表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/30

VS天才少女

コードウェル家の庭は広い。花壇やお茶会をする場所の他に魔術の訓練や試し撃ちをするためにかなり広く作られている。しかもコードウェル家は住宅街の端にあり土地の余裕があるので広げようと思えばできるらしい。


その庭に数十メートルほどの距離をとって向かい合う俺とリリー。立ち合い人としてフィオナさんとグラハムさん。そしてどこから聞きつけたのか、近所の貴族の方々が見物として集まってきている。


これは面倒なことになったな。


俺の能力を見せるのがグラハムさんだけなら後でフィオナさんと説明すればいいんだが、見物人がこうも集まられると大っぴらに使えない。


ただでさえ相手は侯爵家の人間。面子がある以上叩きのめしてはい終了。では済まない。


絶対面倒なことになるのが目に見えてる。


あの武器はなんだ!?とか、侯爵家の顔に泥を塗った!とか。


まあ、いざとなればグラハムさんに助けを求めて自分は知らぬ存ぜぬで通そう。


「結果は見えてるけどただ戦うなんてつまらないから、何かを賭けましょう。そうね…………、私が勝ったら腰につけてる黒いのを頂戴。それなりに大切な物なんでしょう?あなたがもし勝ったら、望むものをあげるわ。それこそ、私の純潔でもいいわよ。」


「賭け事とはいえ子供から物を取るのは大人げないんで遠慮するよ。後俺はお前の貧相な体に興味はねぇ、フィオナさんくらいの胸に育ってから出直してこい。」


まあリディアくらいでもいいけど。


ケイさんは………うん、戦いに集中しよう。


「貧相ってなによ!!頭に来たわ、本気でいくから覚悟しなさい!!」


リリーは顔を真っ赤にして杖を地面に突き刺して澄んだ声で呪文を唱える。


いい感じに怒ってるから心理戦は上々だな。


人間怒れば視野が狭くなるから戦い易くはなる。特に子供のような感情の起伏が激しい人にはな。


呪文の詠唱が長いところを見ると彼女が本気を出すのは嘘じゃなさそうだ。


そして詠唱が終わると地面が大きく揺れ、彼女の前が勢いよく隆起して中から巨大な植物が出てきた。


勿論、ただの植物じゃない。


大きさは6、7mってところだろうか。うねうねと動く蔓、巨木のような茎、薔薇のような真っ赤な花弁、そして花弁の中央には鋭い牙。


まさに化け物だな。


「どう?これが私の持ち駒の中では最強の召喚魔、ブラッドローズよ。私も鬼じゃないわ、詠唱が

終わるまでは待ってあげる。最も、まともな魔術が使えたらの話だけど。」


そんなことしなくても一瞬で現代兵器を出せるから必要がな………まてよ?









よし、少し恥ずかしいがこの方法なら勝てるしそのあとの面倒事も何とかなるかもしれない。







「それじゃお言葉に甘えて。」


俺は利き腕を前に突き出して軽く深呼吸する。


そしてゆっくりと、全員に聞こえるような声で口を開く。


「自由を謳う星々よ、悪しき者どもを焼き払い我が子を救い、時を駆け未来を繋ぐ狂戦士の剣となりしその力、我が手に宿れ。」


魔法っぽい事を言えば変わった魔術として騒ぎと面倒事を最小限にできるのではと思ったのだが、今のところはうまくいっているようだ。見物人達が騒ぐ様子はない。ひそひそと話す程度だ。


唯一の弱点は、実際に言ってみるとかなり恥ずかしい。即興で作った中二病臭いセリフを衆人の前で言ってるんだ。終わったらすぐに布団かぶって墓の中まで持っていこう。


そして俺が出したのは長方形の大きなロケットランチャー、M202だ。





M202

アメリカ軍が1970年代に開発した試作4連発ナパームロケットランチャー。ベトナム戦争後に火炎放射器に変わる焼夷兵器として開発されたが重くて嵩張るため試作のみに留まった。筋肉モリモリマッチョマンの大佐が担いで乱射してたのでそれなりの知名度はある。








「なにそれ……箱?」


「先手は譲るよ、殺す気でかかってこい!」


俺は発射準備を整えてわざとらしく挑発する。


やはり彼女の怒りが収まってなかったのか、ブラッドローズが正面から蔓を鞭の様にして振り下ろすが俺は身体強化で大きく横に跳ぶ。


初めて実戦で使ってみたが、いい具合だ。


ただし長時間は使えない。俺はM202を肩に担いで狙いを定めて1発だけ発射する。


暗くなった住宅地の中、まるで花火の様に一直線に焼夷弾頭が突き進みブラッドローズの胴体下部に命中して爆発。ブラッドローズが炎に包まれた。


どんなにでかくても所詮は植物、火をぶつければ燃えるのは当たり前だ。


「なんで!?私のブラッドローズが簡単に燃えるなんてどうして!?」


リリーが困惑しているが俺はそのまま残りの3発をすべて叩き込む。


発射された3発は全弾命中してブラッドローズは徐々に黒焦げになっていき、ついには光の粒子になって弾け飛ぶようにして消えてしまった。


リリーはしばらく茫然としていたがハッと我に返るとまた呪文の詠唱を開始するが上手くいかない。


それもそうだ。あんなにでかいものを召喚したんだから消費する魔力?も膨大なものだ。これ以上何かを召喚して戦闘をするのは不可能なはずだ。


さて、俺も一芝居打つか。


俺は弾切れのM202を消すと倒れ込んで呼吸を乱して疲労困憊に見せかける。


これで俺もリリーこれ以上の戦闘は続行不可能、引き分けという結果で落ち着けば侯爵家の面子は保てる。


そして予想通り立会人のグラハムさんが引き分けを宣言して戦闘は終了。見物人から盛大な拍手が挙がったので作戦は成功したようだ。


まあ、これでなんとかなるはずだしそう願おう。


感想、評価をよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ