう来なくちゃ。話のわかる男性は好きだよ。」






まったく、してやられたな。















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