魔法使いは科学者の夢を見るか
長らくお待たせしました。
Side山名
「どんだけ出てくるんだこいつらは!?」
先の奇妙なゴーレム擬きの工場と思われる廃棄された豪邸にまっすぐ進んでいるはずなのだがまるでゴキブリのようにワラワラとそこら中から湧いて出てくる。
幸い、あのビームらしきものではなく剣や斧などの近接武器を装備しているのが殆どだしまとまった敵はフィオナさんが呼び出したゴーレムが文字どおり薙ぎ払っているが敵は人海戦術で迫ってきてる。
「芥川!何体倒した!?」
「50から先は数えてない!!」
そういいながら芥川は召喚したマシンガンで制圧射撃を加え、野口が撃ち漏らしを体術で粉々にし、俺が化け物退治専門の狂信神父愛用の二本の長剣で三枚おろしをさっきから延々と続けている。
「このままじゃ日が暮れるぞ!ヤマナ、なんかいい案は!?」
ケイさんがレイピアで真空破らしきもので森林の樹木ごと真っ二つにしながら聞いてくる。伊達にSランクではないらしい。
「そういわれましても………そうだ!」
「思いついたか!?」
「それっぽいものなら……。」
今のところ敵は豪邸の方向に集中している。これならいけるかもしれない。
「ケイさん!俺から離れて!!」
ケイさんが離れたことを確認し、俺は剣を消して足元に落ちてた小石を拾い上げそれをコイントスの様に親指で真上に弾く。そして能力発動、使うのは電磁速射砲の渾名を持つ超能力少女の必殺技だ。突き出した腕がバチバチと電気を纏い、落ちてきた小石を敵に向かって弾き飛ばした。
「うおっ!?」
「きゃあ!?」
轟音を放ちケイさんとフィオナさんが驚き、小石が音速の砲弾となり敵を吹き飛ばした。
「な、なんて威力だ……。」
「見た感じ雷魔法っぽいけど、でも公式が……。」
「これで道が開け」
そこまで言った途端、俺は自分の目を疑った。俺だけじゃなく、この場にいる全員が幽霊でも見たかのような表情をしてる。
「どっ、どうなってんだおい!?なんで屋敷が目の前に立ってんだ!?」
そう、「目的地であろう豪邸がわずか数十m先に立っている」のだ。
「なんで!?さっきまで何も……、転移魔法!?」
「いや違う。よく見ろフィオナ、屋敷にでかい穴が開いてる。おそらくヤマナの攻撃でできたやつだ。」
「とにかく、やっと着いたんだ。中に{そうはいかん!!}誰だ!?」
野口の言葉を遮るようにして声が発せられ、全員が声がした方向を見る。
「まさか私が三日もかけて練り上げた特殊型隠ぺいシールドが屋敷ごと破られるとは予想もしなかったよ………。ところで、あれを撃ったのはだれだ?魔術公式をぜひとも聞きたいんだが。」
現れたのは一人の中年男性。だが、目には大きな隈ができており白衣のようなローブを着こんでいる。魔術公式がどうとかいっていたから魔法使いなんだろうがどう見てもまともな魔法使いじゃないだろう。
「っ!あなたは!!」
「ん?おお、コードウェル君か!まさかこんなところで会えるとは………。確か最後に会ったのは3年前のエルトレイア魔術学院の卒業試験だったかな?いやぁ、あの時はほんとすごかった!対して実力のないくせに威張り散らすあの禿ジジイを圧倒したのだから。あの日は一晩中笑いが止まらなかったよ。」
男がその時を思い出したのかくくくと笑みを浮かべる。
「フィオナさん、だれですかあのアブナイ感じがするおっさんは?」
二人の会話にまったくついていけず芥川が尋ねる。
対してフィオナさんは男をじっと見ながら杖を向け続けている。
「ジーキンス、トーラエー。元エルトレイア魔術学院の教師であり魔工学部門の鬼才にして異端、かつて魔法を一切使わない魔工学………。あなたたちの故郷のカガクギジュツのようなものを主張して学院を追放された人物よ。そのあとは行方知れずって聞いてたけれど。」
「まさかとは思いますけれど、今回の原因って。」
「少なからずあいつが関わっているのは間違いないな。」
ケイさんがレイピアの切っ先を向け、俺たちも身構える。
「さて、状況は理解できるな?ギルドまで同行を願おうか。断ったら………わかるな?」
ケイさんがドスの利いた声で詰め寄る。今のところ周囲に何もいないことを野口が耳打ちし、俺たちも間を詰める。
「悪いが、それはできん。私にはまだやらねばならんことがあるのだよ………、魔法とゆうのは一部の限られた者のみが独占して使うものではない。あの子たちの様に使い手を選ばない技術が当たり前に存在する世界こそ本来のあるべき世界の姿なのだ!そうは思わないかね?」
「どこの世界にもいるもんだな…………。こういう自分を認めてもらいたいがために騒ぎを起こすやつが。あのギガントマンティスもあんたのせいだろ?」
「ああ、あれのことか。確かに私が原因だよ、用心棒代わりとして非合法な薬で幼体を短時間で大人にさせてね…………。胴体を根こそぎ持っていかれるのは予想外だったがね。止めをさしたのはかなり手練れの炎魔法の使い手だろう、あんなことをできるのは学院でも片手で数えるくらいしかいなかったからね。」
いや、佐倉は魔法使いでもないし使ったのは対戦車ロケット弾なんだけどね。
そういってる間にも俺たちはどんどん間合いを詰めていく。やつがいまだに余裕っぽいのは気になるが接近された魔法使いが大したことがないのは相場が決まっている。
だから俺たちも深く考えずにいた。
今思えばそれが油断だった
「っ!?」
「いつの間に!?」
なぜ屋敷の陰からあのビームを撃とうとしている奴に気づかなかったのだろう。
今となってはどうでもいい、悔やんでも悔やみきれない
あの様子じゃあよけるのは無理だ。
「無謀だったな、ギルドの諸君。あんなに派手に暴れられたのに対策をしていないとでも思ったのかね?」
ジーキンスがしてやったりという顔で手を高々に挙げ、俺たちをみている。
「さあ、ここで果てろ!!」
ジーキンスが手を下し
「そいつぁできねぇんだな。」
声とともに「ポン」という間の抜けた音がしたとたんゴーレムが爆発し粉々に砕け散った。
何が起こったのかわからずジーキンスを含めて全員が唖然とする中、声の主が堂々と歩いてきた。
「待たせたな。」
「か、間一髪でしたね…………。」
声の主、佐倉が変わった形の銃を肩に担ぎ
その横にいるリディアが胸をなでおろしていた。
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