鴉と山猫の謀
ヒルヒフ村
ヴィラーシャ公国の東に位置するそこそこ大きい村。2年前に起こった内戦の際、反政府軍の物資貯蔵施設だったが、内乱が終息した後いつの間にか商人たちが住み着き商業都市のようになった。
そのため、多くの出店や有力商会の支店が多数ある。
俺たちはそこで買い物やウインドーショッピングを楽しんでいたのだが
「………佐倉。」
「ああ、気づいたか。」
「へっ?どうしたんですか?」
俺は3人にアイコンタクトを送り、3人が頷く。
「リディア、そ~っと後ろ見てみ。ゆっくりとだ。」
状況が飲み込めてないリディアが言われたとおりにする。
「…………あっ!あれって。」
リディアが見たのは俺たちが戦ったあの男達だ。
大方、勝敗を根に持って背後から襲おうと狙っているのだろう。
「逃げるか?」
芥川が小声で尋ねる。
「ああ、そうしようかっ!!」
俺はリディアの腕を掴んで近くの路地裏へと入り込み、山名たちもあとから続く。
ヒルヒフ村はもともとは軍の補給基地、つまりは軍事施設。路地裏は狭く、曲がり角が多く迷路のようになっている。うまく撒けると思った。
思ったはずだった
「おい佐倉!いまどこ走ってるんだ!?」
「知るか!!」
山名の質問を全力で否定する。
というのも、俺はてっきりリディアに土地勘があると思って路地裏に逃げ込んだんだがリディアが
「初めて来た場所なんでわかりません!!」
と眩しいくらいの笑顔で返された。
こいつ………!
「くそっ!せめてどっかに隠れる場所は」
俺が走りながら隠れ場所を探していると
聞こえるかっ!?こちらへ逃げ込めぇ!!
と、前方の建物の扉から手招きする男性が現れた。
「助かった!あそこに逃げ込もう!!」
と俺たちはその建物に駆け込み扉を閉める。
「ふぅ~、助かった。ありがとうござ」
手招きした男性へお礼を言おうとした山名が言葉を失った。
と、いうよりも俺たち全員がそうだった。
なぜなら、その男はなぜかパンツ一丁で仮面をつけて男でも見とれてしまいそうな美しい筋肉を俺たちにみせつけた後、こう呟いた。
やらないか?
俺たちは扉を蹴破って我先に外へ出た。
そして、その建物にはこういう看板があった。
公衆浴場「きつねの目」
ここはただの公衆浴場ではない、男と男のお突き合いの場所だと理解して全速力で逃げた。
そのあと、どこをどう逃げたのかよくわからない。
気がついたら俺が気絶したリディアをお姫様抱っこして宿に転がり込んでいた。
傍には山名たちが息切れして座り込んでいる。
とりあえず、俺たちはリディアが回復するのを待ってあの男達の対策を話し合うことにした。
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「それで、どうする?」
リディア復活後、芥川が口を開いた。
「いっそのこと殺るか?」
「………それしかない、か。」
山名の言葉が俺たちに重くのしかかる。
いつかは通る道だということは理解してるし、覚悟も決めた。
そもそも、冒険者として生きていくと決めた時点で人を殺すということが必ずくる。
それが速いか遅いかの違いだ。
「まっ、待ってください!冒険者の依頼対象以外の殺人は重罪ですよ!どんなに軽くても資格剥奪は免れませんよ!」
え?
「リディア、それマジ?」
「当たり前です!!というより冒険者と傭兵を一緒にしないでください。」
いや、てっきりそういうのは結構緩いもんだと思ってたんだが違うんだな。
異世界物の主人公はこういう場合は人目につかないところでこっそりと……っていうのが多いからそういうもんだと
「なるほど、殺さなければいいんだな?」
野口が突然ニヤリと笑って俺たちにあることを話した。
話を聞き終えた俺たちはまるで古い時代劇の悪代官と越後屋のような悪人面で笑った後、準備に取り掛かった。
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