動き出す
部屋で、くつろぐ岩永
部屋、というより、ホテル住まい。
いわゆる、ビジネスホテルの類。
だが、便利は抜群。それに、いい景色。
何より、海が見える。
「もう、知り合いなんて、ビジネス以外で、増えるなんて、思わなかったな・・」
ただ、忘れるため?生きがい?なんとなく?金を稼ぐ。
それ以外にやる事がない。
めったに鳴らない携帯。
友は、もういない。
知り合いも、いない。
いても、連絡先が分からない。
今はもう、顔さえ、わからない。
もう、時が、経ちすぎた。
そして、悲しみに縛られたまま。
誰とも、深くなろうとはしない。女性とも。
少し、刑務所ボケも、ある。
二度の刑務所生活から、出てきたのは、4年前。
10代で10年近い刑務所生活。出てきたその日に、傷害で、また刑務所に直行。
全部で、13年もの懲役生活。
その間に、すべて失った。
「誰が、まだ、生きてんだ?・・・・」10代の頃を思い出す岩永
(新宿のドン、中野さん位か・・・そんなに、最後仲よくなかったしな・・・
いまさら・・・17~8年!?もう、顔見てもわかんね~な・・・
あとは、行方知らずの唯一の初期グループの生き残り山本か・・・)岩永
「もう、俺の事、誰も・・知らねえ・・・」岩永ベットに横たわり天井を眺め
あの時で止まったまま・・・
完全に浦島太郎。
輝きを失った男?忘れ去られた男?。
葛藤する。最初の長い刑務所生活から、出てきた時に。
それまでは、この東京で、負け知らずの、知らぬ者は、いないほどの、有名人
時代の覇者。
愚連隊グループを率いて、暴れまくった。
六本木戦争と、言われた最後の戦いの生き残り。
だが、多くの友を失った。そして、自身の刑務所生活の中で、聞こえてくる情報
荒れる東京。裏切りの螺旋の渦。死んでいく。友・・・女・・・。
勝って何も、残らなかった。
どうせなら、自分が死んでればと、思うことも、しばしば・・・
出てきてすぐ、向かう、元のアパートには、違う住民。
知り合いの家や、店も何もない。
街が、すべて変わる。
知り合いや、友は、もう、全員亡くなった。
田舎にも、何も無い。自身が、管理していた、部屋、店。
かつて、この東京で、管理していた、店も、もうすでに無い。
10年。街のすべてを変える。
年甲斐もなく、辿りついた、昔のたまり場、渋谷。
ガキに、ちゃかされ、切れてしまう。
もう、誰も知らない、ただのおっさんなのだ・・・
こんな、ガキに・・・かつて、この東京の覇者が・・・
すべて、ぶち壊すが、何の、意味も無い。
くだらない、懲役の延長戦。
「・・・・んっ・・・・んん・・寝てたか・・・
もう、夕方か・・・綺麗だな今日も。」オレンジ色に染まる海。街。
「んっ・・・ああ。メール来てるな・・・」メールを確認する岩永
飛行機乗ってました。
実は、住まいは、広島なんですよ。
お仕事で、ちょいちょい、東京に行くんです。
BLACK HERBって言う、バンドやってます。
YOUTUBEにも、アップしてあるんで、見てくださいね。
「・・・・だせえ・・・ひたすらだせえ・・ブラックハーブ?
んで・・・広島・・・」広島出身の岩永
(うん。バンドか・・・そんな格好っちゃ格好か・・・・
えっと・・・BLACK・・・)ユーチューブで検索する岩永
(・・・って・・・結構有名ぽいじゃ、ねーか!
いやっ・・・そこまでの再生回数じゃ、ないか・・・
でも、・・・完全に、PVとかって・・プロか・・・
アマかと思ったけど・・・ちゃんとした、バンドなんだな・・・)岩永
(よし。メールしよっ♪
見たよ!すごいやん。絶対、素人かと、おもっちょったけん、びっくり。
さっそくCD買いに行っとくね。で、いいか・・・)
自然と、広島弁のメールを打ってしまう岩永
ネットで検索しあう、恋が始まる。
都会に咲いた、さぼてん達




