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さぼてん  作者: 火村虎太郎
第一部
10/68

あとで・・・

夕食も終え、岩永の住むホテルに帰ってきた二人


シャワーを浴び、少し、くつろぐ二人


「・・ねえ・・慶太さん・・・」はるか

「ん?何?」岩永


「本当に、もう、知り合いも、友達もいないの?」はるか

「いないね・・・・見てほれっ」携帯を渡す岩永


電話帳を見るはるか


「店支配人・・バー支配人・・ホテル・・はるか・・・不動産・・・

 ・・・ええ!!五つしか、入ってねえ!」衝撃のはるか

「だね・・・・」岩永


(山本さんが無い・・・山本さんの事は・・聞いていいんだろうか?

 仲悪かったら嫌だしな・・・知らないんじゃなくて、

 入れてないかも、しんないし・・・う~ん保留!)はるか


「どうする?バーでも行く?それとも、散歩でも行く?」岩永

あの海は、すぐ近く

「・・・あとで・・・」はるか


「ん?・・・あとで?・・・・」岩永

「・・・・・・・あとで・・・」近づいてくる はるか


窓に映る。夜景と、離れて行く唇と唇。


やっと、人並みの・・・感情。


「・・・ふふ・・・・すごい・・ひさしぶり・・・」岩永

「・・・・私・・も・・・・」はるか


溜め込んだ悲しみが、少し抜けて行く様な・・・

どこまでも・・・深く・・・ずっと・・・・

暗闇の、窓に映る夜景と、大人の愛情表現





シャワーを浴びてきた岩永

ベットに横たわり、余韻に浸る はるか

「てかっ!やくざか!刺青ぃ~!!」竜の刺青を見てはるか

「いえっ。チンピラです。てか。ほぼ、ニート。」岩永


「この金持ちニートが~!」はるか

「わはははは」はしゃぐ二人。


不思議なカップル。

ムードあったり、なかったり・・


「てか・・・すごい・・・傷・・・」傷を触る はるか

「あっ・・うん・・・」岩永傷だらけの体


「すごかったんだね・・・六本木戦争って・・・」はるか

「お前もう、俺より、詳しいんじゃね?・・・」岩永


「ふふ・・うん。逢えないから、ネットで、色々調べるくらいしか・・」はるか

「電話すればいいじゃん・・・」岩永


「貧乏人は、電話代の事も、気になるんだよ~コノヤロ~」はるか

「わははは。かけるよ。今度から多めに。」岩永


「私のも・・見た?」はるか

「見たよ。親殺したんでしょ。」岩永


「さらっと、言ったぁ~」はるか

「えっ?うん。」岩永キョトン顔


(でっけーな・・・ふふふ・・・さすが)はるか


岩永の斬られた傷。撃たれた傷。

あの時代、東京で、輝いていた事実。

忘れることの出来ない物語。


(もう少し。生きてたいな・・・)岩永


忘れることが、出来ないなら、せめて、空白の17年を埋めるほどの

感情で生きたい。

誰も俺の事知らなくてもいい。

今からが、新しい物語。

なんか、やっと、出所した気分の岩永


広島 


「うおっ!けーさん(岩永)が、広島で、関西風のお好み焼き店やってた~?

 あっ!思い出した怒られてるの見た・・・彼女さんに・・・

 たしかプレジェイ売った金で・・・あるのかな?まだ?」


相変わらず、ネット検索の山本

まだ、踏ん切りが、つかない。終われない。

ゆえに、まだ現役の山本。

少しでも、目につくように・・・

あの人が、長い刑務所生活から出てきても、わかる様に



結局店は、早々と閉店の事実を知る。

また、途切れる。



「もう・・・終わりたいよ・・・けーさん・・・」山本


まだプレジェイの火は消えてない。

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