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五郎とたまの、のんびり四季ごよみ  作者: 浅見つむぎ


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7/9

『山の雨と、ふたりの静けさ』

五郎:恵みの雨と、静かな雨宿り


アミガサタケを採って間もなく、山の空気がふっと変わった。


湿り気を帯び、音が吸い込まれるように静かになる。


見上げると、ブナの梢の向こうに重たい雲が広がっていた。


「たま、来るぞ」


言い終える前に、大粒の雨が葉を叩き始める。


私たちは足を速め、近くの岩の張り出しの下へと滑り込んだ。


岩は屋根のようにせり出し、ちょうど雨を遮ってくれる。


背負子を下ろし、岩肌に背を預けて息をつく。


ほどなくして、森は雨の音に満ちた。

土と葉の匂いが、いっそう濃く立ちのぼる。


「にゃお」


たまが、軽く跳ねて膝に乗ってきた。


「珍しいな」


濡れるのが嫌なのだろう。

いつもより距離が近い。


膝の上で小さく丸まり、外の様子をじっと見ている。


かすかな喉の振動が、布越しに伝わってくる。


山刀を手元に置き、ただ雨音に耳を預ける。


こういう時間も、悪くない。


たま:恵みの雨と、静かな雨宿り


お山の空気が、急に変わった。


ひんやりして、しっとりして、知らない匂いが混ざる。


そのあとすぐ、空から大きな雨粒が落ちてきた。


たまは濡れるのが苦手だ。

耳を伏せて、五郎のあとを追いかける。


五郎が見つけたのは、大きな岩の下。


雨が当たらない、安心できる場所。


五郎が座ると、たまは迷わず膝の上に飛び乗った。


外は、雨の音でいっぱいになる。


葉に当たる音。土にしみこむ音。

いろんな音が重なって、森がざわざわしている。


でも、ここは静かだ。


五郎の膝の上はあたたかくて、落ち着く匂いがする。


たまは目を細めて、小さく喉を鳴らす。


雨がやむまで――


もう少しだけ、この場所にいようと思った。

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