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首都へ

「ジーキンスが殺された?」


ギルドの支部長室に呼ばれた俺は目を細め、椅子に座ったままケイさんは報告書のようなものを俺に手渡した。


「数日前、ここを発った護送部隊が到着していないと連絡があってな。捜索したところちょうど首都までの中間地点あたりで馬車が発見されて、周辺には護衛部隊の遺体が転がっていた。部隊5人とジーキンス、全員の死亡が確認されたよ。」


「報告書には{野盗による襲撃}ってありますけど、普通野盗が護衛付きの囚人護送馬車なんて襲いますかね。」


報告書を返してフィオナさんが持ってきてくれたお茶を口に含んで近くの壁に寄り掛かった。


中々の味なので後で茶葉について詳しく聞いてみよう。


「私も同意見だ。十中八九口封じだろうな。」


そこでだ。と言って俺に今度は別の紙を数枚渡してきた。


「君にはフィオナと共にヴィラーシャ公国首都、ミレヴァまで行ってもらう。」


「まさか、その犯人を捕まえろ。なんて言いませんよね?」


「半分正解だ。あいつには後ろ盾がいるかもしれないって話は憶えているな?」


そういえば芥川がそんなことを言ってたし、ケイさんはそれについて調べてたな。


「それの大まかな目星がついた。一部の上流貴族がここ半年間、頻繁に狩り名目で多数森林に入っていたことがわかった。それも長旅でもするんじゃないかっていう量の荷物と一緒にな。その書類は関わったであろう貴族の名簿と首都までの通行手形だ。動機が未だに不明だが、このままにしておく訳にはいかない。相手が貴族である以上ギルドに圧力をかけてくるかもしれないし、最悪押収品も闇に葬られる可能性もある。これは私個人からの依頼だ。引き受けてもらえないだろうか?」


「報酬は?」


俺は真剣な目でケイさんを見る。


相手が知り合いだろうが何だろうが、依頼と言われた以上俺たちは依頼主と冒険者の立場だ。


それ以上でも、ましてや以下でもない。


「君もいい面構えになったじゃないか。いいだろう、報酬は金貨80枚でどうだ?」


金貨80枚はAプラスの報酬に匹敵するし、これだけでもちょっとした財産だ。報酬額としては妥当だ。


「確たる証拠があれば貴族だろうと裁けるとは言え、かなり困難な依頼だから少し足元を見てくると思ったんだがな。」


「何だかんだ言って世話になってますからね。あと、なぜフィオナさんも一緒に?」


「襲撃者が貴族の差し金だとしたらそいつはかなりの手練れだ。君だけだと万が一の時に不安が残る。それに、彼女の実家のコードウェル家は魔術師の名門一族でそれなりの地位もあるし、彼女自身もその方面に精通している。協力してもらうようにフィオナに伝言を頼んだから首都滞在中はそこを拠点にして依頼を遂行してもらいたい。」


何となくそんな雰囲気があったけど、フィオナさんって家柄の良いお嬢様だったんだ。


とにかく、こういう依頼は二人一組ツーマンセルが基本になるし彼女の実家からの支援も期待できる。一つ、不安要素があるがそれは今の段階でなんとかできる。


「リディアは留守番させましょう。いくらAプラスが2人いるとはいえ危険が大きすぎますからね。」


そう、今回はリディアは正直足手まといになる。


俺の依頼の付き添いでランクの高い依頼を経験したとはいっても、偉そうなことは言えないがまだまだ半人前だ。終わるまで、1人で普通の依頼をこなしてもらおう。


「随分と彼女にご執心のようだが、惚れたか?」


ケイさんが軽く茶化してくるが、軽く受け流した。


まあリディアは見た目も性格も良いし、実際俺も友人以上の感情を抱いていることは否定しない。


しかし俺は冒険者だ。いくらチート能力を持っていても無敵でもなければ不死でもない。ベットの上で家族に看取られながら大往生はあくまでも理想だ。


それは彼女にも言える。


仮に相思相愛だとしても、どちらかが告白した翌日に葬式をしなければいけなくなるかもしれない。


かっこいいことは言えないが、俺はそういう人の不幸なんて見たくないからな。


「まあそんなことはいい。では、頼んだぞ。」


ケイさんが話を切り、俺は準備をすべく部屋を後にした。

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