花が咲く
東京で、商談中の岩永
新しい店舗探しで不動産
「岩永さんって・・・もしかして、昔あったプレジェイの?」不動産の男
「・・ええ。たぶん思われてる、その岩永です。」岩永
「へ~。刑務所出てきたんですね。僕、昔六本木の山中の所にいたんです」男
「・・・山中・・・誰だっけ?」岩永
「あれっ?岩永さん知らないかな?そうだ!二代目蛇撃(六本木のチーム)の」
「んっ・・ああ・・・俺が、死にかけてた時か・・・
へ~・・・あっ!そうだ!じゃあ、楠木は!?」岩永思い出しウキウキする
「・・・そうか・・岩永さん、詳しく知らないんですね・・・
ネットのスレとか、見れば、詳しくわかるんですけど・・・
亡くなりました・・・楠木さんも・・・」男
「・・・そうか・・・・」落ち込む岩永
逢いたい。誰でもいい。当時の繋がりが、あった人物達と。
「・・・まあ、頼むよ。今回の件。」岩永
「はいっ。六本木で、キャバクラの店舗ですね。理想の物件当たって見ます」男
「じゃあ・・・」岩永
「また、ご連絡します」男
不動産を出る岩永
(くす・・(楠木)お前まで・・ごめんな・・皆死んだな・・・本当に)岩永
(岩永さん・・・伝説の・・・俺なんかが、しゃべりかける事さえできなかったな
東京の悪の四大派閥の長だったしな・・・わずか17歳で・・・
当時を知る者は、俺等みたいに、ビビリの生き残りだけ・・・
本物は、みんな死んで行ったな・・・でも、元気で良かった)なぜか泣きそうな男
「ピピピ・・・」岩永の携帯が鳴る
(ん?・・・おっ・・はるか。)
「もしもし~どうした~?」岩永
「ぐすっ・・いやっ・・・今・・いいです?・・」はるか
「おおいいよ。・・・・どした・・・」泣いてんな、はるか
「慶太さんって、六本木のジャクゲキって言うチームの総長でした?」はるか
(なぜ知ってる?ジャクゲキなんて、たった数日間のチームだぞ・・
まずいな・・・全部知ったなこりゃ、嫌われたかな・・)岩永
「そうだね・・・ごめん・・色々言ってなくて・・・
刑務所にも、入ってたし・・・こんな、・・ひどい人間なんかと
付き合いしないほうがいいね・・・一応、有名人だし。はるかも・・」岩永
「ううん・・・・ぐすっ・・・色々あったんだね、今まで、慶太さん・・・
私も、いっぱい言って無い事あるし・・・」はるか
(どこまで、知ったんだ?)岩永
「いやね・・・慶太さんの事もっと知りたくて、ネットで色々見てた・・・
アウトロー板のスレに、いっぱい慶太さんの事乗ってて・・・
でも、2割3割は、真実じゃない噂話や、間違いもあるから、正確じゃないけど
・・・・みんな、死んだんだね・・・お友達も、彼女も・・・」はるか
「・・ああ・・・もう、当時の俺を知ってる奴はこの東京には、いない・・
いても・・もう、顔も、連絡先も解らない。ずっと・・・一人なんだ・・
刑務所から出て、四年・・いやっ、刑務所に入った時からだから
もう、17年位・・・これからも、ずっと・・・」せつなそうな岩永
「ぐすっ・・うっ・・・うっ・・」ただ泣いてる。はるか
「・・・ひどい事書かれてんだろうな・・俺・・・その・・ネットで」岩永
「ううん・・・いい事ばっかりだよ。今度見てみて。
私のも・・・口じゃ、言えない事も書いてあるから・・・」はるか
「・・・なあ・・・なんで・・・俺なんかと、仲良く?」岩永
「・・・・きっと、・・・似てたから・・・そして、引き込まれた。
慶太さんの、オーラ・・悲しみに・・・」はるか
少し、沈黙が続く。
「・・・また・・・電話・・してよ・・・」岩永
「嫌っ!切りたくない。」はるか
切ると、なんだか、もうここで、二人の関係が、終わりそうな気がした。
それは、岩永も同じように感じた。
「今度、・・来月、東京に行くんで・・その時泊めてください。」はるか
「いいの?付き合っても無いのに?」岩永昔なら気にする事もないが・・
「じゃあ、付き合う!」はるか
(うわぁ~・・・意外に好きです・・そういうの・・・)岩永
「うんっ。・・・・いいの?犯罪者だよ?いわゆる人殺し・・」岩永
「うん。いい。だって、私も・・・」はるか
(私も?・・・そうか、色々あんだな、はるかも)岩永
「わかった。・・・ありがと・・・こんな・・俺に・・」岩永
「ううん・・・多分、初めて見かけた時から、なんか、違和感・・
白く光ってたし・・・」はるか
(白く?・・・なんだそりゃ?まっいっか・・)岩永
「また電話するね慶太さん」はるか
「ああ。了解」岩永
なんだかんだで、遠距離恋愛が、始まった、もう、中年?の二人。
お互い重い過去を引きずって。
サボテンにも、花は咲く。