『青葉のトンネルと、ひみつの獣道』
五郎:初夏のひだまりと、まどろみの特等席
麦茶で喉を潤したあとは、心地よい気だるさが体に残った。
夕飯の支度を始めるにはまだ少し早い。
縁側には、西に傾きかけた初夏の柔らかな日差しが、ちょうど良い具合に差し込んでいる。
畳の上に寝転がり、腕を枕にして目を閉じた。
庭の木々からは、名前の分からない小鳥たちのさえずりが遠く近く聞こえてくる。
雨上がりのしっとりとした空気を含んだ風が、開け放した障子を抜けて、私の体をそっと撫でていく。
「ふにゃあ」
小さな鳴き声がしたかと思うと、私の脇腹のあたりに、ぽてっとした温かい重みが加わった。
たまが、私の体をベッド代わりに決めたらしい。
器用に足元をふみふみと整えたあと、くるりと丸くなって収まった。
猫の体温というのは、どうしてこうも人を眠気に誘うのだろうか。
たまの規則正しい小さな寝息をBGMに、私もそのまま深い微睡の中へと落ちていった。
たま:初夏のひだまりと、まどろみの特等席
冷たいお水をいっぱい飲んだら、今度はお腹がポカポカして、すっごく眠くなってきちゃった。
五郎を見たら、お部屋の畳の上にごろーんと横になって、もうおめめを閉じている。
縁側には、お日様の光がオレンジ色になって優しく差し込んでいた。
ここは、いま一番あったかくて気持ちがいい場所。
たまはトコトコと五郎に近づいて、その大きなお腹の横のところに、ぴょんと乗っかってみた。
五郎の体は、お山をたくさん歩いたから、いつもより少し熱くてたくましい。
ここをたまの「お布団」に決定。
おててで交互に五郎の体をふみふみして、一番落ち着く形になったら、くるんと丸くなる。
お外からは、鳥さんたちが楽しそうにおしゃべりする声が聞こえるけれど、もうおめめが開かないの。
五郎のお腹が、息をするたびに優しく上下に動く。
たまはゴロゴロと小さく喉を鳴らしながら、五郎と一緒に、とっても幸せなお昼寝を始めた。




